金曜日は日本株が大幅上昇となった。日経平均が24000円台に乗せてきただけでなく、今年の最高値をも上回ってきたのだ。その前日には反落をしていた日本株だっただけに、ちょっと上値サイドには警戒感ももたれていたのだのだが、それを難なくこなした格好。それでマーケットではリスクオンのムードが強まって、為替相場でも円安圧力が強まった。
ドル円は113円台の中盤。しかし値動きは大きくなく、上値の抵抗レジスタンスとして20数年前のベンツエン・シーリングが意識された。米政府の財務長官が公式に「ドルは安い方がいい」といった水準である。
キャリイングコストを考えれば、何十年も前の為替レートは意味がない。それでも心理的にも作用して、113.60アッパーは買いづらい状況を醸し出している。私もドル円が強いと見ながらも、高い水準からドルロングにする意欲はわかなかった。FOMCで利上げしたからといっても、それは完全に織り込まれていたことなので材料にはならない。
本当にドル相場が上がるのならば、これからでもいくらでも上がれるはずだ。114円台からロングにしていっても取れるはずだと思い直して看過するしかない。とはいっても金曜日はニューヨーククローズにおいても、ドル円はほぼ高値引けしている。
先週は日米の物品協定を進めるということで、なんとなく自動車関税が回避されたかのように思われた。そして実際にマーケットもそっちの方向で反応し、日本株は上昇。今年の最高値を伺う展開となった。しかし共同声明をよく読んでみると、そこには農産品で、特に牛肉の分野でTPP級の低関税をアメリカに認める方向になっている。
勝手にTPPを離脱しておいて、自分らの有利になること部分だけは確保したいということだ。現状のイギリスのEU離脱交渉のネックとなっている部分と同じで、回りからはいいとこ取りは許さないという声も大きいはず。それを日本は飲みそうだと言うのだ。安倍首相は日本側に有利に導いたと言っているが、ぜんぜんウイン・ウインどころではない。
また肝心の自動車も協議の続く間は関税の話しを持ち出さないことを約束しただけで、関税をかけないとは言っていない。近くはメキシコとの合意を見ても、輸入台数の制限をかけることは必死だ。また韓国とのFTAでも同じ制限で成功しているものだから、トランプ政権は台数制限をかけてくるものと思われる。
制限を超えた分には25%の関税をかけることになるのだろう。実質的にはニューメリカル・ターゲットであり、これは20年前に日本政府がミッキー・カンター通商代表に対して毅然として拒否した項目である。果たして今回は拒みきれるのか。
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