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自民党の高市新総裁誕生を受けて米ドル/円は急騰!8月1日の高値をブレイクし、しばらく強含みの展開が期待できるか
前回のコラムでは、米ドル/円のターゲットを「最大154円台」と提示し、また高市早苗氏の自民党総裁当選によって円売りが進む可能性を予測していたが、そのまま現実になった。
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⇒米ドル/円は最大154円程度まで、上昇余地が拡大する可能性も!? 日銀の10月利上げ観測、米政府機関の一部閉鎖でも、米ドル/円の切り返しが続くとみる理由は?(2025年10月3日、陳満咲杜)
週明け(10月6日)以降、米ドル/円や日経平均の急騰は、いわゆる「高市トレード」の一環として解釈され、さらに、「サナエノミクス」への憧憬として受け止められている模様だ。
高市政権の誕生があれば、積極的な財政出動や緩和的な金融政策の維持が期待され、アベノミクス2.0と言わんばかりの見方が多い。その正誤はともかく、株高・円安の一段加速がみられているから、目先トレンドを逆張りできない。
もっとも、筆者は本コラムをもって8月1日(金)の高値・安値に注目すべきだと主張してきた。米ドル/円は一気に同日高値をブレイクし、その上に定着しているから、しばらく強含みの展開を維持できる。

(出所:TradingView)
対照的に、ユーロ/米ドルは反落してきたものの、8月1日(金)安値よりなお大分高いところに位置しており、米ドル安が一服したとはいえ、本格的なユーロ安の市況には程遠いことが示唆されている。

(出所:TradingView)
だからこそ、ユーロ/円は2025年年初来高値ばかりか、昨年(2024年)高値も突破し、実質的には1992年9月以来の高値を付けている。

(出所:TradingView)
この意味において、「アベノミクス以来の円安」と警戒されてもおかしくない。ゆえに、「日本売り」といった煽りの言論がまた急増してきたのも不思議ではない。
「高市トレード」の賞味期限は”意外に”短いかも? むやみな米ドル高の予測にも距離を置きたい
しかし、ここでは逆説を唱えたい。ユーロはもっとも重要な外貨であることに異論はないが、円安の程度を測るのはあくまで対米ドルのレートであり、対ユーロではないから、もしかすると今の円安はすでにかなり「行きすぎ」になっているかもしれない。
換言すれば、米ドル安の一服がしっかり確認されている一方、米ドル/円は2025年年初来高値になお大きな距離があり、昨年(2024年)高値の更新を現時点の材料をもって予測しにくいから、「高市トレード」の賞味期限は”意外に”短いかもしれない。
おもしろいことに、年初来一貫して米ドル安に賭けてきた国際的な投機筋が、ここまでくると一転して米ドル高に賭け、いわゆる“どてん”した模様だ。ブルームバーグ社のサイトでは、「ヘッジファンドがオプション市場で米ドルへの強気姿勢を強めており、主要通貨に対する米ドルの反発が2025年年末まで続くと見込むポジションを拡大している」といった内容の記事が出始め、米ドルの一段上昇を匂わせる。
だからこそ、少なくとも米ドル/円に関して、むやみな米ドル高の予測にも距離を置きたい。
米ドル/円の急騰自体、サナエノミクスに関する思惑の大半を織り込んでいると思う。しかし、高市氏が昨日(10月9日)表明したように、円安志向がない上、日銀の独立性を尊重し、さらに責任ある財政政策の推進を改めて強調しており、マーケットの期待(あるいは警戒)よりかなり現実路線を取っているように見える。
日銀の利上げが10月に実施されるとみる理由は? アベノミクスの再来はあるわけない?
日銀の2025年年内利上げの可能性に関しても、いろんな見方があるが、筆者は今月(10月)利上げありとみる。急速に進行してきた円安を、政府としてはインフレを高める要素として無視できない上、米国の不評を買うまで放置はできないから、利上げを「容認」するスタンスを示すだろう。そして、すでに超緩和政策から転換してきた日銀、新政権発足のタイミングにおいて、今回利上げしなければ今後さらに難しくなるから、「今しかない」と判断されるだろう。
さらに突っ込んで言うなら、そもそもサナエノミクスに関する思惑が「怪しい」。「株高不況」という言葉が流行っていることに暗示されるように、「資産バブル」が膨らんでいる一方、庶民はインフレの進行に悩まされている状況で、デフレ退治を目的とするアベノミクスの再来があるわけがない。市場は早晩というか、新政権が発足してからまもなく気づくはずだ。
そのあたりの詳しい解説はまた次回に譲るが、米ドル/円の高値をあまり積極的に追わず、米ドルの反騰を見込めるなら、円以外の外貨売りをおすすめしたい。市況はいかに。
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