■「合意なき離脱」となれば、影響はグローバルに及ぶ
振り返ってみれば、メイ首相は、もともとEU残留派。
その首相がBrexit(英国のEU離脱)交渉をここまで忍耐強く続けていることには、頭が下がるといった印象。
ただ、事態が大きく好転しているわけではなく、EU離脱法案を英下院で通過させることが極めて難しいことは変わらず。
前回のコラムでご紹介させていただいたように、仮に「合意なき離脱」となった場合は、英国だけではなく、グローバルに多大な影響を及ぼします。
以下、前回のコラムからの抜粋。
BOEの報告書によると、仮に、メイ首相のEU(欧州連合)離脱計画が議会承認を得られずに、合意なき離脱に至る場合、英国経済は第2次世界大戦以降で最悪の不況に陥るとしています。
この報告書によれば、英国のGDPは8%低下。
英ポンドは対米ドルで25%急落し、英ポンド/米ドルは、パリティ(=1.0000ドル)を割り込む可能性が高まるとのこと。
【参考記事】
●FRB議長などのハト派発言で米ドル下落! 英ポンドは、合意なき離脱なら25%急落か!?(11月29日、西原宏一)
「合意なき離脱」に陥り、実際、英ポンドが対米ドルで25%急落し、英ポンド/米ドルがパリティ(=1.0000ドル)を割り込むとすれば、他通貨にも大きな影響を及ぼすことは変わらず。
(出所:Bloomberg)
逆に、これを回避できれば、英ポンドは大きく踏み上がることにもなります。
引き続き、Brexit関連の報道と英ポンド/米ドルの動向には要注目。
■FOMCは2019年の利上げの行方に注目
Brexit関連以外での注目は、来週(12月17日~)に迫ったFOMC(米連邦公開市場委員会)。
12月19日(水)のFOMCでは、政策金利が引き上げられるというのがコンセンサス(利上げ織り込み度は、本稿執筆時点で75.7%)ですが、注目は2019年の利上げの行方。
前回のコラムでご紹介させていただいたように、FRB(米連邦準備制度理事会)パウエル議長自身が11月28日(水)の講演で、「中立金利をわずかに下回る」と発言しています。
【参考記事】
●FRB議長などのハト派発言で米ドル下落! 英ポンドは、合意なき離脱なら25%急落か!?(11月29日、西原宏一)
このコメントから考えれば、今月(12月)、政策金利の引き上げが行われると仮定すると、「さらに中立金利に近づく」ことになります。
写真はFRBのパウエル議長。12月のFOMCで利上げが行われるとすれば、さらに中立金利に近づくことになるが… (C)Bloomberg/Getty Images News
加えて、来年(2019年)、連続利上げすればオーバーキル(引き締めすぎ)となるため、その可能性は大きく後退します。
結果、米ドルは早晩、反落する可能性が高まります。
混迷を極めるBrexit情勢と、来週(12月17日~)のFOMCの行方に注目です。
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