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どうなる? 12月12日英総選挙。6つの予想
シナリオから英ポンドの動きを大予測!

2019年12月06日(金)12:50公開 (2019年12月06日(金)12:50更新)
ザイFX!編集部

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 2019年を通じて、市場のメインテーマの1つとして話題を振りまき続けた英国のEU(欧州連合)離脱(ブレグジット)問題。英国では、ボリス・ジョンソン首相が、EU側と合意にこぎつけた離脱協定案で離脱を成し遂げるために議会を解散し、12月12日(木)に下院(庶民院)で総選挙が実施される運びとなりました。

 運命の総選挙が迫る中、英国情勢といえばこの方、元為替ディーラーで英国在住の松崎美子さんに、総選挙に至るまでの経緯や、総選挙に向けた最新の動向、さらに選挙後の英ポンド相場の見通しについてご寄稿いただきました(ザイFX!編集部)

松崎美子氏プロフィール

12月12日(木)の英総選挙まで、1週間を切った。保守党優勢と伝えられていたが、労働党が最後の追い込みを見せており、まだまだ予断を許さない。

【参考記事】
【ブレグジット】12月12日に英総選挙。2020年1月の離脱がメインシナリオに

 本来であれば、10月31日(木)にEU(欧州連合)から離脱しているはずの英国。いったい、何が起きたのか? 離脱する前に総選挙というのは、どういうことか? 今回は、そのあたりを探りながら、総選挙の結果について考えてみたいと思う。

■英国とEUが離脱協定案が合意

 10月17日(木)~18日(金)に開催された、EU首脳会談(サミット)。ここでは、EUと英国との間で、絶対に不可能と言われていたEU離脱協定案の合意に至った。

【参考記事】
英国の合意あるEU離脱はあり得る? 週明けはフラッシュクラッシュ級の動きも!?

 もし、このサミットで合意ができなければ、ボリス・ジョンソン英首相(以下、ボリス)は、「野垂れ死にしても、延長には応じない。必ず離脱する」と豪語していたが、サミットを前に英国政府からEUへ提出された書類には、離脱交渉期間の延長に応じると書かれていたそうだ。

 数え切れないほど多いボリスの「嘘」が、また1つ増えた。

ボリス・ジョンソン英首相の写真

離脱の延期には応じず、必ず離脱すると豪語していたボリス・ジョンソン英首相。EUサミットで離脱協定案の合意にこぎ着けたが、サミットを前に英国政府からEUへ提出された書類には、離脱交渉期間の延長に応じると書かれていたんだそう (C)Justin Sullivan/Getty Images

■離脱期限の再延期を要請…。なぜ?

 ボリスはサミットの翌日となる10月19日(土)に、議会を緊急招集すると発表。

 英下院のホームページによると、1939年から現在に至るまで、土曜日に議会が緊急招集されたのは、以下の3回のみ。

【1回目】 第二次世界大戦が始まる前日(1939年9月)
【2回目】 スエズ戦争の時(1956年11月)
【3回目】 フォークランド紛争開始の前日(1982年4月)

 これら3回の緊急招集後には、歴史を塗り替える出来事が起きているだけに、ボリスも相当の覚悟で議会を招集したと思われる。

2019年10月19日(土)の議会開催を伝える記事の一部
2019年10月19日(土)の議会開催を伝える記事の一部

出所:英下院図書館(The House of Commons Library)

 しかし、思いがけない展開が待っていた!

 緊急招集では、議会に提出された3つの修正案のうち、元保守党のレトウィン卿が提出した「ブレグジットに向け、批准手続きなど必要な手続きがすべて終了するまで、離脱期限の延期を義務化する」修正案が選ばれ、議会で採決を実施。

 採決の結果は、賛成322・反対306の賛成多数で可決

 レトウィン卿の修正案可決により、ボリスは完全に逃げ場を失い、渋々、EUに対し、離脱期間の延長を要請せざるを得ない立場に追い詰められた。

 10月31日(木)の離脱を諦めきれないボリスは、レトウィン卿の修正案可決を知るや否や、サミットで合意したEU離脱協定案の議会採決動議を週明けに延期。協定案の承認を得るための関連法案の採決を10月22日(火)に実施したが、英下院が否決したことで、離脱案の採決はできなくなった。

 離脱案の採決がキャンセルされたら、離脱はできない。絶対に無理と言われていたサミットでの合意を取り付け、ドヤっていたボリスだが、緊急招集で動議の採決ができない事態に追い込まれるという展開は、完全に予想外だった。

【参考記事】
【ブレグジット】12月12日に英総選挙。2020年1月の離脱がメインシナリオに

■ボリスに神風。総選挙実施の動議が可決

 10月28日(月)、ボリスは早期に解散総選挙を実施する動議を、英国議会に提出。この動議の可決には、FPA(2011年議会任期固定法)に基づき、議会の3分の2以上(434議席)の賛成が必要だ。

 そして、その法案の採決まで、あと1時間と言うタイミングで、驚くべき動きが!

