昨日はニューヨーク序盤でFRBが追加の金融緩和策を発表したので、マーケットはリスクテークの流れが強まった。民間企業にも2.3兆ドルの資金を供給するというもの。これで失業保険などの経済指標の結果は、まったく無視されることとなった。逆に考えると、悪いデータを額面通りに取らないようにという金融当局のメッセージなのかもしれない。
ドル円は108円台の後半で小動きな状態が続いていたが、原油価格が急落を始めたあたりから目先が重たくなってきた。OPECプラスでは2000万BPDの減産が期待されていたのだが、どうやら1000万BDPくらいで手打ちになりそうだという報道が流れたからだ。
これでリスクテークの勢いはおさまり、ドル相場は全体的に値崩れを始めたのだ。IMFの専務理事が、世界恐慌以来の不景気が訪れると言ったのも、それを助長している。リーマンショックのときは「100年に一度の」といっていたはずだ。
つまり10年あまりしか経っていないというのに、次の「100年に一度」が来たということになってしまう。これだとまた4、5年後に「100年に一度」が来そうである。あまりパンチのある言葉を安易に使って欲しくはないものだ。
さて今日から欧米はイースター休暇となるので、来週の月曜日までマーケットのほうは参加者が少なくなり、したがって相場の動きも緩慢になる。世の中の休みと関係がないウイルス感染だけが問題となっているままである。
ここ2、3週間で世界的に株価の回復が顕著となった。それは一つには感染拡大の封じ込めがうまくいっているという見方が強まっているからだ。もうしばらく都市封鎖を続けていれば、ウイルス感染もそのうち静まるだろうという楽観的な観測が台頭してきているのである。
そこで現在の株価の位置を確かめておく。米国株で見るのだが、その中でも代表的なS&P先物の値段で検討する。S&P先物は2月20日には史上最高値である3397ポイントまで高値を記録した後、1ヶ月かけて3月23日に2174ポイントの一番底を体験した。
そして昨日の終値が2787ポイントである。これはちょうどコロナウイルスによる大きな下げ局面の半値戻しである。半値戻しは強力なレンジスタンスとなる。来週はこのレベルを振り向きもせずに一段高できるのかどうかが最大の注目点となろう。
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