雇用統計の結果は良かったというべきなのだろう。就業者数は26万人台の増加にとどまり予想を下回ったが、そもそも30万人台の増加を見込んでいたこと自体が大きすぎたともいえる。就業者数が大きく出ても、小さく出ても、結局はハリケーンの影響によるされ、誤差とみなされるだろうことは事前に容易に想像がついた。
失業率は4.1%となって、強めの数字。就業者数は上下にブレやすいが、失業率のほうは時間をかけて着実に改善している。マーケットの反応もこれを端的に表しており、最初はドル売り、リスク回避で反応したが、すぐに立ち直った。ドル円も113円台のミドル水準まで押し込まれていたが、すぐに発表前の114円台まで値を戻してきたのである。
FRBが注目しているとされるインフレ動向を見るための賃金上昇については、予想を下回った。しかしこれには大きな反応を見せていない。そもそも今回の雇用統計の結果では、12月利上げのシナリオに変更を迫るものではないとの見方となったからである。
金曜日は日本が休みだったが、日経先物は22500円台から上値サイドを狙っている状況に変わりはない。バブル崩壊後に戻したレベルが日経平均株価で22666円である。これをつけたのは、1996年の6月のことだ。
これは時期的には1995年にドル円が79円台に突入して円高不況が叫ばれていた頃からの反転の頃合いと合致する。榊原財務官が強力な介入を行って、ドル円は100円台まで戻してきたのだ。
そうした円安誘導に加えて、海外市場の株高の流れの大きな始まりの時期でもあった。ダウ平均が4000ドルの多い台を突破してきたのだ。4000というのはマジックナンバーであって、それまで何度もトライしたが、ブラックマンデーやポンドショックで頭を押さえられてきた歴史がある。
その4000ドル突破から現在の過剰なまでの株高である23000ドル台というのが、20年後の姿になろうとは。ともかくも日経先物の上値攻めでは重要な節目に到達しているのである。ここで止まらないといけないという理由はない。
これはあくまでもテクニカル的な観点からである。高値警戒感に加えて、テクニカル面からの売りシグナルも多発していることに注意だ。
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