■米ドル/円はテクニカル的にも上昇を示唆
もっとも、目下、米ドル/円における値幅の拡大があっても、本来であればなお通常の範囲に留まるというか、まだまだ大したものではないから、特筆すべきことではないかもしれない。
しかし、前回のコラムで取り上げたように、ここまでの米ドル/円の値動きがあまりにも限定的だったので、目先の上値打診の値動きは「居眠り取引」から脱出した兆しとして十分存在感がある。したがって、プライスアクションにおけるサインの検証も必要になってくるかと思う。昨日(6月4日)配信したレポートを開示しておきたい。
【参考記事】
●米ドル/円の「居眠り取引」って一体ナニ?クロス円が堅調な2つの理由とは?(2020年5月29日、陳満咲杜)
(出所:TradingView)
4月高値109.39を起点とした反落、「下落ウェッジ」のフォーメーションをもって5月安値につながり、また5月11日の大陽線(a)をもって上放れを果たしたことは繰り返し指摘してき通り、目先なお途中、その後の値動きを上放れの一環と見なせる。
もっとも、5月11日以降形成されていた「インサイド」、5月19日(b)の上昇をもって一旦上放れを果たしたが、その後6月2日の大陽線まで再度「インサイド」を形成し、上放れ後の保ち合いをもたらした。6月2日の大陽線、同保ち合いがからこそ、また上放れを果たした後の上昇とみるが、5月29日の「スパイクロー」が点灯した「ダマシ」のサインが利いたことを見逃せない。
要するに、5月19日以降形成されていた「インサイド」を一旦下放れしたものの、その日のうち反転し、また陽線で大引け、「ダマシ」のサインを点灯して上放れの蓋然性を示唆していた。一連のサインの重ねで目先の高値トライに繋がっているが、前記「下落ウェッジ」の上放れの一環と見なした場合は、これから109.39の打診やブレイクがあっても通過点に過ぎないとみる。強気スタンスを維持していきたい。
■円安はまだこれから、米ドル/円は120円をめざす!?
ドルインデックスは5月26日(火)からほぼ一貫して下がり、米ドル/円の上放れと同時に下落スピードを一段と加速した。
(出所:TradingView)
昨日(6月4日)も大きく続落、96半ばの打診をもって3月安値を起点とした全上昇幅の78.6%程度を帳消しにするほど急速に売られた。
当然のように、ユーロなど主要外貨は対米ドルで急伸、ユーロ/円にも豪ドル/円のような歴史的なV字反騰をもたらしている。
筆者が本コラムで指摘していたように、ユーロ/円は5月で底打ちしていた可能性が大きく、また、この底打ちは歴史的な意味合いを持つはずだ。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/円 日足)
現在の市況に照らしてみると、ユーロ/円の底打ちは間違いなく確認され、また、この底打ちがあったからこそ、円安の値動きはホンモノで、これから一段と加速する可能性が高まるといえる。
このあたりの分析はまた次回に譲るが、結論から申し上げると、ユーロ/円や豪ドル/円など主要クロス円における歴史的な底打ちやV字反騰があったからこそ、米ドル/円における3月底打ちやV字反騰もホンモノの値動きとなり、これから3月安値を割り込むことはなく、中長期スパンにおける米ドル/円の120円大台打診が有力視される。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 月足)
言い換えれば、連続して急騰してきた主要クロス円の多くはこれから一服する可能性があるものの、米ドル/円を含め、円安という大きな流れは変わらず、目先はまだまだ始動の段階にすぎないかと思う。
市況はいかに。
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