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ラジオNIKKEIのFX番組『夜トレ!』(毎週金曜日 21時30分~)などでパーソナリティを務めているフリーアナウンサーの内田まさみさんが、成功している億トレーダー(億トレ)たちへのインタビューをまとめた初の著書『FX億トレ! 7人の勝ち組トレーダーが考え方と手法を大公開』(日本実業出版社、定価1400円 + 税)を出版した。
本書は、実際に億を稼いでいる個人投資家7人に登場してもらった実録物語。初版発売の3日後に重版が決定したというのだから、その人気ぶりがうかがえる。
内田さんは、この個人投資家への取材を通じて、なんと、自身もFXで勝てるようになったという。本物の億トレに接し、トレーダーとしても成長した内田さんに、億トレに共通する姿勢と学ぶべき点などについて聞いた。
個人投資家の実体験に「しびれるような感動」
「稼ぎ続けるトレーダーの実体験には、評論家やアナリストとは違うリアルさがあって、しびれるような感動を覚えました。
私自身もトレードに悩み迷う投資家だったこともあって、この体験と知見を同じような思いの個人投資家に伝えたいと強く思ったんです」
そう話すのは、2017年11月に初の著書『FX億トレ! 7人の勝ち組トレーダーが考え方と手法を大公開』を刊行した、フリーアナウンサーの内田まさみさんだ。
本書は、FXプライム byGMOの口座で何年も勝ち続けている億トレたちに、その手法や勝ち続ける秘訣などを聞いた同社の大人気コンテンツ「勝ち組FXトレーダースペシャルインタビュー」に登場した億トレーダーたちに、内田さんが2年がかりでインタビューした内容をまとめたものだ。
「やること」ではなく、「やってはいけないこと」のルール作り
FXの世界で億を超える資産を築き、さらに何年も勝ち続けられる投資家はごくわずかだ。彼らに実際に会い、深く話を聞いた内田さん。彼らに共通する、勝ち方は見えたのだろうか。
「実は、FXの手法や使っているテクニカル指標などに、共通点はほとんどありませんでした。皆さん、まったく異なる勝ちパターンを確立していて、FXは100人いれば100通りの勝ち方があるんだなあと、あらためて驚かされましたね」
しかし、勝つための手法は違っても、彼らに共通する点はいくつも感じたという。
「まず、勝つために『やってはいけないこと』を厳格に決めていました。『損切りポイントは動かさない』など、やってはいけないことを書き込んだ付箋を、パソコンのモニターにびっしり貼り付けている方もいました。
自分の勝ちパターンだけでなく、負けパターンをよくわかっていて、それを絶対にしないことを自身に厳格に課していましたね」
トレード手法は十人十色だが、億トレーダーは自分の負けパターンをよくわかっていて、勝つために『やってはいけないこと』を厳格に決めていたという共通点を内田さんは感じたそうだ
億トレの共通点は「値動きのクセを体で覚えている」
もう1つ、勝ち続けている億トレに共通するのは、何年もの間、値動きを真剣に見つめ続けたことで、値動きのクセを体で覚えていることだという。
「取材当初の私は、時間ができた時にチャートを開いて、『チャンスかも』と安易にエントリーしていたのですが、彼らは絶対にそんなことはしません。
数秒先にどんな値動きをするのかを考えながら、とにかく真剣にチャートを見つめ続けているんです。1日のうち、どれぐらいの時間をトレードに費やすかには差があるものの、チャートに向き合っている時は真剣そのもの。
そんな生活を何年も続けたことで、値動きのクセが体に染み込んでいるようでした。こういう局面でこんな値動きをしたら、次はこうなりやすいという、原因と結果の法則がわかるようになっているんです」
億トレーダーの多くが、こういう局面でこんな値動きをしたら次はこうなりやすいという、値動きのクセを体で覚えていると話す内田さん
マネするだけでは勝てないが、それでもマネすることは重要
内田さんの著書に登場する億トレたちのトレードスタイルはさまざまだ。夜だけのトレードで億単位の利益を上げるサラリーマンもいれば、1日に数百回のトレードをするスキャルパーもいる。異なる通貨ペア間のサヤ取りがメインだったり、中には損切りは絶対しないという、掟破りの主婦トレーダーまでいる。
いったい誰のマネをすればいいのか、そもそもマネをすれば勝てるようになるのか、混乱する人もいるかもしれない。それに対し、内田さんはこうアドバイスする。
「マネするだけでは勝てないけれど、マネする意義はあります。
どのトレーダーもみんな、良いとされる手法は片っ端から試しているし、他の人のトレードを参考にしたり、アレンジしたりと、とにかくいろいろな手法にトライしています。その結果として、最終的に現在のトレードに行き着いているんです」
他人のマネをするだけでは勝てないけれど、マネをする意義はある。内田さんは、どの億トレーダーもいろいろな手法を試した結果、最終的に自分のトレード手法を確立していると語った
「もし、たまたまマネした手法が自分に合っていたとしても、それは単なるマネではないはずです。他人の手法を参考にしながら、自分で磨き上げた自分のトレードスタイルなんです」
億トレへの取材を経て、自分もFXで勝てるようになった!
