■米中首脳の合意は織り込み済みの材料
今日(12月3日)の話題は、週末(12月1日)の米中首脳会談ですね。対中追加関税の90日間猶予などが合意されました。
今日(12月3日)は日本株が買われ、豪ドルもギャップアップして始まっていますが、合意内容はウォールストリート・ジャーナルが先週(11月26日~)報じていた通りです。この報道を受けて、金曜日(11月30日)の米株市場は買われていました。
今夜のニューヨーク時間で、もう一段の上昇があるかもしれませんが、織り込み済みの材料。長くは続かないのではないでしょうか。
米中の交渉にしても、90日間で劇的に状況が変わるとは思えません。
(出所:Bloomberg)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/円 1時間足)
(出所:Bloomberg)
日本株市場では、先週(11月26日~)から中間配当の支払いが本格化しており、特に、今週(12月3日~)前半は多額の支払いがあるようです。
配当が再投資に回るようだと、日本株は今週(12月3日~)も強含むかもしれませんね。
■年内最後のビッグイベントが12月11日に
ブレグジット(Brexit)の行方も、いよいよ大詰めになってきました。
来週12月11日(火)にはEU(欧州連合)離脱案が英議会で採決されます。否決される可能性も高く、メイ英首相への不信任案が提出されるかもしれません。年内最後のビッグイベントとなりそうですね。
今週(12月3日~)後半から英ポンドやユーロはヘッドラインで乱高下するのでしょう。
【参考記事】
●衝撃的な原油価格急落が金融危機を招く!? ドル安進行を見込んで米ドル/円は戻り売り(11月26日、西原宏一&大橋ひろこ)
12月11日(火)に英議会で予定されているEU離脱案の採決が年内最後のビッグイベントとなりそう。否決されれば、メイ英首相への不信任案が提出される可能性も… (C)Matt Cardy/Getty Images News
英ポンド絡みでは、12月5日(水)に開かれるアイルランドの製薬大手シャイアーの株主総会も注目ですね。
「史上最大の買収劇」と騒がれた武田製薬によるシャイアーのM&Aですが、シャイアーの創業家は買収に反対する意向を示しています。結果次第では英ポンドが動くと見る向きもあるようです。
【参考記事】
●武田薬品の英シャイアー7兆円大型買収の行方に注目! 巨額の英ポンド買いの噂も?(4月26日、西原宏一)
●米ドルは早晩ピークアウトする!? 2019年にかけて、米ドル弱気派が急増するワケは?(11月22日、西原宏一)
どういった為替のフローが出るかはわかりませんが、注意しておきたいですね。
■ロシアとサウジの合意で原油反発も、大底確認できず?
今週12月6日(木)、7日(金)にはOPEC(石油輸出国機構)総会やロシアも含めたOEPC非加盟国との会合が開かれます。
急落していた原油ですが、週末のG20(20か国・地域首脳会合)でロシアとサウジアラビアが協調減産の継続で合意。今日(12月3日)は買い戻されています。
サウジのムハンマド・ビン・サルマン皇太子と、減産に消極的だったプーチン・ロシア大統領が親しげにハイタッチを交わす写真も公開され、安心感が広がっているようです。
ただし、需給はゆるんだままですからテクニカル的な反発があっても、大底の確認とまでは至らないというのが大勢の見方です。
(出所:Bloomberg)
原油が急落したことでインフレ懸念が後退します。インフレ圧力の低下で追加利上げの必要性も薄まって米金利は下落、結果として米ドル売り圧力が高まりやすくなる。これは、トランプ米大統領の望んだ展開でもあります。
誰かがシナリオを考えているとしたら、よくできているなと感心しますね。
【参考記事】
●衝撃的な原油価格急落が金融危機を招く!? ドル安進行を見込んで米ドル/円は戻り売り(11月26日、西原宏一&大橋ひろこ)
■FOMC前の米雇用統計、注目度低いが米金利の反応に注目
今週12月7日(金)には、米雇用統計の発表も。
米雇用統計への注目度は低くなっていますが、米金利の反応は見ておきたいですね。
再来週(12月17日~)にFOMC(米連邦公開市場委員会)を控え、利上げの織り込み度は78%程度。さすがに今月(12月)は利上げするのでしょうが、今回の利上げサイクルでの最後の利上げともなりかねません。
先週(11月26日~)は、パウエル発言で大きく動きました。
今週12月5日(水)深夜には、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長の議会証言が予定されていますが、ブッシュ元大統領の国葬となったため、日程変更となるのかもしれません。
【参考記事】
●FRB議長などのハト派発言で米ドル下落! 英ポンドは、合意なき離脱なら25%急落か!?(11月29日、西原宏一)
●パウエル発言に小躍りする市場に落とし穴。米利上げ早期停止観測が間違っていたら…(11月30日、陳満咲杜)
■豪ドルに上がる気配が!? 豪ドル/米ドルで買い場探し!
米利上げサイクルは終盤ですし、米ドル安方向の見方は変わらないのですが、今週(12月3日~)、注目したいのは豪ドル。
今年(2018年)売られ続けた豪ドルですが、秋口から下げ渋りが顕著となってきました。来年(2019年)に向けて米豪金利差も縮小していくでしょうし、上海株が急落するようなことがないかぎり、豪ドルは意外とスルスル上がっていくような気配もあります。
(出所:Bloomberg)
豪ドル/米ドルは、逆三尊(※)のような形にもなっていますね。
(※編集部注:「逆三尊」とはチャートのパターンの1つで、大底を示す典型的な形とされている。「ヘッド&ショルダーズ・ボトム」とも呼ばれる。また、「逆三尊」の逆で、天井を示す典型的な形が「三尊」(ヘッド&ショルダーズ))
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/米ドル 日足)
ユーロ/米ドルの買いでもいいのですが、12月11日(火)に英議会採決があり、欧州通貨は手を出しにくい。
今週(12月3日~)は、豪ドル/米ドルで買い場を探していきたいと思います。
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