■足元の米ドル/円の調整は、中長期でみれば押し目の好機
いずれにせよ、強調したいのは足元の位置は、このようにマクロ的な視点でとらえないとなかなかつかめないから、前述のロジックで言えば、トランプ云々、米中貿易戦争云々と関係なく、大きなロードマップとして米ドル全面高は継続される公算が高い。
そして、2017年の高値を超えた高値を形成するのは、ある程度の幅をもって推測すれば2020~2022年だと思われる。したがって、米ドル高の進行はまだまだ途中である。
この視点は非常に大事だ。なぜなら、米ドル/円の見通しは、結局、米ドル全体の話と緊密な関係があるからだ。
米ドル全面高のトレンドなしでは、米ドル/円の強気変動があっても長く続かず、また、米ドル/円とドルインデックスの値動きは、確かに乖離するケースも多いものの、結局、収れんしていくものだ。米ドル/円も歴史的な円高時代が2011年を境に終焉したはずで、足元、長い米ドル高のトレンドにある。
(出所:Bloomberg)
だからこそ、米中貿易戦云々で円高トレンドへ復帰する、といったロジックに同意できない。相場は外部要素ではなく、内部要素で決定されるものなので、足元における米ドル/円の調整は、中長期でみればむしろ押し目の好機だとみる。
米ドル全面高でクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)における外貨安・円高の進行も一段と確認されたが、主要クロス円における「2019年年初来安値更新なし」というメインシナリオを維持しておきたい。
■もっとも、短期的にはドルインデックスはいったん反落か
今回はドルインデックスの話に文字数を使ったから、テクニカル上の詳細な検証はまた次回に回さなければならないが、最後に、目先のサインを1つ指摘しておきたい。
それは短期スパンにおけるサインなので、中長期のトレンドと逆になるが、ドルインデックスは昨日(5月23日)、高値更新してから陰線で大引けしたから、「フォールス・ブレイクアウト」の疑いが濃厚で、いったん反落してくるだろうとみる。
(出所:Bloomberg)
そうなると、リンクした値動きとして、ユーロ/米ドルは続落する前に、いったんリバウンドしてくる可能性がある。あくまで途中のスピード調整という位置づけだが…。
(出所:Bloomberg)
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