調子の良い時もあるけれど、トータルで勝ち続けるのは難しい――。これは、一般的なトレーダーに共通する悩みではないだろうか。内田さん自身も、自分の勝ちパターンを確立できずに悩む投資家の1人だった。
思惑と反対方向に為替レートが動くと、「待っていれば戻るかも…」と淡い期待を抱いて、損を膨らませたこともあった。
英国のEU(欧州連合)離脱の是非を問う国民投票で、まさかの「EU離脱派」勝利となり、市場が大きく動揺した2016年6月のBrexit相場でも、「そんなことはあり得ない」と意地になって米ドルのロング(=買い)ポジションを持ち続け、大きな損失を出した苦い経験がある。
【参考記事】
●ザイFX!で2016年を振り返ろう!(1) 英国がEU離脱! 英ポンドは二度死ぬ!?
●ついに英国のEU離脱が確定的な状況に!! 英ポンド暴落、米ドル/円も100円割れ!
「勝率が低いわけではないんですけど、ときどき大負けして、それまでの儲けをフイにする、典型的な『コツコツドカン』をやらかしてばかり。
『向いてないからやめようか』と何度、思ったかわかりません。でも、この取材を通じてFXへの向き合い方が変わって、安定した利益を出せるようになってきたんです」
『コツコツドカン』の常習犯だった内田さんが、大きな負けをしなくなったというのだ。
かつては「コツコツドカン」の常習犯だった内田さんが、安定した利益を出せるようになった理由とは…?
Brexitではやられたが、トランプ当選では結果を出した
「まず、チャートの見方が変わりました。漫然と方向感を眺めるだけでなく、次の足はどうなるだろうと考えながら、クセを読み取ろうという意欲を持って観察するようになったんです」
チャートの見方が変わったことで、むやみにエントリーして失敗することが少なくなったという。
「確度の高そうなチャンスを待って、十分に引きつけたエントリーができるようになりました。当たりハズレはともかく、先読みしながらチャートを見ることで、『予想どおりの値動きになった時にエントリーする』というルールを実行できるようになってきました。
エントリー後も、頭の中で勝つシナリオができているので、値動きがそのとおりにならなかったら、躊躇なく損切りできるんです。これで、大きな損を出すことがなくなったし、勝率も上がりました」
このおかげで、Brexitの時と同様に、市場予想を覆す結果で相場が急変した2016年11月の米大統領選では、まったく異なる結果を出すことができた。ファンダメンタルズの動揺に惑わされることなく、値動きを客観的に見つめることで、その後の米ドル高の流れに乗ることができたという。
【参考記事】
●ザイFX!で2016年を振り返ろう!(2) トランプ氏当選でまさかのリスクオン到来!
●米大統領選挙は予想外のトランプ氏勝利! リスクオフで米ドル/円急落も意外な動き…
「雰囲気に流されるのではなく、チャートの動きを見て冷静に判断して勝てたというのが、自信につながりました」
チャートの見方が変わったことでむやみにエントリーして失敗することが少なくなり、2016年11月の米大統領選ではまったく異なる結果を出すことができたと話す内田さん
お気に入りの手法はADX + 標準偏差ボラティリティ
内田さんはこれまで、さまざまなテクニカル手法を試してきたが、現在、気に入って続けているのは、21日ボリンジャーバンドと14日ADX(Average Directional Index)、26日標準偏差ボラティリティという、3つの指標を使うトレードだ。
これは、ラジオ番組で共演した、ファンドマネージャーの石原順さんに教わった手法だという。
チャート上に、これら3つの指標を表示しておき、ADXと標準偏差ボラティリティが同時に上向いたら、そこがトレンド発生のサインだ。そのうえで、レートがボリンジャーバンドの±1σ(シグマ)を突破したら、その方向に順張りでエントリーする。ローソク足のヒゲではなく、実体部分がボリンジャーバンドの±1σの中に戻ってきたら、手仕舞いすることにしているそうだ。
(出所:FXトレード・フィナンシャル)
【編集部追記】
石原順さんが推奨する、21日ボリンジャーバンド、14日ADX、26日標準偏差ボラティリティを使ったトレード手法では、ADXと標準偏差ボラティリティが同時に上昇している期間をトレンド相場と判断する。これは、マーケットのボラティリティが高まっていることを示しているため、上昇相場でも下落相場でもトレンド相場の時は2つの指標が上昇する。反対に同時に下落している期間は、相場に方向性がないと判断される。
標準偏差ボラティリティは、「標準偏差(Standard Deviation)」と呼ばれるテクニカル指標のこと。また、ADXはDMI(方向性指数)の指数平滑移動平均線(EMA)のことで、DMIのテクニカル指標の中で同時に表示されることが多い。
MT4(メタトレーダー4)に表示するには、まず片方のインディケーターを表示させ、その部分にナビゲーター画面にあるもう一方のインディケーターをドラッグ・アンド・ドロップすると、標準偏差ボラティリティとADXを同じウィンドウに表示させることができる。下図では通常表示される、ADXの「+DI」と「-DI」は表示させず、わかりやすいようにラインの色や太さを変えてある。
(出所:FXトレード・フィナンシャル)
これらのテクニカル指標はMT4(メタトレーダー4)のインディケーターに標準で組み込まれているため、FXトレード・フィナンシャルのほか、楽天証券「楽天MT4」、YJFX!「外貨ex」などのMT4(メタトレーダー4)画面でも表示できる(YJFX「外貨ex」のMT4(メタトレーダー4)はチャート表示のみが可能となっていて取引はできない)。
【参考コンテンツ】
●メタトレーダー(MT4)が使えるFX会社を徹底比較!
