■zaifで67億円相当の仮想通貨が消失
仮想通貨取引所から5966枚のBTC(ビットコイン)が消失した。現時点のレート、1BTC=72万円で計算すると43億円相当だ。さらに、現在調査中ということで詳細は明らかではないが、同時にMONA(モナコイン)とBCH(ビットコインキャッシュ)も消失しており、トータルの被害額は日本円で67億円相当になる様子。
「またか」という声が聞こえてきそうだが、今回の舞台となったのはテックビューロが運営する「Zaif」。金融庁へ登録済みの老舗取引所だ(近畿財務局長 登録番号00002号)。
発表があったのは9月20日(木)午前2時15分。異例とも思える深夜の発表だった。

■異変の兆候は3日前から!?
消失の兆候は3日前にあった。Zaifでビットコインやモナコインなどの入出金が停止されたのだ。
現在、BTCとMONAの入出金がサーバ障害により、停止しております。復旧に向け調査中です。入出金をお控えいただけますようよろしくお願いいたします。ご迷惑をお掛けして申し訳ございません。
— Zaif - 暗号通貨取引所 (@zaifdotjp) 2018年9月17日
この段階では、原因は「サーバ障害」とされていた。翌18日(火)、入出金は止まったままだが、新たな発表が行なわれる。
【仮想通貨入出金障害の続報】
— Zaif - 暗号通貨取引所 (@zaifdotjp) 2018年9月18日
現在BTC,MONA,BCHの入出金を一時停止しております。引き続き障害対応中ですが、お客様の資産の安全を確認いたしましたことをご報告いたします。復旧については1~2営業日中に完了する予定です。ご迷惑をおかけしておりますことをお詫び申し上げます。
「お客様の資産の安全を確認いたしましたことをご報告いたします」との文言があるのだが、この時すでにビットコインは消失していた。以下は、9月20日(木)に発表されたZaifのプレスリリースからの引用だ。
「弊社は,平成30年9月17日にサーバ異常を検知し、翌18日にはハッキング被害が確認されたため、財務局へ報告を行なうとともに、原因分析、捜査当局への被害申告等を行なってきました」
プレスリリースによると、不正アクセスが起きたのは、Zaifが異常を検知する3日前。9月14日(金)17時から19時の間だ。
■遅すぎる! 異常検知は不正アクセスから3日も経ったあとだった
Zaifによると、Zaifは顧客の入出金に対応するため、仮想通貨の保管をインターネットに接続された「ホットウォレット」(一部コールドウォレット)で行なっていたようだが、そこから、5966BTCとモナコイン、ビットコインキャッシュがZaifの関与しない外部のウォレットへ送金された、としている。
Zaifが異常を検知したのは不正アクセスから3日後、消失被害を把握したのは4日後だ。
「遅すぎる」との批判は当然だろうし、消失を把握していながら「お客様の資産の安全を確認いたしました」との発表を行なったことにも批判の声は上がるだろう。

※Zaifプレスリリースやツイッターなどから作成
■自社で補償できたコインチェックとできないZaif!?
Zaifのプレスリリースによれば、消失した67億円相当の仮想通貨のうち、顧客からの預かり分は45億円。フィスコからの50億円の金融支援を受けることにより、損失を補填する方向だ。
Zaifは、フィスコに対して支援要請を行い、上述の50億円の金融支援のほか、株式の過半数を取得する資本提携、過半数以上の取締役および監査役の派遣などを内容とする基本契約を締結したとのこと。
2018年1月に発生したコインチェックからのNEM流出事件では、当時の価格で約580億円分の仮想通貨が外部へ流出したが、顧客に対してはコインチェックの資産から補填された。
【参考記事】
●コインチェック事件は全額返金で一転解決!?消えた580億円分の仮想通貨NEMどうなる?
●コインチェックでNEMの補償に伴う日本円返金。総額466億円! 一部サービス再開も
コインチェックには潤沢なキャッシュがあったわけだが、Zaifには45億円の補償を行なうだけの資産がないのかもしれない。

※Zaifプレスリリースから作成
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