マイナンバー制度の運用がスタートして3年
2016年(平成28年)1月から運用が始まったマイナンバー(個人番号)制度が、2019年1月で丸3年を迎える。
マイナンバーは、国民一人ひとりに割り当てられた12桁の数字で、社会保障や税、災害対策にかかわる行政手続きで必要となるものだ。
それは、FXにも無関係ではなく、FX会社が税務署に提出する支払調書に顧客のマイナンバーを記載することが義務づけられるようになった。
ザイFX!では、以前、FXの口座開設に絡めて、マイナンバーについて紹介した記事を公開している。
2018年12月末でマイナンバー登録の猶予期限を迎える
上の【参考記事】でも触れられているが、FXの場合、新規に口座開設した時期によってマイナンバーの提出方法に違いがある。
マイナンバー制度がスタートした2016年1月以降にFX口座を新規開設した場合、マイナンバーを提出しないと、口座開設ができなかったり、口座開設はできても取引ができないしくみになっている。
しかし、マイナンバー制度がスタートする前、つまり、2015年12月より前にFX会社に口座開設をしていた場合、マイナンバーを提出するまでに3年間の猶予期間が設けられたため、マイナンバーが未提出であっても、2016年1月以降も、これまでどおり取引することができた。
その3年間の猶予期間だが、2018年12月末で期限を迎える。
つまり、2015年12月より前にFX口座を新規開設して、まだマイナンバーをFX会社に提出していない人は、12月末までに提出しなければならないということだ。
記者の元にも、口座開設しているFX会社からマイナンバー登録の催促メールがいくつも届いていて、早くマイナンバーを提出しなければ……と思っているところだ。
「取引制限などの予定なし」が16社中9社!
この2018年12月末までにマイナンバーを提出することは、法令で義務付けられているのだが、では、2018年12月末までにマイナンバーを提出しなかったらどうなるのか? 法令違反でいきなり逮捕!?なんてことがあるのだろうか?
そんなことはないようだ。FX会社へマイナンバーが未提出であっても、それに対して、とくに罰則は設けられていない。仮にマイナンバーの提出が間に合わなくても、逮捕されたり、処罰されたりすることはないのでご心配なく。
とはいえ、マイナンバーの提出が間に合わなかった場合、逮捕はされないとしても、取引ができなくなったら困るだろう。そのあたりについては、どうなっているのだろうか?
記者はその点をFX各社に問い合わせてみた。
まず、以下の表をご覧ください。こちらは、今年(2018年)12月末までにマイナンバーを提出できなかった場合のFX会社の対応状況をザックリまとめたものだ。
※記者がFX各社に聞き取り調査したもの
こちらをご覧いただくと、2018年12月末までにマイナンバーを提出しなかった人の口座について、2019年1月以降も「取引制限などの予定なし」と回答したFX会社は主要16社中9社もあった。
法令で義務付けられているのであれば、猶予期限切れとなる2018年12月末をもってマイナンバーが提出されていない口座は何らかの取引制限がかかりそうなもの。しかし、調査した16社のうち、半数以上のFX会社が取引制限などをかける予定はないと回答したのだ。
そして「未定」との回答は7社。マイナンバー提出の猶予期限が迫る中、2019年1月以降の対応をどうするのか、まだ検討しているFX会社もあるようだ。
取引を制限すると明言した会社はゼロだが当局の指示が怖い
「取引制限などの予定なし」と回答したFX会社は、ヒロセ通商、トレイダーズ証券、サクソバンク証券、DMM.com証券、外為オンライン、FXプライム byGMO、インヴァスト証券、アイネット証券、FXトレード・フィナンシャルの9社。
そして、「未定」と回答したFX会社は、GMOクリック証券、外為どっとコム、SBI FXトレード、YJFX!、IG証券、マネーパートナーズ、セントラル短資FXの7社だった。
一方で、2019年1月以降に「取引制限をかける」と回答したFX会社は1社もなかった。
もし、法令に罰則があって、2018年12月末までにマイナンバーを提出できないということであれば、保有している口座を解約しなければならなくなってしまうことも考えられる。
しかし、今回の場合、マイナンバーの提出が間に合わなくても、法令による罰則もなく、FX会社の取引制限などもかからないので、とりあえず保有しておきたい口座を、そのままにしておくことができるわけだ。
ただし、上表に掲載されているすべてのFX会社が「当局からの指示があれば取引制限などの規制をかける可能性がある」と回答している。
現時点では、2018年12月末までに急いでマイナンバーを提出しなくても大丈夫そうだが、当局からの指示によって急に取引制限がかかるようなこともあるかもしれない。万全を期しておきたいという人は、早めにマイナンバーを提出しておくのがよさそうだ。
マイナンバーを確認するにはどうすればいいの?
