(「【仮想通貨激論!】広瀬隆雄vs大石哲之(0) 大物2人がツイッター上でにわかに激突!」からつづく)
にわかにツイッター上で巻き起こった広瀬隆雄さん(@hirosetakao)と大石哲之さん(@bigstonebtc)による、仮想通貨を巡る激論。
ツイッター上での論争は広瀬さんが大石さんをブロックする形でいったん終わってしまいましたが、その続きをザイFX!上でやろうというのが本企画「【仮想通貨激論!】広瀬隆雄vs大石哲之」です。その経緯は先に公開したシリーズ「第0回」の記事で紹介したとおり。
とりあえず立てた企画のテーマは「CME上場計画を期に考える仮想通貨の信用性」です。ただ、そのテーマを消化して、議論はさらなる発展をみせるかもしれません。そこに筋書きなどなく、どんな展開になることか、ザイFX!編集部にもわかりません。
本企画に対してツイッター上で「お?プロレスだ!( ・∇・)」、「プロレスかよw」といった反応がありました。プロレスに筋書きがあるかないかはわかりませんが、本企画に筋書きはありません。
今回はシリーズ「第1回」の記事を広瀬隆雄さんに執筆してもらいました。
ビットコインをはじめとした多くの仮想通貨は信頼(トラスト)できる第三者が不在であっても、改竄される心配なく、ブロックチェーンに取引を記録していくしくみになっています。このことを指して、「トラストレス」という言葉がよく使われるようです。そして今回、まず議論の俎上にのぼったのはこの「トラストレス」という言葉。
それでは赤コーナー……いや、金融界から広瀬隆雄さんの登場です(ザイFX!編集部)。
■「トラストレス」は美点だが、既存ルールとの折り合いは必要
今回は、ビットコイン(BTC)がトラストレス(trustless)な状況でもちゃんと機能する仮想通貨だということを巡って論争になりました。
私は、ビットコインがトラストレスな状況でも安心、確実に価値の交換を行うことができるという点については、まったく同意します。
だから、ビットコインのしくみを疑っているのではないという点をまず、ハッキリさせたいと思います。
さらに言えば、そのようなビットコインの特徴は、とても貴重かつ魅力的なものであり、それがビットコインの将来性に関して、私が期待を寄せている理由でもあります。
しかし、ビットコインにそのような美点があることと、「だからそれが社会に受け容れられるか?」ということは、別問題だと思うのです。
それがどんなに優れたものでも、既存の社会のルールと折り合いをつけてゆくことができなければ、メジャーにはなれません。
■完全無欠のスポーツカーでも無許可販売はダメ
たとえば、狂おしいほど魅力ある完全無欠のスポーツカーを誰かが作ったとします。
しかし、どんなにそのクルマが安全でも、陸運局からの許可を得ず、勝手に売り出したらどうでしょう?
やっぱり監督当局から叱られるし、大部分の消費者は、それが魅力あるクルマだからこそ、ちゃんと許可を取得してから販売してほしいと思うはずです。
つまり、仮想通貨クラスタは、ブロックチェーン技術がどのようなしくみで動いているかについては詳しいけれど、社会がどういうしくみで動いているかについては、よくわかっていないということです。
■トラストレスの価値提案は弱い、と考える理由はこうだ
トラストとは、「信頼」を意味します。
そして、こんにちの社会は、みんなが安心して住めるよう、長い年月をかけて社会システムを構築してきました。
つまり、今の社会は、全体的に見ればトラストは欠如していないのです。
お店で紙幣を使って支払いすれば、それがニセ札か? と疑う商店主は、日本にはあまりいません。現在、社会は信頼から成り立っており、すでに、それは十分に機能しているのです。
すると、トラストレスな状況でも確実に送金ができるという価値提案に反応するユーザーは、おのずとドラッグ・ディーラーやテロリスト・マネー、脱税マネーなど社会のルールを忌避する存在だけになってしまいます。
仮想通貨クラスタは、もちろん自分たちのことをそんなふうには見ていないと思うけれど、世間はそういう目で見ているわけです。
(「【仮想通貨激論!】広瀬隆雄vs大石哲之(2) 本当にトラストレスの意味を理解してます?」へつづく)
(編集担当:ザイFX!編集部・井口稔&向井友代)
【参考コンテンツ】
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