■日経平均も米ドル/円も「意外」に堅調
日本株について、米ドル/円と同様、単純に値幅ではなく、米国株との比較で見てみたい。
一言でいえば、日経平均も米ドル/円も「意外」に堅調だという感触が得られる。執筆中の現時点で、日経平均はなお2万1000円の大台を維持しており、米ドル/円も109円の節目前後だから、史上最大の下落幅を記録した米国株に「つられていない」感じが強い。
(出所:Bloomberg)
(出所:TradingVeiw)
米ドル/円の場合は、先週のコラムで指摘させていただいた「リスクオフの円安」の側面が、米ドルの下落で今回だいぶかき消されたものの、そうした側面は実質的になお残っているのではないかと推測される。
【参考記事】
●新型コロナの初動対応に失敗した日本政府。円安は「日本売りそのもの」だと認識すべき(2020年2月21日、陳満咲杜)
先週(2月17日~)の上昇幅をすべて削ったとはいえ、まだ109円台をキープしていること自体、やはり昨年(2019年)8月安値を起点とした切り返しの構造を暗示、2020年年初来安値を更新しない限り、ベア(下落)トレンドへ転換したとは認められないと思う。
■「国策に売りなし」、米ドル/円は底固め後、112円を回復?
良し悪しは別にして、円安自体を株高とセットで考える場合、今回のような危機的状況において、日本株を支える要素はどこにあるかと聞かれると、金融緩和や財政出動が一般的に想定されやすいが、筆者はもう1つ、重要なことを見逃せないかと思う。それは今回の防疫に関する政府の姿勢、すなわち国策である。
新型コロナウイルス感染の疑いがあっても、医師の推薦があっても検査してもらえない話が、あちこちから聞こえる。検査能力に限界があるから仕方がないという見方から、意図的に検査しないで感染者数を抑えているといった陰謀論まで、さまざまな説があるが、重要なのは、政府の目的を考えることだと思う。
言ってみれば、医療現場崩壊を避けるのが至上命題だから、物理的な制限があったにしても、意図的にコントロールするにしても、結論から言えばそれは正解で、支持される政策だと思う。
医療崩壊があれば、それこそ真の災難だから、防疫の完全失敗を招く。実際、シンガポールは日本に近い政策を取っており、それがここ2、3日の事態の沈静化につながり、初歩的な成果を出している。
となると、(たとえ検査しないことによるごまかしがあったとしても)感染者数の急速な上昇を抑え、医療崩壊を回避できれば、今回、後手後手になった防疫でもなんとかなり、一段のパニックを回避できるのではないかとみる。
これが国策であれば、「国策に売りなし」の言葉を思い出したい。今回、日本株の大幅反落があっても、それはもしかしたら目下多くの市場関係者が想定しているよりも浅いものかもしれない。
それとリンクしたように、米ドル/円の下値余地も限定され、底固めができたら、また112円の大台回復ありとみる。
(出所:TradingVeiw)
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(13:30執筆)
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