■ファーウェイ副会長逮捕と米国債「逆イールド」で株安に
まずはファーウェイの件ですね。創業者の娘でもある副会長が逮捕されました。NYダウは先週(12月3日~)、1000ドル以上の下落となりました。
【参考記事】
●米政府がファーウェイ・ショックのタイミングを演出!? 市場も歓迎、株もドル/円も底打ち?(12月7日、陳満咲杜)
(出所:Bloomberg)
米中貿易摩擦ではなく、新しい冷戦に入ったとの見方も出てきましたね。
それに加えて米国債市場では米3年債と5年債の利回りが逆転する「逆イールド」になったことも話題となり、株売りにつながったようです。
【参考記事】
●逆イールドは、本当に米景気後退の前兆か? 12月FOMCの「ドットチャート」に注目!(12月6日、今井雅人)
(出所:Bloomberg)
一般的には2年債と10年債が逆イールドになると、景気後退局面入りのシグナルとされます。
今回は3年と5年ですが、アルゴリズムトレードが反応して株売りの動きが出たようですね。
2年債と10年債はまだ逆イールドになっていませんが、株安が米ドル/円の頭を重くしてくるのでしょう。
(出所:Bloomberg)
来週(12月17日~)は年内最後のFOMC(米連邦公開市場委員会)。利上げするのでしょうが、注目は来年(2019年)以降の見通しがどうなるのか。
ごく一部ですが、来年(2019年)は利下げに動くのではとの見方も出てきました。
過去にNZドルはRBNZ(ニュージーランド準備銀行[ニュージーランドの中央銀行])の利上げとともに買われていましたが、RBNZが金融政策をニュートラルに転換させただけで大きく売られました。
FOMCはまだ利上げ段階ですが、中立金利に近づいてニュートラル化が見えてきたことで米ドル安へと向かうのではないかと思います。
■フランスでデモ発生も底堅いユーロ/ドル。13日はECB理事会
今週12月13日(木)にはECB(欧州中央銀行)理事会がありますね。
ドラギECB総裁は「2019年夏までは現行水準にとどまる」と発言し、市場は秋以降の利上げを織り込んでいましたが、雲行きが怪しくなってきました。
ドラギさんがこのあたりの言い回しを変えてくるのかどうかが焦点となりますね。
【参考記事】
●ECBの利上げ期待剥落でユーロ急落! 米中貿易摩擦の激化は米ドル安要因に?(6月18日、西原宏一&大橋ひろこ)
欧州の状況を見ると、フランスの大規模デモは一部が暴徒化していますし、イタリア予算の問題や、ブレグジットもある。それでもユーロ/米ドルは底堅い動きをしています。
ユーロの材料ではなく、米ドル側の材料が強いのでしょう。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 日足)
ドイツ銀行には、顧客のマネーロンダリングに関与した疑いで家宅捜査も入っていますね。
気になるのがゴールドとユーロの相関です。米金利の低下もあってゴールドは上昇しており、相関関係からはユーロも上がるはずなのについてこない。
ゴールドとユーロ、どちらかが間違えているのでしょうか。
(出所:Bloomberg)
■EU離脱案採決、何が起きるかわからずリスクが大きい
ユーロ/米ドルは1.12ドルを割らない限り、上がるのだろうと思っていますが、今週(12月10日~)はECB理事会、それに12月11日(火)深夜には英議会のEU(欧州連合)離脱案採決が予定され、乱高下も予想されます。
【参考記事】
●EU離脱案の採決控え欧州通貨は乱高下! 売られ続けた豪ドルに「意外高」の気配が!?(12月3日、西原宏一&大橋ひろこ)
英議会の採決は延期されるのでは…との見通しも出てきました。
市場は否決を織り込みつつあり、可決は難しいのでしょう。予定どおり採決が行なわれた場合は、どのくらいの票差で否決されるのかも焦点となりそうです。
75票差、100票差といった大差での否決になるとメイ英首相の進退問題の懸念が強まり、英ポンド売りの動きも強まるとの見方です。
12月11日(火)深夜に予定されている英議会のEU離脱案採決。大差での否決になると、メイ英首相の進退問題の懸念から英ポンド売りが強まる可能性も… (C)Matt Cardy/Getty Images News
でも、議会採決は何が起きるかわかりません。予想してポジションを取るのはリスクが大きい。
否決が織り込まれつつあるとはいえ、「バイ・ザ・ファクト」で買い戻しになるとも言い難い。さわらないのが無難でしょう。
■協調減産は原油反発の材料にならず!? 米ドル/円は戻り売り
急落していた原油市場ですが、先週末(12月7日)にはOPEC(石油輸出国機構)とロシアなどのOPEC非加盟国が日量120万バレルの協調減産で合意しました。
事前には100万バレルから140万バレルといった数字が出ていましたからノーサプライズ。
供給過剰の懸念を払拭して原油が大きく反発するほどの材料にはならなそうです。
(出所:Bloomberg)
原油価格の低迷が続くのだとすれば、インフレ圧力は高まらず、米金利も上がりにくい。
米中貿易摩擦には90日間の交渉期間が設けられましたが、ファーウェイ問題で早速暗雲が立ち込めていますし、やはり、中期的に米ドル安へと向かっていくのでしょう。
今週の戦略はどう考えますか?
米ドル売りを基本にしたいのですが、ユーロについてはECB理事会や英議会採決が控えているため、米ドル/円の戻り売りでいきたいと思います。
(出所:Bloomberg)
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