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西原宏一の「ヘッジファンドの思惑」

ドラギ総裁は、ややハト派会見でもユーロの
上昇トレンド不変! ユーロ/円は135円へ

2017年07月27日(木)15:40公開 (2017年07月27日(木)15:40更新)
西原宏一

FXトレーダー・羊飼いに聞く、初心者におすすめのFX口座の選び方とは?

■ドラギ総裁の会見はハト派でも、ユーロの上昇トレンド不変

 みなさん、こんにちは。

 7月20日(木)のECB理事会後のドラギ総裁の会見は、ややハト派なコメント

 しかしマーケット参加者の認識は「シントラショックで加熱したユーロ市場の沈静化を狙ったもの」といった見方が大勢で、ユーロの上昇トレンドは変わらず。

【参考記事】
ドラギ総裁はハト派でも買われたユーロ! 「シントラショック」以降、ユーロは新局面へ(7月24日、西原宏一&大橋ひろこ)

 7月25日(火)の欧米市場でのユーロ/米ドルは、ついに1.1712ドルまで到達。

 このレベルは、2015年8月の高値である1.1714ドルとほぼ同値です。

ユーロ/米ドル 月足
ユーロ/米ドル 月足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 月足

 2015年8月24日(月)は、NYダウが1000ドル以上の急落を演じた日で、米ドル/円も一時116円台まで急落したのは、記憶に新しいところ。

【参考記事】
日経平均1343円暴騰はなぜ起きたのか? さらに利下げ見込むNZドルは0.55ドルへ(2015年9月10日、西原宏一)

 その後、ユーロ/米ドルは、この1.1714ドルを高値に今年(2017年)1月3日(火)の1.0341ドルまで下落。

 そして2017年相場が始まってすぐに到達した、この1.0341ドルが底値となり、ユーロ/米ドルは反発しました。

 7月25日(火)には、とうとう2年前の高値である1.1714ドルまで回復してきたことになります。ユーロ/米ドルにとってこのレベルまで回復したことは重要。

ユーロ/米ドル 月足
ユーロ/米ドル 月足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 月足

■FOMCを受けて、為替相場は米ドル売りに

 そして、本日(7月27日)日本時間未明にFOMC(米連邦公開市場委員会)の金融政策発表を迎えます。FOMCは政策金利を据え置きました。

米政策金利の推移

(出所:FRBのデータを基にザイFX!編集部が作成)

 声明文では、バランスシート正常化について、前回(6月)は「年内」という表現。それを今回は「比較的早期に」という表記に変えています。

 マーケットの認識は「FOMCは9月を念頭に置いている」といったところ。

 バランスシートの正常化を進めるということは、利上げ政策は見送られるといった見方が増えることとなり、早期の利上げ予想は後退。

 OIS(Overnight Index Swap、翌日物金利スワップ)によると12月の利上げ確率は44.7%と50%を切ってきました

米利上げ予想確率

(出所:Bloombergのデータを基にザイFX!編集部が作成)

 「利上げ政策が見送られる」といった観測は「米ドル売り・株買い」要因。そして、新興国にとってはポジティブに作用します。

 結果、マーケットは米ドル売りとなり、ユーロ/米ドル、米国株は上昇。そして、資源国通貨の豪ドル/米ドルも上昇しました。

ユーロ/米ドル 4時間足
ユーロ/米ドル 4時間足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 4時間足

NYダウ 日足
NYダウ 日足

(出所:Bloomberg)

豪ドル/米ドル 4時間足
豪ドル/米ドル 4時間足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/米ドル 4時間足

■ユーロ/米ドルは1.18ドルが次のレジスタンスに

 米ドル/円も111.00円レベルまで下落しましたが、日本はゼロ金利で固定されているので下落余地は限定的。米ドル/円は当面レンジ

米ドル/円 4時間足
米ドル/円 4時間足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足

 結果、ユーロ/円は底堅いまま。

ユーロ/円 日足
ユーロ/円 4時間足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/円 日足

 次に、ユーロ/米ドル。

 ユーロ/米ドルはECB(欧州中央銀行)がテーパリング(※)に向けて進んでいることに加え、FOMCがハト派であったことから、前述の1.1714ドルを超えてきました。

