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陳満咲杜の「マーケットをズバリ裏読み」

米利上げ最終局面で米ドル安になるより、
米ドル高が鮮明になるのはなぜか?

2019年03月22日(金)17:38公開 (2019年03月22日(金)17:38更新)
陳満咲杜

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■超ハト派なFOMCで米ドル全体は一段と反落

 日本時間3月21日(木)未明、3月FOMC(米連邦公開市場委員会)を通過し、米ドル全体は一段と調整(反落)してきた。市場の予想を上回るハト派的な決定がなされたからだ。

ドルインデックス 4時間足
ドルインデックス 4時間足

(出所:Bloomberg)

 FOMCメンバーの政策金利見通しの中央値として、「2019年年内政策金利引き上げなし」と示されたから、前回(2018年12月)示された2回分の引き上げから、一気に下方修正された上、2020年の政策金利引き上げは1回と、2015年以来の政策金利引き上げの最終局面が示された

 一方、月間500億ドルペースで進めているFRB(米連邦準備制度理事会)の保有資産縮小策は、2019年9月末に停止することも決まった。

 FOMC後、米ドルの反落が一段と進んだのは、市場コンセンサスより一段とハト派寄りとなったFRBの決定が理由だと思われる。

 大きなサプライズはないものの、市場関係者の多くが2019年年内1回の利上げ、またバランスシートの縮小は年末時点で停止と考えていたところへ、FRBの一段とハト派シフトした政策が発表され、やや戸惑った模様だ。

■市場はすでにハト派姿勢を警戒、影響は今のところ限定的

 とはいえ、その戸惑いがもたらした影響は、現時点では限定的だと思う。なにしろ、マーケットはFRBのハト派姿勢をすでに警戒していた。昨年(2018年)年末以降、トランプ氏の攻撃に耐えられなかったか、それとも株安の影響で臆病になったかは定かではないが、パウエル議長の政策運営は事実上、驚くほどハト派方向にシフトしてきていたから、市場関係者の大半は腹をくくっていた。

 要するに、FRBの「豹変」がすでになされていた以上、市場関係者にとって大きなサプライズにならないはずだ。実際、ドルインデックスは昨日(3月21日)反騰し、一時割り込んでいた200日移動平均線(200日線)をまた回復している。

ドルインデックス 日足
ドルインデックス 日足

(出所:Bloomberg)

■米利上げ最終局面にあることは覚悟すべきだが…

 とはいえ、昨年(2018年)年末のFOMC以降、経済情勢に特段大きな変化があったわけでもなく、また、米国株がだいぶ戻ってきたところに、FRB政策の一段のハト派シフト自体が大きなメッセージとなった可能性は大きい。

 言ってみれば、今回の一段踏み込んだ政策は、経済・金融情勢の変化を受けた一時的なものではなく、より構造的なものだと考えられる。

 そうなると、米利上げ最終局面にあることは覚悟すべきであろう。歴史に照らして考えると、利上げ最終局面における各セクターのパフォーマンスに何かのヒントが得られるなら、今だからこそ参考にすべきではないか。

 以下は、あくまで前例であり、また、大まかな傾向であることをご注意いただきたいが、利上げ最終局面における各セクターのパフォーマンスの、大まかな傾向の比較である。

1.商品>債券>株式
2.先進国>新興国
3.市場変動率拡大
4.原油>貴金属(金を含め)
5.米ドル全体は上昇するが、段階ごとに相違が大きい

 ここで大事なのは、過去の事例をまとめてみると、巷の常識に反して、利上げ最終局面における米国株や米ドル全体のパフォーマンスはおおむね良好だ、ということである。

■米ドルの高安は米国以外の主要経済圏との比較で決まる

 米長期金利の低下に伴い、米国株は往々にして上昇傾向を強めていくというのは理解しやすいと思うが、米ドルの高安が米国株のパフォーマンスよりもEU(欧州連合)など米国以外の主要経済圏との比較で決定されることは、広く認識されたロジックとは言えないかもしれない。

 要するに、米利上げの最終局面は、往々にして世界景気後退の懸念が出やすい時期に差し掛かり、米国に比べ、諸外国や地域の状況がより悪化していた、といった前例が多かった。

 つまるところ、消去法による米ドル選好はむしろ、米利上げ最終局面の後半において一段と鮮明になってくるから、米利上げ停止=米ドル安といったロジックは短絡的すぎると言える。

■バランスシート政策は格差拡大、金利政策は米国に追随か

 もっとも、主要中銀におけるバランスシート政策は、格差が広がっていく公算は大きい。

 日銀やECB(欧州中央銀行)がFRBに追随、すなわち、FRBに連動する形でバランスシート政策を大きく修正することは、当面想定しにくい。日銀は国債買入れの限界、国債市場の流動性低下などの深刻な問題に長らく苦しんできたし、ECBも日銀の二の舞になると予想されるほど、事情は深刻である。

 一方、金利政策については、FRB政策に日銀やECBはより影響を受けやすい、すなわち追随しやすいかと思われる。

 FRBの利上げ打ち止めは、日銀やECBなど他の中銀にとって将来の利上げ圧力の緩和のみでなく、将来の利下げやもう一段の量的緩和の余地にもつながるかと推測される。

 要するに、主要中銀政策の連動性が高まりやすいことだと推測され、市場コンセンサスもそのような思惑に支配されやすいかと思う。

■米ドル/円の調整は深い押しにはならない?

 したがって、米利上げ打ち止め自体が、将来の利下げ局面にはほど遠いにしても、連想的に日銀やECBの一段の緩和や利下げの思惑につながりやすいことも、結果的に米ドル選好をもたらしやすい。

 ECBはすでにハト派政策に転換し、日銀も量的緩和拡大を示唆しているから、米利上げ打ち止め自体、むしろ米ドル以外の主要外貨売り圧力として表れやすく、また利下げ最終局面において、一段とその思惑のふくらみで効果が増大してくるだろう。

 ゆえに、今回のFOMC政策発表を受け、米ドル全体は調整してきたものの、下値余地は限定的だろう。また、米ドル/円について、110円の節目以下の終値がなければ、2019年の年初安値を起点とした上昇波がなお維持されるだろう。

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足

(出所:Bloomberg)

 さらに、仮に110円を下回ったとしても、米ドル/円の調整が深い押しにならずに済む可能性は大きいだろう。

 詳細はまた次回にて検証したい。市況はいかに。

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