市場のリスク許容度がリバウンドしてきて、イタリア問題にも一服感が出てきた。為替相場でのユーロの戻しが注目される。1.15台の前半まで突っ込んでいたユーロドルも、1.16台の後半までプッシュアップしてきた。
そして昨日の欧州序盤では1.17台に乗せてきた。果たしてこれが短期的なストップロスによるものなのか。それとも本格的に元のレベルであった1.19台とかまでに戻ろうとする動きの端緒なのか。それは今後の推移を見ていかないと判断できない。
ドル円もユーロドルも高く、すなわちクロス円が高い状態でニューヨーク時間に入ったが、夜の10時過ぎにトランプ政権が関税の引き上げを表明した。除外適用の期間が過ぎたからだという理由だ。世の中は中国の貿易問題と同じく、なんとか話し合いで事なきを得るものだとばかり考えていたので、市場は動揺した。
それまで気分よくリスクテークしていたものが一転。米国株も下落に転じ、ユーロ円も下げ幅を拡大した。むろんその間に出ている経済指標なんかは、すべて無視された。
ニューヨーク時間の午後にはカナダやメキシコなどからの報復措置も出てきて、マーケットはますますリスクオフ。米国株が一段安する中で、ドル円もユーロドルもこれまでの戻り歩調は完全に封じ込められた格好となった。
今晩はアメリカの雇用統計であるが、まったく市場の関心を得ていない。それもそのはずで6月利上げはマーケットにほぼ完全に織り込まれているからだ。数業者数がマイナスになったところで、その方針は変わらないものとされている。ドル金利に関しては近い将来の見込みのほうが重要である。
年4回の利上げがあると見込まれていた時に、先週からのイタリア問題などで1回分が吹き飛びそうな格好になっているからだ。それに加えて中国との貿易赤字の問題、そして近づく北朝鮮との外交もある。
昨日に見られたような対EUや対NAFTA勢との関税協議など、先行きの不透明感は増すばかりである。これだけ手を広げてしまったトランプ大統領は、まことに忙しいことである。
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