昨日は東京時間では為替相場はほとんど動かなかった。ドル円は109円台の後半に張り付いたまま。しかし欧州時間に入ってイタリアの新首相が所信表明演説をしたころから、バタバタとうごきだした。その中でコンテ首相は、難民政策の見直しと国民に急進的な変革を求めた。
それが為替相場では急激なユーロ安をもたらし、マーケット全体にリスクの増大をにおわせた。最初はユーロポンドのアグレッシブな売りに出会い、ユーロドルとポンドドルはまさにマタ裂きとなった。
そして少し遅れてユーロ円の売りもかさんできた。ユーロクロスの下げの割には、ユーロドルの下げは緩慢だったといえよう。私もこのステージでユーロドルでショートを持っていたりしたので、ユーロドルの下げの鈍いことを体感している。
しかし欧州株もグローベックスでの米国株もそれによる下げは限定的なものであった。それを見て恐怖を拭い去ったのか、ユーロ円の下げは継続しなかった。ドル円の下げもきついものとはならなかった。
ニューヨーク市時間では貿易問題で多少の混乱を見た。メキシコがアメリカに対する報復措置として、豚肉に20%の関税を適用。それを即日実施すると発表した。これがNAFTA絡みでの混乱をもたらすかにも思われた。
しかしその後に中国が700億ドル相当の食品・エネルギーのアメリカからの輸入を提案してきたので、マーケットは落ち着きを取り戻した。リスク回避とリスクテークの材料が出てきたことになったのだが、ドル円もユーロドルもここ最近のレンジを大きくはみ出ることもなく、難泣きを得ている感じだ。
報道で明日のECB会合で出口戦略の議論がなされるのではないかとの観測記事が出た。観測だとわかっていても、市場はこれに食らいついた。ユーロのショートカバーが激しく入り、ユーロドルは夕方の水準である1.17台まで完全に戻し切ることとなった。なんとも、いやはやである。
週の後半に差し掛かるにつれて、市場の関心は国際会議に向かっている。日米首脳会談やG7、そして来週の米朝協議である。市場は貿易問題と地政学的リスクに神経質になっている。
それらに関する要人発言はマーケットを動かすことになりそうだ。突発的に出てくるので、また何を言うかわからないので備えることはできないが、何が出てきても構えられるようにはしておかないといけない。
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