昨日はADPの雇用調査が悪かったので、それを契機にドル円、ユーロ円が下がることとなった。ドル円はあれだけ粘っていた110円台での定着だったのに、いとも簡単にズルッと落ちた。またユーロ円も150ポイントほどの下げを演じ、ちょっとリスク回避的な動きの加速が意識される状況となってきた。
ニューヨーク市場が引けた後に、トランプ大統領が「次の貿易戦争のターゲットは日本だ」とつぶやいた。これはいつか来る日だとわかってはいたはずだが、それを見ないようにしてきた事実もある。効果はてきめんで、マーケットはすぐに反応し、ドル円はさらに一段安して110円台の中盤まで下がってきた。そしてこれは本日の東京市場でも流れは変わらない。
いよいよ安倍首相がやってきたような「僕ちゃん、良い子」作戦は役立たなくなってきたのである。その先に何が起こるのかを想定してマーケットに臨まないといけないのである。金正恩とも手を握る大統領である。プーチン大統領には何も言えない大統領である。
これから日本に降りかかってくる災難はかなりの大きさのものであることを覚悟しないといけないだろう。また対日との交渉の過程を成果として、中国にも見習うようにと参考資料にしておくという思惑も当然、あるだろう。
これで年内は、少なくとも11月初旬の中間選挙まではドル円やユーロ円はロング攻めするのは危ないということになった。むしろスモールポジションであっても、着実にショートに振っておかないといけないだろう。
今晩は雇用統計である。昨日のADP民間調査では予想よりも悪いと言うことになってドル相場の軟化を招いたが、本番の雇用統計となると民間調査とは関係ないという虫のいい見方が出てくる。これはいつものことだ。
そういうわけで民間調査とは独立に今晩の発表に臨んだ方が得策だろうということになる。事前の予想では就業者数は19万人ほどの増加がコンセンサスとなっている。これよりも2、3万人くらい少なくても「ADPと同じだ」ということで反応は薄いだろう。
反対に20万人を超えてきた場合はどうか。昨日のドルの値下がりの分を取り返しに行くのかと思いたいが、トランプ大統領の対日発言のこともあって、ここからは素直にドル円など円絡みの通貨ペアは上がっていきにくいのである。もしも大きく動く方を期待するのであれば、就業者数が15万人を下回る、などの場合に限られるだろう。
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