昨日は欧州時間に入ると、中国からの米国債に関する報道が流れた。当局者の話として、購入する米国債の減額を計画すべきだという内容だった。債券相場は足元が弱っている時期だっただけに、タイミングが良かったといえよう。
マーケット全体は急速にリスク回避の態勢に入って、ドル円は111円台の前半まで下落した。しかしスピードは決して速いというものではなかった。いかにもジワリジワリといった感じ。グローベックスセッションでは米億株も下がったが、まだ下げ足りないのは明らかな様子だった。
私もドル円が111円台に突入してきてからは、何度かショート攻めしてみた。確かに損こそ出さなかったが、あんまりポイント数は取れていない。原因には勢いのない下げだったからだろう。いうまでもなく売りましをするような局面もなかった。ドル円はほとんど戻りやしい戻しを作らずに、ニューヨーククローズまで安値圏を張り付いていた。
リスクに敏感なクロス円であるが、ユーロ円がここ3日間ほど、長い陰線を連続で形作っている。つい先週にはとうとう136円台まで来たかという感じであったものが、133円台までゆるんできた。
1日当たり1円のペースで着実に落ちてきている。このまま下がっても130円という節目では多少は引っかかるのだろうが、世界的にも株価には高値警戒感がパンパンにみなぎっていたこともあり、リスク調整の波は簡単には収まらないとみておいたほうが無難だろう。
日ごろは軽視されているインフレ指標だが、このような展開になってくると別の意味を持ってくる。ちょっとでもインフレに関するデータが高めにでも出ようものならば、目標達成近しということで金融政策のタイトニングに期待が高まる。
それは債券相場の下落をもたらし、市場の不安心理をあおることになる。それが今晩に出るアメリカのPPIだ。10年ぶりくらいにマーケットを動かすかもしれないインフレデータの発表である。予想はプラス0.2%であるが、実際に高めに出ると面白い。市場の反応がどう出るかを確認したいものだ。
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