ここで、マイナンバーの確認方法も簡単に紹介しておこう。
自身のマイナンバーを確認するには、対象者に向けて「通知カード」が郵送されているはずなので、そのカードを見ればよい。また、居住地の地方自治体に申請して「マイナンバーカード」を取得したのであれば、それで確認してもOKだ。
でも、通知カードを受け取ったかどうか定かではない、または通知カードやマイナンバーカードを受け取ったけれど紛失してしまった……ということもあるかもしれない。その場合、再発行には1カ月ほどかかることがあるという。
また、居住地の地方自治体でマイナンバー記載の住民票を発行してもらうこともでき、こちらについては即日発行されるので、急いでいる場合は、これを活用することもできる。
外為どっとコムはマイナンバーの入力だけでOK!
次に、記者がまだマイナンバーを提出していなかった、外為どっとコムとヒロセ通商の口座で、実際にマイナンバー登録をしてみたので、そのやり方を紹介しよう。
外為どっとコムでマイナンバーを提出するには、マイページにログインして専用フォームから登録することになる。
はじめに、外為どっとコムの公式ウェブサイトからログインしてマイページを開いたら、「マイナンバー登録」をクリック。
次に、マイナンバー登録画面が表示されるので、マイナンバー(個人番号)を入力したら、少し下にある2つの項目にチェックを入れて、「確認」ボタンをクリックする。すると最終確認画面が表示されるので、「申立書を送信する」をクリックすればOKだ。
マイページのトップに戻ると、当初、赤字で「未登録」と表示されていたマイナンバーの欄が「登録済」となり、日付が表示される。こうなっていれば、マイナンバー登録は完了となる。
ヒロセ通商はマイナンバー確認書類のアップロードが必要
次に、ヒロセ通商のマイナンバー提出は、取引ツールにログインするところから始まる。今回は、「.NET4版」取引ツールを使ってマイナンバー登録をしてみた。
はじめに、取引ツールにログインしてメニューの「情報」から、「マイナンバー登録」をクリックする。
すると、画像アップロード画面が表示されるので、ここでマイナンバーが確認できる書類(通知カード、マイナンバーカード[個人番号カード]、マイナンバー記載付き住民票のいずれか)の画像をアップロードする。
外為どっとコムでは、マイナンバー登録は番号を入力するだけでOKだったが、ヒロセ通商では、マイナンバーが確認できる書類のアップロードを要求される。ここが大きな違いだ。
アップロードに成功すると、画像のアップロードが完了したという画面が表示されるので、これでマイナンバーの登録作業は完了となる。
DMM.com証券ではスマホアプリでマイナンバー登録できる
そのほか、DMM.com証券[DMM FX]では、スマホアプリを使ってマイナンバー登録をすることができる。
スマホにアプリをインストールしたら、アプリを起動させてログインし、「メニュー」をタップ。
表示されたメニューから「書類アップロード」をタップする。
次に、「ファイルを選択」で確認書類を選択する。選択画面では、スマホにあらかじめ保存されている画像を選択することもできるし、カメラを使って「通知カード」や「マイナンバーカード」などを撮影して、それを確認書類としてアップロードすることもできる。
最後に、「アップロード」をタップすれば登録完了となる。
このDMM.com証券[DMM FX]のように、スマホアプリを使ってスムーズに、そして簡単にマイナンバー登録ができるようになっているFX会社もある。
ここまで外為どっとコム、ヒロセ通商、DMM.com証券を例に紹介したが、FX会社によってマイナンバー登録のやり方は違うので、自身が口座開設しているFX会社の公式ウェブサイトなどで登録方法を確認したほうがよさそうだ。
今回は、2019年1月以降、マイナンバーを登録していない人の口座がどうなるのか、FX会社に聞き取り調査を実施した結果などについて紹介してきた。
記者が調べた限り、現時点では、2018年12月末までにマイナンバーを提出していなくても、取引制限などをかけると回答したFX会社はなかったので、2019年1月になったらすぐに取引ができなくなるといった心配はなさそう。
それでも、ちょっと心配だな……なんて思う人は、早めにマイナンバー登録しておくのがよさそうだ。
(ザイFX!編集部・庄司正高)
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