 それは、欧州委員会による、「英国のEU離脱期限を、最長で2020年1月31日(木)とし、英議会が離脱協定案の採決を可決すれば、その時点でいつでも離脱できるフレクステンション(flextention、柔軟な延期)として承認する」と言う発表であった。

 しかし、早期の解散総選挙を実施する動議の採決は、ほとんどの野党議員が棄権したこともあり、結果は賛成299・反対70。必要な434票には135票足りず、否決となった。

 翌日(10月29日)、懲りた様子を見せないボリスは、解散総選挙に向け、もう一度、動いた。この日はFPAを元にした採決はせず、「一行法案」という、もっとも簡素化された法案を選んだ。この形式の法案は、付随の条件や説明など何もついていないのが特徴で、過半数(320議席)の賛成で可決となる(※)

(編集部注:英下院の定数650の半数は325だが、登院しない北アイルランドのシン・フェイン党の議員らを含む8人と、議長・副議長の3人を含めた計11人は投票に参加しないため、法案可決に必要な過半数の議席数は320となる)

 ボリスが提出した法案は、「12月12日(木)に総選挙を実施する」というもの。

 すると、前日の採決では多くの議員が棄権した労働党のコービン党首は、「間違って10月31日(木)に合意なき離脱となってしまうリスクが、ほぼなくなった」と判断し、「労働党は、(12月12日の総選挙実施に)賛成票を投じる」と、センセーショナルに発表。

 その結果、ボリスが提出した12月12日(木)に総選挙を実施する法案は、賛成438・反対20と、418票差で可決

 ボリスにとって、神風が吹いたことになる。

【参考記事】
混迷のブレグジット…。短期再開となった英議会でボリス首相が喫した6連敗とは?(9月12日、松崎美子)
【ブレグジット】12月12日に英総選挙。2020年1月の離脱がメインシナリオに

■どうして解散総選挙なのか?

ボリスが総選挙を急ぐ理由、それは、今後の政策運営をスムーズに運ぶためには、保守党の議席数を増やさなければならないからである。

 ボリスが7月に首相に就任した当時は、保守党の議席数は317議席であった。その後、21名の議員が保守党を除名処分となり、それ以外にも離党する議員が続いたため、保守党の議席数は288まで縮小した。その後、除名処分された議員のうち、10名を改めて保守党に復帰させたが、それでも総選挙前の保守党の議席数は298である。

英下院の政党別議席数

※英議会の公式サイトの情報をもとにザイFX!編集部が作成
※2019年11月6日(水)時点のデータ

 下院定数650議席中の298議席ということなので、いかなる採決でも保守党は負ける。これでは、きちんとした政策運営ができないため、一日も早く総選挙を実施しなければならない。

■ブレグジットが先か?解散総選挙が先か?

 ブレグジットが解決しないうちに、前倒しで総選挙を実施するのは、順番が逆ではないか?

 そういう意見が、保守党議員の間でも多かった。この問題に対する各党のスタンスは、以下のとおりである。

保守党

 ボリスの考えでは、とにかく総選挙を年内に実施する。しかし、本音では、英国のEU離脱を最初に決定してから、総選挙投票日を迎えたかった。そうすれば、「英国のEU離脱を実現した政党」として、ドヤって選挙で勝てるからである。

自由民主党やSNP(スコットランド国民党)

 なにがなんでも、英国のEU離脱を阻止したいので、英国がEU残留中に総選挙の投票日を迎え、残留支持の有権者票を狙いたい

労働党

 前倒し総選挙実施に関しては、党内で意見が二分している。しかし、党内で共通しているのは、「合意なき離脱を、なにがなんでも不可能にすること」である。

 最近のコービン党首は、離脱後に続く移行期間終了時(2020年12月31日)まで、合意なき離脱を不可能にする方向で、動き始めたと伝えられている。

 解散総選挙の発表直後に実施された世論調査によると…

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