金曜日の日本株は大きく上昇したが、理由は海外要因ばかりだった。米中協議の第1弾の合意とイギリス保守党の勝利だ。これによって海外株の上昇にともなって、ツラレ高したというのが実情だ。
日本株はそもそも実体がない分だけ、外部要因に左右されやすいものだ。仕方がないといえばそれまでだが、逆にいうと日本企業が独歩的に最高益を連発するような局面があっても、日本株は必ずしも上がらないということである。
日本経済のファンダメンタルズは悪い。10月の消費増税がまずは悪材料の最初だが、それ以降の経済指標はいずれも悪いものが相次いでいる。GDPも低下傾向に歯止めがかかっていないし、日銀短観も大きく市場予想を下回った。機械受注や設備投資といった企業活動を表す指標もみな悪い。それなのに日経先物は今年の最高値を実現している。
それらを反映してか、ドル円の上げはとても鈍い。マーケット全体がこれだけリスクテークに傾いているのだから、もうちょっと勢いよくドル円も上がって良さそうなものである。言うまでもなくユーロ円の伸びも鈍い。
それだけ日本サイドから見た場合のリスクオンには協調できないものがあるのだろう。これだけの上げ要因の連発においても110円台すら臨めないようでは、こんどはかえってダウンサイドのリスクのほうが気にかかってくる軽い材料でも、あっという間に105円台くらいまで下がりそうなのである。
BREXIT問題も米中協議も一段落はしたものの、終わってみればビッグマウスとやった振りの繰り返しでしかなかった。なんら実のある成果が残っていない。イギリスもEU離脱したところで、来年末までの移行期間の間にちゃんと貿易や法的関係の構築を図れるのか。アメリカもまだ残っている追加関税の分を大統領選が終わるまで放置する形になっている。
週末には同じ構図がCOP会議でも起こっている。元の開催国であったチリの議長が一生懸命にとりまとめに尽力していたが、肝心のポイントで合意するに至らなかった。そもそもが国内の政情不安で場所を変えた経緯もあるので、国内すらまとめきれないのに国際問題を束ねられるのかという目で見られてもいた。
そして本邦の小泉担当相も口ではいろいろと口触りの良いことを言っているものの、具体案はなにも打ち出せないでいて、関係者の失望を招いている。
ともかくも今のマーケットは不透明要因が減ったという理由だけでリスクオンになっているだけだ。市場のボラティリティは下がるのだろうが、たまっている問題が吹き上がることはありうるので、念頭に置いておいて注意を払っておく必要がある。
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