■合意なき離脱の高まりは、離脱取りやめの可能性も高める
ただ、現在は誰であっても、野党をまとめることは困難。
しかし、ボリス・ジョンソン首相が合意なきEU離脱の可能性をさかんに喧伝するため、合意なきEU離脱が実現する可能性が高まっています。
ボリス・ジョンソン首相が合意なきEU離脱の可能性を喧伝するため、実現する可能性が高まっている (C)Justin Sullivan/Getty Images
この高まりが、逆に合意なきEU離脱を阻止しようとする野党を結束させ、挙国一致内閣の可能性を高めています。
私の友人によると、合意なきEU離脱の高まりこそが、同時にEU離脱取り止めの可能性をも高めることになるとのこと。
つまり、合意なきEU離脱の高まりで、英ポンドが暴落するリスクも高まっていますが、それに呼応してEU離脱延期の可能性も高まり、英ポンドが急反発するリスクも高まってきているということになります。
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■ボリス・ジョンソン首相率いる戦時内閣の戦略に注目
今週(8月19日~)に入り、欧州からもブレグジットに関する意見が報道されています。
まず先日、「メルケル独首相がアイルランド国境問題で『実務的解決策』検討も」といった前向きな発言をしたことが報道されていました。
しかし、アイルランドの国境問題の解決策は過去3年間、見つけられなかったわけですから、この時点でいきなり妙案が出てくるものなのでしょうか?
一方、フランス政府は、英国が合意なきEU離脱を中心にシナリオを描いていると報道されています。
フランス大統領府当局者によれば、合意なきEU離脱の場合でも、清算金(約390億ポンド=約5兆4000億円)は英国が支払うものと想定しているとのこと。
しかし、ボリス・ジョンソン首相は、EUから譲歩を引き出すために、清算金を交渉材料として使う可能性もあることを示唆している模様。
ボリス・ジョンソン首相の戦時内閣では、合意なきEU離脱も辞さずと発表しているので、フランス政府の意見は驚くことではありませんが、9月3日(火)の英議会再開に向けて、さまざまなヘッドラインが飛び出して、英ポンドは乱高下しそうです。
現状のマーケット環境は、さらに合意なきEU離脱懸念が高まっているといえます。
ただ、繰り返しになりますが、合意なきEU離脱の高まりこそが、同時に離脱取りやめの可能性を高めることになるため、英ポンドのショートに対しては必ずストップロスを設定して、急反発にも対応できるようにしたいところ。
9月3日(火)の英議会再開に向けて、ボリス・ジョンソン首相の戦時内閣の戦略に注目です。
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