■ビットコインのB級品ではない!
「Bキャッシュと呼ぶな!」と神が言ったのは、ビットコインキャッシュ(BCH)のことだ。
2017年8月1日(火)に、ビットコイン(BTC)のハードフォーク(分裂)から生まれたビットコインキャッシュ。
【参考記事】
●ビットコインは、8/1のハードフォーク後に最高値更新! ビットコインキャッシュとは?
日本でも多くの取引所が扱っており、発生直後はキワモノ扱いもされたが、順調に価格を上昇させ、時価総額は全仮想通貨中3位。アルトコインの中でも良く知られた存在だろう。
■ビットコインキャッシュを支持する大物とは?
このビットコインキャッシュ、将来性は有望だし、ひょっとしたら、ビットコインを超える存在となる可能性もある。なぜなら、強力な人物たちがバックアップしているからだ。
その1人が、「ビットコイン・ジーザス」の異名を持つロジャー・バー(Roger Ver)氏だ。ビットコインの黎明期からビットコインの普及のために活動し、大量のビットコインを保有していたロジャーは現在、仮想通貨資産の大半をビットコインキャッシュに変えたことを明かしている。
ビットコイン財団の創設を支援するなど、ビットコイン普及の著名な支援者であるロジャー・バー氏。現在は日本に移住し、ビットコインキャッシュのプロモートに力を注いでいる (C)Bloomberg/Getty Images
ビットコインキャッシュだから、略して「Bキャッシュ」と呼びたくもなるのだが、ビットコインキャッシュを高く評価するロジャーは「ビットコインのB級品」的な扱いを許さない。
実際に仮想通貨としての性能を見ると、ビットコインキャッシュは本家よりも優れた点がある。それも当然。ビットコインの欠点である「ブロックサイズ」を補うために生まれたのが、ビットコインキャッシュだからだ。
■ビッグブロック派から生まれたビットコインキャッシュ
ブロックサイズとは、ブロックチェーンを構成するブロックひとつひとつの大きさだ。
ビットコインだと、1ブロックは1メガバイト。「それでは小さすぎる!」と叫んだのが「ビッグブロック派」であり、彼らの主張をもとに生まれたビットコインキャッシュのブロックは8メガバイトと、ビットコインの8倍だ。
【参考記事】
●【超初級】 ビットコイン・仮想通貨入門(4) ブロックチェーンって結局、何なの!?
ブロックサイズの問題は、現在進行形で露呈している。
多くのビットコインの取引が未承認のまま取り残される事態が起きているのだ。本記事を公開した2017年12月25日(月)時点では減少傾向にあるものの、12月22日(金)の時点では未承認件数が約30万件にも膨れ上がっていた。そして、これに伴い、ビットコインの送付手数料も高騰している。
【参考記事】
●ビットコイン/円が230万円から130万円まで暴落! 急落の要因に3つの可能性
ブロックサイズだけの問題ではないが、1ブロックにより多くの取引を書き込めれば、取引がもっとスムーズに流れやすくなるのは確かだ。
■3日で7万円台から一時、33万円台へ暴騰!
マーケットもそれを意識していることが端的に示されたのは、2017年11月12日(日)だった。この時期、ビットコインには「取引づまり」の問題が露呈していた。ビットコインの取引が増加し、承認が遅延、未承認の取引が10万件以上もたまったのだ。
そこで、ブロックサイズの大きいビットコインキャッシュへの注目が高まり、ビットコインからビットコインキャッシュへと乗り換える動きが発生。ビットコインの価格は急落し、反対にビットコインキャッシュは急上昇した。
(出所:GMOコイン)
【参考記事】
●一時大暴落! 今のビットコインは来年消滅!? ビットコインキャッシュが大暴騰後に大暴落!