20万円の元手が7倍以上の145万円に!
「原稿仕事をしているときは、1時間足のチャートもモニターに表示しています。チャートが好きな形になってきたら、原稿の手を止めて観察することが多いですね。もみ合いが続いたあとで、上下どちらかにブレイクするのが私の好きなパターンです。
安易なエントリーは失敗のもとではありますが、チャンスを逃すのも嫌なので、まずはブレイクしたタイミングで、ごく小さなポジションでお試し的なエントリーをします。
そのあとで、ADXなどの信頼している指標が買いサインを出したら、本格的に追撃するんです」
この手法を始めてからは、安定した利益を出すことができるようになり、20万円の元手を7倍以上の145万円にすることができたという。
石原さんの推奨する手法で取引し始めてから、内田さんは安定した利益を出すことができるようになり、20万円の元手を7倍以上の145万円に増やすことができたという
内田さんにとっては利益の額よりも、大きく負けることなく利益を積み上げられたことが自信につながった。
「億トレの皆さんと比べると小銭のような利益ですが、これが私の身の丈で、欲を出しすぎないことも大事だと思っています。
実は、著書の発売直後に、『FXの本を出したのだから、もう少し利益を増やさないと』と、少し無理なトレードをしたら、大負けしてしまいました。やっぱり、自分に合った手法とポジション量を守ることが重要だと身にしみました」
億トレの取材を通じて勇気づけられたことは?
少額の資金でも始められるのがFXのメリットではあるが、やはり、資金は多いほうが成功しやすい。それでも、内田さんが取材した億トレたちの中には、元手は数万円や数十万円という人も多い。
しかもそのほとんどが、行き当たりばったりのトレードや、損切りできずに損失を膨らませるといった、ありがちな失敗を経験していた。
「自分と同じような挫折を経験した上で、それを糧にトレードを磨き上げていった点にはとても勇気づけられました」
億トレーダーのほとんどが自分と同じような挫折を経験した上で、それを糧にトレードを磨き上げていった点に、内田さんはとても勇気づけられた
しかし、読者の中にはこう疑問を持つ人もいるだろう。何億も勝ち続けるトレーダーは、天賦の才能や特別なセンスを持った人であり、普通の人が目指せる存在ではないのではないか。
その質問に対し、内田さんはこう答えた。
「彼らが特別なセンスの持ち主である可能性は否定しません。確かに、億単位の利益を上げ続けるには、ある程度、持って生まれた才能が必要かもしれない。
でも、『負けないトレーダー』であれば、努力次第で誰でもなれると思うんです。負けなければ、小さくても利益は残ります。お小遣いや副業感覚で利益を積み重ねるレベルであれば、普通の人でも十分にたどり着けるはずです」
少なくとも、内田さんが取材した投資家たちの中で、才能やセンスだけで億トレになれた人は1人もいなかったという。それぞれに失敗や挫折を経験し、研究を重ねてきたからこそ、今があるという人ばかりなのだ。
才能やセンスだけで億トレになれた人は、取材した投資家の中には1人もいなかったと語る内田さん。それぞれが失敗や挫折を経験して研究を重ねた結果、今があるという人ばかりなんだそう
「甘い考えを持つ人に対して、マーケットは容赦なく資産を奪い取っていきますが、マーケットを理解しようと努力を重ねる人には、ちゃんと果実をもたらしてくれます。
この取材を通じて『努力は報われる』と、億トレの皆さんに教えてもらった気がしています」
勝てる人と勝てない人の差は、紙一重!?
内田さんはこの著書を、「勝てない投資家と勝てる投資家の境界線にいる人たちに読んでほしい」と話す。
勝てない投資家と勝てる投資家の境界線にいる人たちに、著書を読んでほしいと語る内田さん
「FXは飛行機の離陸みたいなもので、ずっと勝てずに悩んでいた人が、突然浮上する瞬間があると思います。その瞬間がいつやって来るかはわからないし、その直前にあきらめてFXをやめてしまう人もいるでしょう。
この本と億トレの皆さんの経験が、浮上する直前にいる人の背中を押してくれることが私の願いです。『もう少し、あきらめずに頑張ろう』と思ってくださったら、こんなにうれしいことはありません」
(取材・文/森田悦子 撮影/和田佳久 編集担当/ザイFX!編集部・堀之内智)
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