昨日は中国が米国からの関税を引き下げたので、それがリスクテークに拍車をかけた。すでに関税は引き下げられるのだろうと予想されてはいた。そうでないと必要な物資の調達に支障がでるからだ。しかし実際に発動されてみると反応は大きかった。
すでに今週に入って株価は世界的に大きく上昇してしまっている。押し目を買おうにもなかなか押さない。それでは高いところを買って行っていいのかというと、ウイルスが蔓延する以前よりも高いところを買っていくのでは割が合わなさそうに見えるからだ。
店舗閉鎖がいつまで続くのかわからない現時点では、とてもフェアバリュー以上に思えるからだ。そうした中で背中を押してくれる材料が出てきたのは、買いの手を控えていた人びとにとっては絶好のリスクテークのステージとなった。
その中で動きの少なかったのはドル円である。109円台の後半で始まって、それがぜんぜんジャンプアップしないのだ。とうに110円台乗せしてきても何の不思議もないのに、海外市場を通しても実に小動きな状態にとどまった。ユーロ円も含めて、円安方向には警戒しているのがわかる。
今晩は雇用統計である。しかしここ最近の例に漏れず、マクロ指標には市場は反応しないであろう。たとえ良くてもそれは古いデータだということで参考にならない。マーケットが知りたいのはウイルスによる悪影響がどのくらい出ているかなのだ。先日出た民間調査の雇用状況はたいへん良いものであった。
それで今回も市場予想を大きく上回るのではないかとの期待もあるが、良すぎるとせっかく醸し出してきた金利低下への期待が吹き飛んでしまうので、現在の状況では株価にとってマイナスに働くことになるだろう。そしていかにも重そうに見えるドル円の110円台に正当性を与えることにつながって、それがドル売りを急がせる結果をもたらすかもしれない。
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