■バランスシート政策は格差拡大、金利政策は米国に追随か
もっとも、主要中銀におけるバランスシート政策は、格差が広がっていく公算は大きい。
日銀やECB(欧州中央銀行)がFRBに追随、すなわち、FRBに連動する形でバランスシート政策を大きく修正することは、当面想定しにくい。日銀は国債買入れの限界、国債市場の流動性低下などの深刻な問題に長らく苦しんできたし、ECBも日銀の二の舞になると予想されるほど、事情は深刻である。
一方、金利政策については、FRB政策に日銀やECBはより影響を受けやすい、すなわち追随しやすいかと思われる。
FRBの利上げ打ち止めは、日銀やECBなど他の中銀にとって将来の利上げ圧力の緩和のみでなく、将来の利下げやもう一段の量的緩和の余地にもつながるかと推測される。
要するに、主要中銀政策の連動性が高まりやすいことだと推測され、市場コンセンサスもそのような思惑に支配されやすいかと思う。
■米ドル/円の調整は深い押しにはならない?
したがって、米利上げ打ち止め自体が、将来の利下げ局面にはほど遠いにしても、連想的に日銀やECBの一段の緩和や利下げの思惑につながりやすいことも、結果的に米ドル選好をもたらしやすい。
ECBはすでにハト派政策に転換し、日銀も量的緩和拡大を示唆しているから、米利上げ打ち止め自体、むしろ米ドル以外の主要外貨売り圧力として表れやすく、また利下げ最終局面において、一段とその思惑のふくらみで効果が増大してくるだろう。
ゆえに、今回のFOMC政策発表を受け、米ドル全体は調整してきたものの、下値余地は限定的だろう。また、米ドル/円について、110円の節目以下の終値がなければ、2019年の年初安値を起点とした上昇波がなお維持されるだろう。
(出所:Bloomberg)
さらに、仮に110円を下回ったとしても、米ドル/円の調整が深い押しにならずに済む可能性は大きいだろう。
詳細はまた次回にて検証したい。市況はいかに。
株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)