■FOMCの声明文がもたらした影響は、さほど大きくなかった?
為替市場への影響については、今回のFOMCを受け、米ドル安が当然の結果と見なされ、また、米ドル全面安が続くとの見方が多い。しかし、肝心なのは、米ドル安自体は、昨年(2018年)年末まで続いた米ドル高に対する反動であり、また、昨年(2018年)年末からすでに続いてきたことである、ということだ。
(出所:Bloomberg)
ドルインデックスを見れば、おわかりいただけるだろう。
今回のFOMCを受け、ドルインデックスはもう1回、200日移動平均線にトライしている。1月10日(木)にてすでに1回トライしていたから、FOMCの声明文がもたらした影響は、巷が言うほど大きくないというか、相場の内部構造はすでに今回のFRBの政策転換を織り込んでいた可能性が大きい、ということが示唆されていると思う。
■米ドル/円がドルインデックスとともに下落するのは“連れ安”
さらに一般論として、米ドル/円がドルインデックスと連動して下落する場合は、円高云々ではなく、単純に連れ安とみるべきであろう。
何しろ、そういう時は往々にしてクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)における外貨高につれ、円全体の頭が押さえられるからだ。目下の市況はそのとおりではないかとみる。
米ドル全体の反落は、昨年(2018年)年末からすでに鮮明だった。英ポンドが急速に切り返し、さらにEU(欧州連合)離脱案の否決があっても切り返しを継続していたことは、実に象徴的な出来事だ。
(出所:Bloomberg)
ゆえに、主要クロス円のうち、英ポンド/円のV字回復がもっとも目立ち、また、クロス円の持ち直しが逆に米ドル/円の下値を限定してくることを示す。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足)
■米ドル/円はしばらく反落も、107円台に留まるのではないか
既述のように、今回のFOMC声明文から米ドル安の可能性を想定することは「後解釈」にすぎない可能性が大きいと筆者はみる上、米ドル安になったとしても同じロジックで円高を想定するのには限界があると思う。
前述のように、米ドル全面安なら、クロス円のパフォーマンスは中立なので、米ドル/円の下値余地はむしろ限定されるからだ。
ゆえに、FOMC声明を受け、米ドル/円は前回の見方と違って、切り返しを早期に終焉し、しばらく反落していくとみるが、107円台には留まるのではないかと思う。
【参考記事】
●市場の想定に反したポンド高は何を示す? 円高のクライマックスはもう過ぎたのか?(陳満咲杜、2019年1月25日)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
米ドル/円にしても、主要クロス円にしても、2019年年初にて日足や週足で形成された「スパイクロー」のサインが、これからも下支えになる公算が高い。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足)
詳細な分析はまた次回、市況はいかに。
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