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ビットコイン/円が230万円から130万円まで
暴落! 急落の要因に3つの可能性

2017年12月23日(土)16:09公開 (2017年12月23日(土)16:09更新)
ザイFX!編集部

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■黒田砲がビットコインを直撃!?

「(ビットコインは)単なる投機の対象となっている。異常に高騰しているのは事実だ」と日銀の黒田東彦総裁が発言したのは12月21日(木)のこと。その翌日、黒田砲が直撃したわけではないだろうが、ビットコイン(BTC)は一時、130万円近辺まで暴落した。5日前につけた230万円付近の高値から約100万円の急落だ。

ビットコイン/円 4時間足
ビットコイン/円 4時間足

リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ビットコイン/円 4時間足

 何がこの急落を引き起こしたのか――ここでは3つの可能性を考えてみよう。

■CME上場をターゲットとした「セル・ザ・ファクト」

 ビットコイン急落の理由、ひとつめは「セル・ザ・ファクト」だ。

 ビットコインが100万円に達したのは11月25日(土)のこと。その後、12月7日(木)には早くも200万円に達するなど、異常としか言えない上昇の背景にあったのは、CBOE(シカゴ・オプション取引所)およびCME(シカゴ・マーカンタイル取引所)へのビットコイン先物上場期待だ。

【参考記事】
ビットコイン/円が瞬く間に80万円突破! 米CMEがビットコイン先物上場計画を発表
ビットコインがついに100万円を突破!! CME上場とハードフォーク期待が背景に!?
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 12月11日(月)にCBOEへ、18日(月)にはCMEへ上場を果たし、広瀬隆雄さんが言うところの「機関投資家が参戦できる下準備」は完了した。

【参考記事】
ビットコイン先物上場! ビットコインETF上場なら大量の機関投資家マネーが流れ込む!?(広瀨隆雄)

ビットコイン/円 日足
ビットコイン/円 日足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ビットコイン/円 日足

 とはいえ、CME、CBOEともに出来高は小さいようだ。ビットコイン先物は、先物だから当然、売りから入ることもできるため、それがビットコイン相場の下落要因になっていると考える向きもあるようだが、出来高が小さいことから、そのような影響はあっても限定的ではないだろうか。

 ただ、ビットコイン先物上場前から、上場期待で買っていたトレーダーはたくさんいたわけで、それらのトレーダーが実際に上場を果たしたことで利益確定売りに動く、いわゆる「セル・ザ・ファクト」の動きが起こったと考えるのは、FXトレーダーならば飲み込みやすいシナリオだろう。

■ビットコインの神がビットコイン潰しに動く!?

ビットコイン急落の理由、2つめは「ビットコインキャッシュ(BCH)」の存在だ。7月末のハードフォーク(分裂)により発生したビットコインのフォーク通貨であるビットコインキャッシュは、一部に熱烈な信者を抱えている。

【参考記事】
ビットコインキャッシュの特徴とは? 神様も推奨!? ビットコインを超えるかも!
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 日本ではSBIホールディングス社長の北尾吉孝氏がビットコインキャッシュ支持派だし、世界では「ビットコイン・ジーザス」の異名を持つロジャー・バーが支持派の代表格。今回のビットコイン急落の背景にもロジャーの影がチラつく。

「ビットコインに未来はない」、「ビットコインキャッシュに乗り換えた」と発言したのは、ビットコインウォレットの提供などを行なう「Bitcoin.com」のCTO。この発言が伝わったのは、ビットコイン急落が始まった12月19日(火)だ。

 「Bitcoin.com」のCEOはロジャー・バー。それを思えば、同じ会社のCTOがビットコインをディスり、ビットコインキャッシュを賛美するのは当然だが、今回の発言は(ロジャーから見れば)タイミングがバツグンだった。

■ビットコインの「取引づまり」がキャッシュ買いを誘発か

 同じ時期、ビットコインには大きな問題が持ち上がっていた。「取引づまり」だ。

 ビットコインの取引はブロックチェーンに記録されることで承認されるのだが、この承認待ちの取引が12月22日(金)時点で30万件近くに膨れ上がっている。その3日前でも20万件と大量だったのが、さらに増加しているのだ。ビットコインの平均送金手数料を見ても、1取引あたり50ドルを超えるほど高騰している。

 ビットコインやイーサリアムなどが盛り上がるほど、実需のほか、投機目的の送金も増える。本来ならば、マイニングの「難易度調整」によってビットコイン取引の承認が遅延しないよう設計されているのだが、取引の増加ペースがあまりに急だと難易度調整が間に合わず、今回のような取引づまりや手数料の高騰が起きてしまう。

 こうした問題をマーケットが懸念しているところへ、「ビットコインに未来はない」、「ビットコインキャッシュに乗り換えた」といった発言が出れば、「じゃあビットコインは売っておこう」と考える人も出てきて不思議はないだろう。

 実際、ビットコインが急落し始めた12月19日(火)から翌20日(水)にかけてビットコインキャッシュは急上昇している。ただ、12月21日(木)以降はビットコインもビットコインキャッシュもともに大きく下落しているが…。

ビットコインキャッシュ/円 日足
ビットコインキャッシュ/円 日足

(出所:GMOコイン

■ライトニングFXで「2階建てバブル」が発生!