■ビットコインとビットコインキャッシュに一時的な逆相関
この2017年11月12日(日)前後のビットコインとビットコインキャッシュの値動きを見比べると、「ビットコインが下がり、ビットコインキャッシュが上がる」といった逆相関の関係が観察できる。
取引所によっては、ビットコインキャッシュが3日間で7万円台から一時、33万円台へと暴騰する一方、ビットコインは80万円台から60.8万円へと暴落しているのだ。
※米ドル建てのビットコインとビットコインキャッシュの相関を表示
■その1か月後にも逆相関が顕著に
ビットコインの取引づまりによるビットコインキャッシュ急騰の動きは、1か月後の2017年12月にも見られた。
11月には10万件ほどだったビットコインの取引づまりは、12月下旬に30万件近くまで増加。問題が深刻化するのと同時に、ビットコインキャッシュは高騰。一部の取引所では、価格が50万円を超えた。
(出所:GMOコイン)
※米ドル建てのビットコインとビットコインキャッシュの相関を表示
■ビットコイン有事のビットコインキャッシュ買い
ただ、ビットコインとビットコインキャッシュの逆相関は、日常的に発生するわけではない。
ビットコインキャッシュ誕生以来の両者の相関係数を見ると、通常は順相関の関係にある。
いつも逆相関にあるわけではなく、「ビットコインに何か問題が起きると、代替としてビットコインキャッシュの需要が高まりやすい」、「ビットコイン有事のビットコインキャッシュ買い」くらいに覚えておくといいだろう。
■SBIの北尾社長も「キャッシュが勝つ」発言
表と裏の関係といったら、「どっちが裏だ!?」とロジャー・バーに怒られるかもしれないが、ビットコインとビットコインキャッシュが表裏一体の関係を保ちながら発展しているのは事実。
しかも、ロジャーをはじめとするビットコインキャッシュ支持派は積極的なロビー活動を行っており、決済システムとしての導入も働きかけているようだ。
日本でもSBIホールディングスの北尾吉孝社長が9月に行われたイベントで「ビットコインキャッシュが(ビットコインに)勝つだろう」と発言し、また、ビットコインキャッシュのマイニング(採掘)を開始したことを明かしていた。
【参考記事】
●【超初級】 ビットコイン・仮想通貨入門(5) マイニングとはいったい何をしているのか?
熱烈な支持者に支えられたビットコインキャッシュ。将来的にはビットコインの価格を追い越す可能性も秘めている。
(文/ミドルマン・高城泰 編集担当/ザイFX!編集部・堀之内智)
■ビットコインキャッシュを取引するならどこが良い?
日本国内の仮想通貨交換業者の中にも、ビットコインキャッシュ(BCH)を取引できるところはいくつかあります。
たとえば、bitFlyer(ビットフライヤー)では、取引の相手方が業者となる「販売所」の形式で、ビットコインキャッシュ/円を提供しています。
売買手数料は無料ですが、取引の実質的なコストとなる購入価格(自分が買うことができる価格)と売却価格(自分が売ることができる価格)の差(スプレッド)は、2017年12月25日(月)にザイFX!編集部が実際の取引画面で確認してみたところ、およそ2万7000円となっていました。購入価格のおよそ8%程度が、コストとなる計算ですね。
(出所:bitFlyer)
ビットフライヤーといえば、ビットコインの取引量が日本一。高い流動性がウリの取引所ですし、大手で取引したい!という方には向いていますが、ビットコインキャッシュについては、スプレッドが結構広いな、というのが正直な感想ですね。
そこで、他社も探してみると…。
GMO系のGMOコインも販売所の形式でビットコインキャッシュの取引が可能ですが、調査時点の購入価格と売却価格の差(スプレッド)は2万円となっており、調査時点では、ビットフライヤーより低コストで取引できることが確認できました。
(出所:GMOコイン)
また、bitbank(ビットバンク)では、取引の相手方がユーザーとなる「取引所」の形式でビットコインキャッシュ(※)を取り扱っています。
(※ビットバンクにおけるビットコインキャッシュの通貨表記は「BCH」ではなく、「BCC」)
(出所:bitbank)
上がその取引画面ですが、このとき、一番低い売り指値注文と一番高い買い指値注文の差を計算すると1358円でした。取引所の場合、指値にどれだけの分量の注文が入っているかという問題などがあり、販売所とまったく同列に比較できるものではないですが、それにしても1358円というのはずいぶん小さな数字で注目できますね。
なお、 ビットバンクでは現在、2018年3月31日(土)まで、売買手数料が無料になるキャンペーンを実施中です。
取引所と販売所について詳しくは、以下の【参考記事】もぜひ、チェックしてみてくださいね。
【参考記事】
●ビットコイン・仮想通貨の取引所/販売所を比較。取引コストが安いのはどこ?
この機会に、ビットコインだけでなく、ビットコインを超えるかもしれないというビットコインキャッシュにも注目して、取引を検討してみてはいかがでしょうか?
(ザイFX!編集部)
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