メルケル首相が12月の党首選には出ないということで、EUをリードしてきたドイツの国内の求心力が弱まることが心配されだした。当面の間はユーロの売り圧力は高まるものと思われる。
ドルは金利的な側面からも押し目買いでよいだろうというスタンスはキープすべきであるし、今しばらくはユーロドルでショート攻めというのが基本方針にならざるをえないだろう。メルケル政権が長かっただけ、ポスト・メルケルのEUの動向がまだはっきりしないからだ。
ドル円の動きが鈍いのは仕方がないが、それに付き合う形でユーロドルも値動きにダイナミックさを欠いている。ユーロドルが下がってきても、今ひとつ走ることはなく、1.13台に入ってきても、あまり緊張感が見られない。
今年の最安値を望む場所に位置しているのに、マーケットでは話題にもならない。ユーロドルが為替取引に半分以上のボリュームを占めているので、ユーロドルの下げはドル高を意味するのは明らかだ。
しかしあれだけドル高を嫌がっていたトランプ大統領もドル高についての言及は減ってきている。まあ為替レートのほうは、来年初旬から始まるEUや日本との自動車交渉の切り札に残しているのかもしれないが。
昨日も資本市場の方では株価が大きく動いて荒れている。こういうときに為替相場が比較的に静かなのはいいことか、どんなものか。少なくとも米国株が下がってきたからといって、ドルを合わせ売っていっても、すぐには利益が得られない。
為替だけ別物だと考えて取り扱わないと、危険である。従来までの相関性を利用できなくなってきているということだ。こんなときは時間をかけてでも、スモールポジションでしっかりとファンダメンタルズに沿った方向で攻めるしかないだろう。
今晩から明日朝にかけでもたくさんの種類の経済指標が出るが、総じて無視されるだろう。昨日のニューヨーク終盤から急上昇している米国株の値がこのまま現在のレベルで保つことができるかどうかのほうが重要である。株価が維持できれば、ドル円も一段高を期待できるだろうし、ユーロドルも1.12台への突入もありうるかもしれないのである。
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