■米雇用統計は予想外の好結果に
みなさん、こんにちは。
今月(6月)に入ってからの最初のサプライズは、5日(金)に発表された米雇用統計。
米雇用、5月は予想外の改善 就業者250万人増・失業率13.3%
米労働省が5日発表した5月の雇用統計は、非農業部門雇用者数が一転増加に転じ、失業率も予想外に改善した。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が招いた景気低迷からの回復には時間がかかる可能性があるものの、底打ちの兆しを示した。
出所:ロイター
このところ、全米に拡大する抗議デモに悩まされているトランプ大統領にとって、久しぶりにいいニュース!
米雇用統計が予想外の改善。全米に拡大する抗議デモに悩まされているトランプ大統領にとって久しぶりに良いニュースになった (C)Mark Wilson/Getty Images
この報道がよほどうれしかったようで、「実に素晴らしい雇用統計だ。トランプ大統領は良い仕事をしている(ジョークだが事実だ)!」とツイッターに投稿。
Really Big Jobs Report. Great going President Trump (kidding but true)!
— Donald J. Trump (@realDonaldTrump) June 5, 2020
ともあれ、驚きの米雇用統計の結果を受け、米国株は続伸。
(出所:Trading View)
リスクオンの流れの中、米ドル/円も急速に値を上げ、一時、109.85円と110.00円に迫るところまで急騰しました。
(出所:Trading View)
■米ドル/円は「雇用統計天井」でトップアウトを示唆
ところが、この米ドル/円の流れは、わずか1日で終了。
好調な米雇用統計の結果を受け、今週(6月8日~)のマーケットは「株高・米ドル安・円安」、つまり、リスクオンの流れで進むというマーケットのコンセンサスは大きく崩れます。
本稿執筆時点での米ドル/円は、一時106.90円まで急反落。
(出所:Trading View)
クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)も反落しています。
前回のコラムでご紹介させていただいた豪ドル/円も、米雇用統計後に一時76.78円まで急騰しましたが、本稿執筆時点では74.60円と急反落し、トップアウトを示唆。
【参考記事】
●全米でデモ拡大…だけど、米国株は続伸!? 豪ドル/円は買われ過ぎ示唆で押し目狙い(6月4日、西原宏一)
(出所:Trading View)
振り返ってみると、今週(6月8日~)に入って、米ドル/円を急落させるような材料はありません。ナスダック総合指数にいたっては、最高値を更新しています。
(出所:Trading View)
結果、米雇用統計後につけた米ドル/円の高値(=109.85円)は、「米雇用統計天井」となり、トップアウトを示唆。
(出所:Trading View)
そして、米ドル/円の上値をさらに限定的にすると思われるのが、本日(6月11日)未明に発表されたFOMC(米連邦公開市場委員会)の結果です。
発表された内容は、下記のとおり。
(1) FF金利(※)の誘導目標レンジを0-0.25%に据え置く
(2) 資産購入に関して「少なくとも」現行ペースを維持
(3) 2022年まで政策金利をゼロ付近で維持する見通し
(※編集部注:「FF金利」とは、フェデラルファンド金利のことで、FFレートとも呼ばれる。米国の政策金利)
マーケットに強烈なサプライズを与えるようなものではありませんが、極めてハト派的な内容。
少なくとも、2022年までゼロ金利を続けるわけですので、米ドル/円の上値を抑える要因としては十分です。
ここで…
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