■ユーロ/英ポンドに0.83ポンド台への下落余地!?
英国のEU(欧州連合)離脱延期の思惑から、英ポンドの買い戻しは先週(1月21日~)も続き、英ポンド/米ドルは、1.3216ドルまで上昇しました。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/米ドル 日足)
ユーロ/英ポンドも、0.86ポンド台前半の、長期のサポートゾーンまで下げました。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/英ポンド 週足)
サポートゾーンのため、一時的に下げ止まっていますが、先週(1月21日~)のECB(欧州中央銀行)理事会でドラギ総裁が、ユーロ圏の成長見通しのリスクは下向きと発言しました。
英ポンドのBrexit(英国のEU離脱)次第にはなりますが、チャート上では、ユーロ/英ポンドは0.86ポンドを下抜けると、0.83ポンド台前半までの下げ余地が出てきます。
(出所:Bloomberg)
今後も、Brexitに関しては、注目される材料ではないかと思います。
【参考記事】
●英ポンドの買い戻し継続をチャートが示唆!? 米ドル/円は中長期目線で110円以上を売り(1月22日、バカラ村)
●英ポンド/円はわずか3週間で12円弱反発! 合意なきEU離脱懸念後退で上値余地拡大。(1月24日、西原宏一)
●市場の想定に反したポンド高は何を示す? 円高のクライマックスはもう過ぎたのか?(1月25日、陳満咲杜)
■英ポンドは底堅い展開が続くと考えるワケは?
1月29日(火)には、英国議会で、離脱修正案の採決が行われる予定となっています。
これは、否決される見込みのため、市場にもすでに織り込まれていると思います。
3月末の離脱期限まで、残り2カ月ほどしか残されておらず、そのまま期限を迎えると、合意なき離脱(※)となります。
(※編集部注:「合意なき離脱」とは、2年間の交渉で合意に至らず、何の取り決めもないまま、英国がEUを離脱すること)
ただ、合意なき離脱を避ける動きが強いため、期限の延長かソフトBrexit(※)になる可能性が高まっています。
(※編集部注:「ソフトBrexit」とは、EU離脱後も英国が関税同盟(あるいは単一市場)に残留するパターンのBrexitこと)
【参考記事】
●日本のBrexit報道は正確ではない!? ソフト・ハード・合意なき離脱の違いとは?(2018年9月12日、松崎美子)
●合意なき離脱ならポンドは10~20%下落も。2度目の国民投票は?“クーデター”の噂も!?(2018年9月17日、松崎美子)
それまでは、合意なき離脱の可能性が残るため、急落リスクに備えるために、英ポンドを売っている人もいることを考えると、英ポンドは底堅い展開が続くのではないかと思います。
(出所:Bloomberg)
(出所:Bloomberg)
■米政府機関の閉鎖解除でも、米ドル/円はレンジ継続か
1月25日(金)には、米政府のつなぎ予算が可決され、米政府機関の閉鎖が解除されました。
これまで発表されなかった経済指標が、今後、発表されることになるため、しばらくは米ドルが乱高下する可能性があります。
米ドル/円は、110円に実需の売りがあるとされていますが、先週(1月21日~)は、何度も110円をトライする動きがありました。
しかし、1月25日(金)にウォール・ ストリート・ジャーナルが、「FRB(米連邦準備制度理事会)がバランスシート縮小の終了を議論」と報道したことで、米ドル安に推移しました。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)
これで、米ドル/円の110円トライの動きも失敗に終わりました。チャート上も、110円はレジスタンスとなっており、しばらくは、108~110円のレンジでの推移が続きそうです。
■イベント多いが米ドル/円の動きは限定的
今週(1月28日~)のイベントとしては、29日(火)~30日(水)にFOMC(米連邦公開市場委員会)、30日(水)~31日(木)に米中貿易協議の閣僚級会議があります。
2月1日(金)には、米雇用統計もありますが、サプライズがない限り、米ドル/円は、108~110円での推移となるのではないかと考えています。
(出所:Bloomberg)
今週(1月28日~)のFOMCでは、政策金利は現状維持になると思いますが、ウォール・ ストリート・ジャーナルの報道や、タカ派のジョージ・カンザスシティ連銀総裁がハト派な発言をしていたことなどから、パウエルFRB議長の会見は、ハト派な内容になりやすいと思います。
ただ、ハト派な内容は、株式市場にとっては買い要因になるため、米ドル/円の動きは限定的になると考えています。
【参考記事】
●米ドル/円暴落は「上海ショック」と似ている!? 円高リスク緩和。目先は110円台へ反発か(1月8日、バカラ村)
●注目のFOMCは「バイ・ザ・ファクト」に注意! 6週連続陽線のポンド/ドル、1.40ドルへ!?(1月28日、西原宏一&大橋ひろこ)
●今の米ドル/円は下落しにくい状況にある!? 注目材料は3つ。米中合意なら円安ドル高へ(1月24日、今井雅人)
■ユーロの下げは継続しにくい!?
先週(1月21日~)のECB理事会で、ユーロ安の動きとなりましたが、ユーロ/米ドルは、1.13ドルを下回ることに失敗した形となっており、1月25日(金)の米ドル安の動きもあって、昨日(1月28日)は1.14ドル台前半で推移しています。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 4時間足)
ユーロ圏の景況感の悪さを考えると、ユーロ/米ドルは売り方向となり、市場参加者も売りに偏りやすいため、下げも継続しにくい状況が続いています。
ただ、1.15ドル台以上での定着にも失敗しているため、今週(1月28日~)もレンジ継続で、1.14ドル台での推移が中心となるのではないかと考えています。
(出所:Bloomberg)
ユーロは売り方向で考えていますが、上も下もブレイクに失敗していることから、まだ横ばいになるのではないかと考えています。
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