昨日はアジア時間でイタリアの政治不安が話題になった。午後2時過ぎに、イタリアで予算案の会合が延期されたというのだ。総選挙を経て、いまだに足下が固まっていないかに見えるイタリア。
予算の規模をEU基準に合わせようとする動きも見られるが、それを拒む勢力もある。それでマーケットはイタリアの予算案の進行にナーバスになっていたところだ。この報道でユーロが売られ、そのまま値を戻さない。
欧州時間でもユーロドルは安いままだったが、ドル円が上がっていかないので当初はユーロ固有の問題化と思われた。円絡みでユーロ安を反映するのはユーロ円だろうということ。
しかしニューヨーク序盤からは予想を一転して、ドルの全面高となった。ユーロドルの安さが間接的にドル高をもたらしたとも言えよう。マーケットのいちばん弱いところに出てしまったという感触でもある。
ユーロドルはそのまま押し目を探る展開となって重いまま。ドル円も113円台を回復してきてからは、ぜんぜんゆるまない。そのまま年初来の高値水準となるレベルまで押し上げられて、ニューヨーククローズではそのままの高値ひけの形となった
今日は9月の最終取引日である。懸念されていた9月のリスクオフはなかったようである。ここ数十年の過去の統計では、月別で9月はほとんど株価は下げているようだ。すでにジンクスにまでなっており、そのようなポジションを好んで取るリスクテーカーも多いようだ。
それは先月末の値段と、今日の終値を比べるのである。世界のリスク性商品の代表は、いうまでもなくS&P先物である。これが上がっているのかどうかで、9月相場はどうだったかを判断されるわけである。
S&P先物の8月末の終値は2902ポイントであった。しかしこれは中心限月が9月ものだったので、それを現在の中心限月である12月ものに引き直さないといけない。これはキャリリングコストを加えるだけでよい。12月ものは9月もよりも5ポイントほど高かったので、比べるべき基準となる先月末の値段は2907と見てよい。
そして昨日のS&P先物のニューヨーククローズは2920であった。13ポイントだけ上回っている。もちろん13ポイントというのは1日で簡単に動いてしまう距離である。もしも2907を下回れば「やっぱり9月はダメだったかぁ」ということになるだろうし、現状を維持していれば「中間選挙は株価が上がる年なので特別だ」などと言われることになろう。ともかくもリスク相場の行方を要ウオッチ。
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