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西原宏一の「ヘッジファンドの思惑」

全米でデモ拡大…だけど、米国株は続伸!?
豪ドル/円は買われ過ぎ示唆で押し目狙い

2020年06月04日(木)13:20公開 (2020年06月04日(木)13:20更新)
西原宏一

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■全米で経済活動がリスタートする中、大事件発生!

 みなさん、こんにちは。

 全米で猛威をふるった新型コロナウイルスですが、各地で行われたロックダウン(都市封鎖)が効いて、徐々に沈静化。呼応して、ロックダウンも徐々に解除され、経済活動をリスタートする都市が増えてきました。

 ところが、それに水を差す大事件が勃発。

 黒人男性が白人警官に首を押さえつけられて死亡したという、ミネソタ州での事件をきっかけに起こった全米各地での抗議デモです。事件から8日目となった6月2日(火)も、各地で抗議活動が続きました。

 こうした状況を受け、ニューヨーク市は6月2日(火)、夜間外出禁止令の延長を発表。首都ワシントンでは、警戒にあたる州兵を1300人から2800人に増強する方針が示されました。

 Amazonでは、護身に用いる催涙スプレーの売上が急増しているそうです。

 そして、抗議デモが激化している影響で、新型コロナウイルス感染者が急増するとの懸念も、急速に高まっています

 事件前から感染者が増加傾向にあったミネソタ州のワルツ知事は、デモの人出で感染者がさらに急増することは「避けられない」と懸念を表明。

 長期間に渡るロックダウンから脱却し、米国経済がリスタートしようとした局面で、それを大きく阻害する大事件が発生したわけですから、これは通常、米国株にとって大きなネガティブ材料となります。

 しかし、今週(6月2日~)前半の米国株は急騰しています。

NYダウ 日足
NYダウ 日足チャート

(出所:Trading View

■全米で抗議デモが拡大する中でも米国株は続伸

 前述のように、全米で拡大する抗議デモは、すでにデモではなく、略奪行為にまで拡大している模様。ニューヨーク市では、6月1日(月)夜から2日(火)未明にかけて、マンハッタンなどで略奪行為が相次ぎ、700人近くが逮捕されたようです。

 ロサンゼルスの友人によれば、まず、すべての米国民には「抗議デモ」をする権利があると言います。ただ、今回の件はひどい略奪行為にまで発展しており、ロサンゼルス郡の安全も低下してきているので、家族を守るために、銃の保持を検討しているとのこと。

 現在の米国はこうした環境下にあることから、「新型コロナウイルス第2波は止められない」とする米専門家も多く、米国株にとっての大きなマイナス材料は、解決していないままです。

 しかし、6月3日(水)の米国株も続伸。NYダウは2%、S&P500指数は1.4%上昇しました。

S&P500指数 日足
S&P500指数 日足チャート

(出所:Trading View

新型コロナウイルスによるロックダウン、拡大する抗議デモというネガティブ要因を無視した形での米国株急騰に、投資家は困惑しています。

デモもコロナもまるで無視、米株の歴史的急騰に投資家困惑

S&P総合500種は3月終盤から6月1日の引け段階までに37%値上がりし、ナスダック総合も過去最高値に接近。いずれも新型コロナウイルス感染のパンデミック(大流行)がもたらす幅広い経済の混乱や不確実性を、まるで無視するかのような勢いで上昇してきた。

こうした事態に投資家は困惑を隠せない。大方の予想を超えて進んできた相場の盛り返しにあえて逆らうポジションを構築する向きはほとんど見当たらないものの、株式市場は米連邦準備理事会(FRB)や米議会が無制限に支援してくれるとの期待を背景に、実態経済と切り離されてしまったのではないかと懸念する声が聞かれる。

出所:ロイター

 この記事にあるように、株式市場は、FRB(米連邦準備制度理事会)や米議会が無制限に支援してくれるとの期待を背景に、多くのネガティブ材料を無視して続伸しているようです。

 多くの投資家が、この急騰に逆らうポジションを構築する向きはほとんど見当たらないものの、急激な調整に対する懸念も高まってきました

■リスクアセットが続伸する中、豪ドルは急上昇

 米国株の続伸とWTI原油が大幅反発する中、リスクアセット通貨の代表である豪ドルも同様の動きとなりました。

WTI原油先物 日足
WTI原油先物 日足チャート

(出所:Trading View

当コラムでは、3月19日(木)から一貫して、豪ドルに対して強気なスタンスを通してきましたが、先週(5月25日~)後半からの豪ドルの急伸について懸念を抱くようになりました。

【参考記事】
巨額コロナ復興基金案公表でユーロ反発!香港情勢巡る米中関係悪化で豪ドル失速…(5月28日、西原宏一)

 中期での豪ドル続伸というスタンスは変わりませんが、懸念されるのはそのスピード。

 3月~4月にかけては、米中関係も悪化している中、豪ドルに対して弱気なスタンスの参加者が多数だったこともあり、豪ドルの反発はそれほど極端なものではありませんでした。

 ところが、5月に入ってからその上昇スピードが徐々に加速。

豪ドル/円 日足
豪ドル/円 日足チャート

(出所:Trading View

 以下のグラフは、2020年4月1日(水)~6月3日(水)までの主要通貨の対円の騰落率です。

 6月3日(水)の時点で、豪ドルは、円に対して15.84%も急騰しており、他通貨を圧倒しています。

対円騰落率

(出所:Bloomberg)

 こういう状況では、誰の目にも豪ドルの強さが明白となり、今月(6月)に入ってから豪ドルの上昇は、さらに加速。

 6月3日(水)のマーケットでは、一時、豪ドル/米ドルは0.6983ドル、豪ドル/円は75.76円まで急騰しました。

豪ドル/米ドル 4時間足
豪ドル/米ドル 4時間足チャート

(出所:Trading View

豪ドル/円 4時間足
豪ドル/円 4時間足チャート

(出所:Trading View

 2020年の豪ドル/米ドルは…


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