■コロナバブルの予想的中!? 日米株は続騰
このコラムにて筆者は「コロナバブル」という造語を使い、コロナショックがあったからこそ株の急騰があるかもしれないことを繰り返し指摘してきた。
【参考記事】
●経済対策が効きすぎてコロナバブルに!? 株式市場の切り返しはまだ序の口!(2020年4月10日、陳満咲杜)
目下の状況、バブルかどうかは別にして、株の急騰が確実に見られており、多くの市場関係者の「困惑」はさらに深まっている一方に見えるのが事実だ。
日経平均は一気に2万3000円の大台に迫り、ナスダックは昨日(6月4日)ザラ場において、いったん史上最高値を更新したとも言われる。

(出所:TradingView)

(出所:TradingView)
ナスダックに関しては、ほぼ一貫して株の反騰をリードしてきたから、史上最高値を昨日(6月4日)更新したかどうかはもはや問題ではなくなる。というのは、データの提供業者によって違いがあるようで、筆者を含めて、ナスダックの高値再更新はまだ確認できていないが、これから高値を再更新するのは誰の目にも明らかだからだ。問題はむしろどこまで高くなるかに移っている。
おもしろいというか、お決まりのように、コロナショックがいかに深刻か、また、大恐慌の再来云々を散々語り、また、あおってきた面々やマスコミが、今はすっかり黙り込むか、株高方向への解釈を展開している。
あまりにも後付けが見え見えのせいか、コメントを求められている本人が「後付けの理由だが」と前置きしながら話したり、「ファンドにとって株高なので買わないリスクが大きい」といった本末転倒の理論を展開したり、新聞を読む楽しみも増える一方だ。
■クロス円上昇は想定どおりだがスピードや値幅は想定以上
株の話はさておき、株高にリンクしたように、為替市場におけるリスクオンの値動きも鮮明になってきた。
リスクオンといえば円安なので、円安の大進行も確認されている。前回の本コラムの指摘どおり、短期トレードに限っては外貨の優位性に注意すべきで、対米ドルでユーロ、豪ドルなどの外貨の切り返しが一段とみられ、それを受けたユーロ/円と豪ドル/円の連続した急騰も記録的なものとなっている。結果的には筆者の想定どおりとはいえ、そのスピード感や値幅ははるかに想定を超えている。
【参考記事】
●米ドル/円の「居眠り取引」って一体ナニ?クロス円が堅調な2つの理由とは?(2020年5月29日、陳満咲杜)

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/円 日足)

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/円 日足)
方向を想定できたのに、主要クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)における円安のスピードや値幅に驚かされているのは他ならぬ、米ドル/円が想定より早く動いているからだ。
前回のコラムで述べたように、米ドル/円の「居眠り取引」があったからこそ、主要クロス円の切り返しがもたらされたから、米ドル/円はドルインデックスの反落と連動しないことを予想していた。
しかしその後、連動しないどころか、米ドル/円は米ドル全体と乖離した値動き(つまり米ドル高・円安)を強め、典型的なリスクオンの相場への復帰を宣言した。

(出所:TradingView)
前述したように、典型的なリスクオン相場の特徴は円の全面安なので、主要クロス円における円安圧力は米ドル/円に「逆波及」する形で現れ、米ドル/円を押し上げたわけだ。
■米ドル/円はテクニカル的にも上昇を示唆
もっとも、目下、米ドル/円における値幅の拡大があっても、本来であればなお通常の範囲に留まるというか、まだまだ大したものではないから、特筆すべきことではないかもしれない。
しかし、前回のコラムで取り上げたように、ここまでの米ドル/円の値動きがあまりにも限定的だったので、目先の上値打診の値動きは「居眠り取引」から脱出した兆しとして十分存在感がある。したがって、プライスアクションにおけるサインの検証も必要になってくるかと思う。昨日(6月4日)配信したレポートを開示しておきたい。
【参考記事】
●米ドル/円の「居眠り取引」って一体ナニ?クロス円が堅調な2つの理由とは?(2020年5月29日、陳満咲杜)

(出所:TradingView)
4月高値109.39を起点とした反落、「下落ウェッジ」のフォーメーションをもって5月安値につながり、また5月11日の大陽線(a)をもって上放れを果たしたことは繰り返し指摘してき通り、目先なお途中、その後の値動きを上放れの一環と見なせる。
もっとも、5月11日以降形成されていた「インサイド」、5月19日(b)の上昇をもって一旦上放れを果たしたが、その後6月2日の大陽線まで再度「インサイド」を形成し、上放れ後の保ち合いをもたらした。6月2日の大陽線、同保ち合いがからこそ、また上放れを果たした後の上昇とみるが、5月29日の「スパイクロー」が点灯した「ダマシ」のサインが利いたことを見逃せない。
要するに、5月19日以降形成されていた「インサイド」を一旦下放れしたものの、その日のうち反転し、また陽線で大引け、「ダマシ」のサインを点灯して上放れの蓋然性を示唆していた。一連のサインの重ねで目先の高値トライに繋がっているが、前記「下落ウェッジ」の上放れの一環と見なした場合は、これから109.39の打診やブレイクがあっても通過点に過ぎないとみる。強気スタンスを維持していきたい。
■円安はまだこれから、米ドル/円は120円をめざす!?
ドルインデックスは5月26日(火)からほぼ一貫して下がり、米ドル/円の上放れと同時に下落スピードを一段と加速した。

(出所:TradingView)
昨日(6月4日)も大きく続落、96半ばの打診をもって3月安値を起点とした全上昇幅の78.6%程度を帳消しにするほど急速に売られた。
当然のように、ユーロなど主要外貨は対米ドルで急伸、ユーロ/円にも豪ドル/円のような歴史的なV字反騰をもたらしている。
筆者が本コラムで指摘していたように、ユーロ/円は5月で底打ちしていた可能性が大きく、また、この底打ちは歴史的な意味合いを持つはずだ。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/円 日足)
現在の市況に照らしてみると、ユーロ/円の底打ちは間違いなく確認され、また、この底打ちがあったからこそ、円安の値動きはホンモノで、これから一段と加速する可能性が高まるといえる。
このあたりの分析はまた次回に譲るが、結論から申し上げると、ユーロ/円や豪ドル/円など主要クロス円における歴史的な底打ちやV字反騰があったからこそ、米ドル/円における3月底打ちやV字反騰もホンモノの値動きとなり、これから3月安値を割り込むことはなく、中長期スパンにおける米ドル/円の120円大台打診が有力視される。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 月足)
言い換えれば、連続して急騰してきた主要クロス円の多くはこれから一服する可能性があるものの、米ドル/円を含め、円安という大きな流れは変わらず、目先はまだまだ始動の段階にすぎないかと思う。
市況はいかに。
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