昨日はアジア時間の昼間に、習近平主席の発言がマーケットを動かした。自由貿易を大事にするとして、対話によるアメリカとの交渉を進める意欲を示したのだ。具体的なものはまだ出てきていないが、世界的に問題となっている知財権の保護などにも手を入れるといっている。
これが世界中に安心感を与えることとなった。貿易戦争は早期に緩まるのではないかとの見方が強まって、グローベックスセッションで米国株は急騰。そしてS&P先物は前日の高値をも抜けてきた。
為替相場でもリスクテークということで円安には触れたが、値動きに勢いがなくて、ドル円も107円台に乗せてくるのがやっとだった。こんなに鈍い動きだと、高いところを喜んで買っていこうという意欲がわかない。
欧州時間に入ってもリスクオンの状態に変わりはなかったが、面白い動きはオーストリアの中銀総裁の話から起こった。ノボトニー総裁が「緩和体制からの脱出は、まずは預金金利の利上げから始めるべきだ」といったもの。
ここ最近はユーロ金利に関する興味はまったく薄れていたところだったので、この発言にはマーケットが飛びついた。ユーロドルは50ポイントほどピョンと跳ね上がり、にわかにユーロ買いに弾みがついた。
しかし同様の内容の発言を何カ月前だったかに、この人はしている。そのときも他の欧州当局のメンバーに否定されることとなったが、昨日も否定された。しかしユーロは全面高のまま、1日を終えている。
しかし欧州は国がいっぱいあるのだから、そのそれぞれが発言して、そのいちいちに反応していたらキリがないというのが市場の感想だ。アメリカが国際社会で1票しか持てないのを不満に思うのと同じだ。
ドイツに30票ほどの発言権を与えてもいいのではないか。平等が行き過ぎていて、かえって不公平になっている。そういうわけで昨日のユーロ高は一時的なものと考えたい。
市場の話題はもっぱら米中貿易にのみ集まっているので、普通の経済指標には反応できなくなっている。昨日のPPIにもマーケットは反応しなかったし、今夜のCPIにも反応しないだろう。
やはり中国やアメリカからの要人発言を待っているしかないようだ。またシリアへの攻撃の期限も迫ってきている。「ミサイル発射」とかいうヘッドラインがいつ出てきても構えられる態勢でいないといけない。
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