 一方、他ならぬ日本がビットコイン急落の震源地となっている可能性もある。注目したいのは急速に盛り上がりを見せているビットコインの証拠金取引だ。ビットフライヤーでは「Lightning FX」(ライトニングFX)GMOコインでは「仮想通貨FX」と呼ばれる、当サイト「ザイFX!」の読者にはおなじみのFXと同じようなしくみの取引方法だ。

 このうち、GMOコインの仮想通貨FXは為替のFXと同じようにGMOコインが売買レートを提示するのだが、ビットフライヤーライトニングFXは「ザラバ方式」。東京証券取引所の場中のように、取引したい人同士が注文をぶつけあって価格が決まる。

 そして、ライトニングFXで購入したビットコインを現物として受け取ったり、ライトニングFXで建てた新規売りポジションの決済にビットコイン現物を充当するには20%という多額の手数料がかかる。

 このため、現物価格とライトニングFXの価格に大きな乖離が生じても、高い方を売り、同時に安い方を買って差益を狙う裁定取引(アービトラージ)を行うチャンスはそうそうない。

 その結果、ライトニングFXで何が起きたかというと、現物価格とFX価格の乖離による「2階建てバブル」だ。ビットフライヤーで現物のビットコインを買おうとすると174万円なのにライトニングFXだと204万円といったように、同じビットコインなのに価格には大きな開きが生じている。

 今年は年間を通じて価格が猛烈に上昇したため、ビットコインに対する先高感が強く、FX価格が現物価格を上回る状態が続き、ときに逆にFX価格が下回る(乖離率がマイナスとなる)ような相場が続いていた。

ビットコイン/円 現物価格とライトニングFX価格の乖離率推移
ビットコイン/円 現物価格とライトニングFX価格の乖離率推移

(出所:ビットフライヤーの価格データを元にザイFX!編集部が作成)

■ビットフライヤーが公式ツイッターで警告

 しかし、11月末以降に起きた問題はサヤが縮小しないどころか、開く一方になったことだ。それまでは5%前後が天井だったライトニングFXで初のサーキットブレイカーが発動した11月30日(木)に乖離率は10%を超えて、12月11日(月)以降は乖離率が10%を超えたまま戻らなくなってしまった。

 ビットコインの現物価格が200万円を超える急騰を見せたためにライトニングFXでの需給が買いに偏ったためだと思われる。

ビットコイン/円 現物価格、ライトニングFX価格、乖離率の推移
ビットコイン/円 現物価格、ライトニングFX価格、乖離率の推移

(出所:ビットフライヤーの価格データを元にザイFX!編集部が作成)

 過去には乖離が開けば埋める動きを見せていた。乖離を埋めるためには「現物が上がる」、「FX価格が下る」のいずれか、またはその両方が必要だ。しかし、12月17日(日)には、とうとう乖離率が30%へ到達し、さすがにビットフライヤーも問題視したのか、ツイッターの公式アカウントで警告を発した。

ビットフライヤーのツイート
ビットフライヤーのツイート

ライトニングFXでの買いポジションを抑制するため、買いポジションに対する手数料の新設やポジション量上限の設置を示唆するツイートだ。このツイートを受けて、乖離率は低下したものの、20%前後の乖離が続いている。

■「乖離埋めのFX売り」と「現物の下げ」が追いかけっこ?

 乖離を埋める動きを狙ったのか、12月22日(金)にはFX価格が急落する場面もあった。しかし、それが乖離を埋めることはなく、同時に現物価格も下がっていた。ニワトリとタマゴの議論にも似ているが、このときに起きた可能性があるのは、以下のような「売りのスパイラル」、あるいは「ネガティブ・フィードバック」だ。

乖離を埋める動きを狙ってFXを売る→FX価格が下がる→FX価格の下げを見て現物価格が下がる→FX価格が下がる→現物価格が下がる→乖離が埋まらずFXの売りが発生→現物価格が下がる→乖離を手がかりにするFXの売り→現物の下げ→FXの下げ→現物の下げ……

 いずれにせよ、バブル的なビットコインに屋上屋を架すようにして生まれたライトニングFXのバブル。現物価格とFX価格の異常な乖離には今後も注意が必要ではないだろうか。

■ウクライナの仮想通貨取引所でハッキングのウワサは誤報?

 なお、ウクライナの仮想通貨取引所「Liqui」(リクイ)がハッキングの被害にあい、6万BTCが盗難にあったというウワサも12月22日(金)ごろ流れ、これもビットコイン下落の要因になっているという見方もある。ただ、これについて公式発表は出ていない模様。

 ちなみに、投資関連のツイッターアカウントとして非常に有名な岡三マンはこの件について、以下のような見解をツイートしていた。

(文/ミドルマン・高城泰&ザイFX!編集長・井口稔 編集担当/井口稔)

【参考コンテンツ】
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