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西原宏一・大橋ひろこの「FX&コモディティ(商品) 今週の作戦会議」

米中貿易戦争がある限り、リスクオンには
戻らず!? 米ドル/円、豪ドル/円は戻り売りか

2019年05月20日(月)17:15公開 (2019年05月20日(月)17:15更新)
西原宏一&大橋ひろこ

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■日本のGDPがサプライズに!

今朝発表された日本の1-3月期GDP(国内総生産)は年率2.1%増。マイナス予想だっただけにサプライズでしたね。

それに加えて、週末に行われた豪州の総選挙では、苦戦が予想されていた与党が勝利したこともあり、前場の日経平均は一時150円高。米ドル/円は110円台に乗せています。


ただ、本邦機関投資家は109円台前半まで下がればビッド(買い)を入れてくるものの、上値を買ってこない展開はこれまでと変わらず。しばらく、これが繰り返されるのかもしれませんね。

米ドル/円 30分足
米ドル/円 30分足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 30分足

先週(5月13日~)の為替市場は、全般米ドル高でした。これはどう考えますか?

米ドルVS世界の通貨 4時間足
米ドルVS世界の通貨 4時間足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 4時間足

リスク回避の米ドル高であり、円高だったのでしょう。金利差云々という話ではないと思います。

■「日本の自動車輸出に数量制限」との報道も…

豪ドルや英ポンドはずいぶん売られました。売られ過ぎ感も出てきましたが、ここからの展開はどう考えますか?

確かに豪ドル/円などはテクニカル的に売られ過ぎの兆候が強まっています。


ポイントは変わらず、米中貿易戦争。過熱したままですし、これが解消されない限り、リスクオンに戻ることはないでしょう。

【参考記事】
米国からの圧力で急減速する中国経済! 利下げ予測もある豪ドル/円は70円へ…!?(5月16日、西原宏一)

豪ドル/円 日足
豪ドル/円 日足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/円 日足

米国は日本などに対する自動車関税を180日間延期する代わりに、対米輸出台数に数量制限を設けるとの報道も出ました。


茂木経済再生担当相は否定していますが、本当なら不安ですね。

茂木大臣が明確に否定しているということは「TAG(日米物品貿易協定)交渉の議題に載せたい米国、阻止したい日本」といった構図の中での駆け引きなのかもしれません。


基本的には日本の金融政策に対して牽制してくるのでしょうが、数量制限が具体化してくれば円高要因ですし、気になるところですね。

■ビットコイン急騰の原因も米中貿易戦争か

先週(5月13日~)はNYダウも強かったですし、同じようなチャートを描いているWTI原油も強い


イラン情勢などの地政学プレミアムに加えて、OPEC(石油輸出国機構)総会は6月とまだ先ですが、5月19日(日)に協調減産の状況を点検する監視委員会で「主要産油国が減産継続で一致」との報道が出て原油価格は上昇しました。下値が堅いですね。

WTI原油先物&NYダウ 1時間足
WTI原油先物&NYダウ 1時間足

(出所:Bloomberg)

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NYダウは戻っているものの、戻りが弱いのが日経平均。これも米中貿易戦争が影響しているのかもしれません。


中国絡みの資産は自由に売買しにくいため、中国株のプロキシー(代替)として日本株を取引する動きは、以前ほどではないですが、いまだに残っているようです。

日経平均 1時間足
日経平均 1時間足

(出所:Bloomberg)

ビットコイン/米ドルも強いですね。8000ドル台を回復しています。

リスクオフで需要が強まったとの見方が出ていますね。


特に米中貿易戦争が過熱したことで中国の富裕層からの資産逃避需要が強まっているのではないか、と。

ビットコイン/米ドル 日足
ビットコイン/米ドル 日足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ビットコイン/米ドル 日足

新興国では、実際に使われる場面が増えているとも聞きます。

2018年初から1年半続いた調整が終わったのかどうか、見極めていきたいですね。

■豪ドル/円は売られ過ぎに注意しつつ戻り売りで

5月23日(木)からは欧州議会選挙が始まります。ドイツやフランスなど主要国での投票は5月26日(日)。大勢が判明するのは来週月曜日(5月27日)でしょう。

【参考記事】
6カ月間延長で、EU離脱日は10月31日に。2度目の国民投票実施はあり得るのか!?(4月15日、松崎美子)

英国のブレグジット党をはじめ、右派政党が勢力を伸ばしており、来週初めは欧州通貨の波乱に要注意ですね。

今週(5月20日~)は、トランプ米大統領が来日しますね。

リップサービス的な発言が出てリスクオン方向に動くことがあれば、そこは戻り売りでしょう。

今週の戦略はどう考えますか?

米ドル/円、豪ドル/円の戻り売りでしょうか。ただ、一方通行に動く相場でもないし、豪ドル/円はテクニカル的に売られ過ぎの兆候があります。


下値を叩かず、オシレーターなども参考にしながら、戻ったところを丁寧に売っていきたいですね。

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足

(出所:Bloomberg)

豪ドル/円 日足
豪ドル/円 日足

(出所:Bloomberg)

(構成/ミドルマン・高城泰)

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