■株反落を根拠にした米ドル安・円高論を否定する
株の話はここまででいったんおさめるが、株がベア(下落)トレンドへ逆戻りしたのではなく、途中のスピード調整なのであれば、株の反落を根拠にした「米ドル安・円高」の論調も鵜呑みにできない。
ナスダック総合指数は一昨日(6月10日)の終値をもって1万ポイントの大台を回復したばかりなので、今週(6月8日~)始まった米ドル安・円高の進行を「コロナバブル崩壊」という理由で説明し、また、さらなる米ドル安の進行を予測するのは、やはり適切ではないと思う。
実際、ドルインデックスを見るとわかるように、米ドル全体の下落は3月23日(月)高値からすでに進行しはじめ、大型ジグザグ変動パターンをもって5月半ばから一段と加速してきた。
(出所:TradingView)
そして、5月26日(火)~6月5日(金)前後において、米ドル全体は一段と下落していたが、米ドル/円はむしろ逆行して米ドル高・円安の方向に振れ、これが主要クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)の大幅上昇をもたらしたわけだ。
(出所:TradingView)
ゆえに、目先進行中の米ドル/円とクロス円の反落が、株安に伴う円高の再来といった見方には同意できない。米ドル/円はドルインデックスとの連動に復帰、クロス円は先週(6月1日~)までの急騰に対する調整、といった視点のほうがより適切ではないかと思う。
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■本格的円高トレンドへの逆戻りにはほど遠い
実際、昨日(6月11日)、NYダウの史上4番目の値幅の急落があったにもかかわらず、ドルインデックスは連日の陰線を改め、逆にいったん下げ止まり、また陽線で大引けしたから、これが米ドル安自体の本質を示唆しているとみる。
(出所:TradingView)
つまるところ、米ドル全体の下落は3月における大型V字反騰に対する調整で、株の調整があったからこそ、むしろ下げ一服、また底打ちのタイミングを迎える可能性がある。
米ドル/円はドルインデックスとの連動性に復帰、あとを追う形で米ドル全体の底打ちに反応、調整一巡を示唆するだろう(早ければ本日6月12日)。
そして、主要クロス円の急騰があったからスピード調整が必要なのであり、足元進行中の外貨安・円高傾向もあくまで調整子波と見なされ、本格的な円高トレンドへの逆戻りといった状況にはほど遠い。
このあたりの検証は、また次回も続けたい。市況はいかに。
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