■ドルインデックスに新たなサイン点灯!
為替市場は一進一退しながら、また新たなサインを点灯している模様だ。米ドル高基調は維持されているものの、その勢いが低下していく可能性が示唆されたとみる。
ドルインデックスの日足に照らしてみるとわかるように、3月7日(木)のECB(欧州中央銀行)会合後に大幅続伸し、昨年(2018年)高値をブレイクする勢いを示したが、先週末(3月8日)から一転して続落、3月13日(水)には7日(木)安値を割り込み、7日(木)の大陽線を「帳消し」した形となった。このサインはやはり、無視できないかと思う。

(出所:Bloomberg)
なにしろ、前回のコラムでも強調したように、3月7日(木)にECBが打ち出したハト派政策は、多くの市場関係者にとってサプライズであった。
【参考記事】
●ドル/円は下落調整があれば、2019年内に120円の大台にトライする可能性が高まる!?(2019年3月8日、陳満咲杜)
サプライズだったからこそ、ユーロ/米ドルもいったん昨年(2018年)安値を割り込んだわけだが、本来ならこのままベア(下落)トレンドを継続し、さらに下値余地を広げることになるかと思われた。しかし、先週末(3月8日)からほぼ一貫して切り返し、1.13ドルの節目回復もあって、目下、下落モメンタムをだいぶ緩和されたようにみえる。
■英ポンドの強さが米ドルの軟調を浮き彫りに
そのほかの主要外貨では、延々とEU(欧州連合)離脱問題に悩まされる英ポンド/米ドルが13日(水)に大幅続伸し、一時1.3385ドルと、昨年(2018年)6月中旬以来の高値を更新した。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/米ドル 日足)
英議会の2度目の離脱案否決で英ポンドが買われたのは、いわゆる「合意なき離脱」はもうないという思惑が支配的になってきたからだ。
実際の状況はなお流動的だが、目先の英ポンド切り返し継続、また強気変動の維持は、米ドルの軟調を浮き彫りにする。
利下げ観測がある豪ドルさえ、安値圏に留まってはいるものの、3月8日(金)から小幅ながら反発しており、「底割れ」を回避している模様。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/米ドル 日足)
要するに、目下、米ドル全面高の局面にはほど遠い。
■ドルインデックスはユーロ急落に乗れなかったから失速?
ドルインデックスで言えば、3月7日(木)のECB会合でユーロの急落に乗れず、昨年(2018年)高値を更新できなかったところが大きく、モメンタムの低下を招いたと思われる。
米ドル全体の失速を、いろいろ理由付けて解釈してもよいが、重要なのは原因ではなく、これからの流れだ。米ドル全体の流れやそのモメンタムを把握できれば、これからの流れもある程度推測できるから、こちらに専念したい。
本コラムが繰り返し指摘してきたように、米ドル全面高となったとき、その上昇スピードが速く、モメンタムが強い場合は、往々にしてクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)における外貨安・円高の傾向が強くなる。その時は米ドル/円も頭打ちとなりやすく、また、反落しやすい傾向にある。
反面、米ドルに対する主要外貨のパフォーマンスがバラバラで、また、全体のモメンタムが低下する時は、クロス円における外貨高・円安の傾向が強く、逆に米ドル/円は支えられやすく、また上昇しやすい環境にあるケースが多い。
このような視点を大事して、目下の米ドル/円の状況を再考しておきたい。米ドル全体の上昇については前述のように明らかなので、米ドル/円の調整(反落)はまた後ずれになる公算が大きい。
このようなロジックは、当然のようにクロス円との整合性で考えないといけない。英ポンド/円の2019年年初来高値更新、また、ユーロ/円の124円節目割れ回避、そして、豪ドル/円の2月安値割れ回避は、共に、目先なお円売り継続の可能性を示唆している。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/円 日足)

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/円 日足)
■米ドル/円にも新たなサイン、なお続伸の余地あり!?
ファンダメンタルズ上の理由として、英EU離脱の最悪事態回避の思惑や、米中交渉に関する楽観的な期待が効き、リスクオンの環境が継続されるとか、また、日銀の量的緩和拡大の思惑などが挙げられるが、値動きはすべての市場センチメントや市場関係者の思惑を織り込んでいるから、目下の米ドル/円の状況は、やはり、米ドル/円の値動きから解読するしかない。
米ドル/円にも新たなサインが点灯したから、本格的な頭打ちになる前に、やはり、なお続伸の余地ありとみるべきかと思う。
同サインの解読については、昨日(3月14日)配信したレポートをもって説明する。本文は以下のとおり。
(出所:FXブロードネット)
本日配信した新規ストラテジーやユーロ/円の途転があったように、短期スパンにおけるシナリオは修正された(詳細は明日のデイリーにて詳説)。ドル/円の切り返し、当面維持され、また再度高値更新を目指す公算が高いとみるから、短期スパンにおける値幅を再度測る必要がある。
新たなサインとして、本日の続伸は大きなヒントを示唆。3月8日大陰線を一旦ブレイク、同日罫線後形成された「インサイド」の上放れが確認され、GMMAが示すサポートゾーンにおける3月8日(赤矢印)の意味合いを一段と強化したとみる。
詰まる所、2月27日大陽線(緑矢印)がもたらした「トビウオ」(GMMA)のサインがなお有効、本日の続伸で200日線の再回復もあって、ブル基調をこれから強化していく可能性が大きい。オシレーター系指標が示す状況に鑑み、再度高値を更新していく公算が高まる。この場合、112半ば~同後半のメイン抵抗ゾーンが試され、ブレイクがあれば、一段と上値余地を拓くでしょう。ドル/円の調整(波乱)、早晩みられると思うが、目先サインに従い、上値余地を注意しておきたい。
実際、200日移動平均線(200日線)を巡る攻防は、再度米ドルに軍配が上がった以上、再度の高値更新、またメインレジスタンスゾーンである112円台半ば~同後半のトライにつながるだろう。
それをブレイクすれば、2018年12月13日(木)高値113.72円へ「全値戻し」を果たす可能性を無視できない。
2019年年初来、一本調子とまではいかなくとも、比較的順調に切り返してき米ドル/円だから、そろそろ頭打ちではないかといった思惑も多く、それによって仕掛けられた、また、これから仕掛けてくるショート筋のポジションが、踏み上げ相場の土台になるかもしれない。
詳細ははまた次回、市況はいかに。
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