(※編集部注:「テーパリング」とは、量的緩和政策により、進められてきた資産買い取りを徐々に減少し、最終的に購入額をゼロにしていこうとすること)

 以下は、ユーロ/米ドルの週足チャートです。

ユーロ/米ドル 週足
ユーロ/米ドル 週足

(出所:Bloomberg)

 注目は200週移動平均線。ユーロ/米ドルは2年ぶりに、1.1714ドルを超えてきましたが、200週移動平均線が位置している1.1798ドル、つまり1.1800ドルが次のレジスタンス

 ユーロ/米ドルはこのレベルを超えるのに一定の時間がかかるかもしれませんが、ユーロクロス(ユーロと米ドル以外の通貨との通貨ペア)の上昇トレンドは変わらず。

ユーロVS世界の通貨 週足
ユーロVS世界の通貨 週足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロVS世界の通貨 週足

 そして、ユーロクロスの中でも、当コラムで何度かご紹介させていただいたとおり、もっとも注目しているのがユーロ/円。

【参考記事】
日本がゼロ金利固定の間に欧州や米国は金利正常化へ! ユーロに優位性あり!(7月20日、西原宏一)
強烈なレジスタンス突破したユーロ/円は135円へ! ドラギ総裁発言でユーロ急騰!(6月29日、西原宏一)

■ユーロ/円は最初のターゲット130円に到達。次は135円へ

 そのユーロ/円は、当コラムでお伝えした最初のターゲットである130円に到達。

ユーロ/円 日足
米ドル/円 日足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/円 日足

過去のコラムでご紹介させていただいたように、ユーロ/円はフィボナッチのリトレースメントとエクスパンションがかなり重なっている、129~130円がいったんのレジスタンス。

【参考記事】
強烈なレジスタンス突破したユーロ/円は135円へ! ドラギ総裁発言でユーロ急騰!(6月29日、西原宏一)

 このところのユーロ/円は、この130円レベルでもみ合いを演じてきましたが、ユーロ/米ドルが前述の1.1714ドルを抜いてきたことにより、上昇を再開しました。

 以下は、ユーロ/円の週足チャートです。

ユーロ/円 週足
ユーロ/円 週足

(出所:Bloomberg)

 注目は、ユーロ/米ドル同様、200週移動平均。

 200週移動平均線が位置しているのが130.67円。

 今月(7月)のユーロ/円は、この200週移動平均線で上値を抑えられてきました。

 ただ、ユーロ/米ドルが重要なレベルを抜けてきていることから、ユーロ/円も200週移動平均線を上抜け、さらなる上昇トレンドに入る可能性が高まります

 ユーロ/円の次の目標は、変わらず135円。

■0.8000ドルを回復した豪ドル/米ドルに注目

 そして、ユーロ/円に加えて、もうひとつ注目なのが豪ドル。

 長らくレンジを形成してきた豪ドル/米ドルですが、今月(7月)のRBA(オーストラリア準備銀行[豪州の中央銀行])の金融政策決定会合がタカ派であったことから、重要なレジスタンスであった0.7835ドルを抜いて急騰しています。

豪ドル/米ドル 月足
豪ドル/米ドル 月足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/米ドル 月足

 前述のFOMCがハト派であったことで、「米ドル売り・新興市場堅調」という要素も加わり、本稿執筆時点の豪ドル/米ドルは久しぶりに0.8000ドル台を回復してきています。

 対円でも、90円をうかがう動きで底堅く推移。

豪ドル/円 日足
豪ドル/円 日足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/円 日足

当コラムで注目してきたユーロ/円に加え、0.8000ドル台を回復した豪ドル/米ドル、そして90円台回復をうかがう豪ドル/円の動きにも注目です。

【参考記事】
強烈なレジスタンス突破したユーロ/円は135円へ! ドラギ総裁発言でユーロ急騰!(6月29日、西原宏一)

 筆者の都合により、来週(8月3日)の「ヘッジファンドの思惑」は休載させていただきます。次回は8月10日(木)になります。

 よろしくお願いします。


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