ECBの金利会合では、今後の3ヶ月での資産購入ペースを速めることが公表された。一種の金融緩和措置なのだろうが、ここ最近の長期金利の上昇に釘を刺したものとも言える。長期金利のにわかな上昇がマーケットの楽観論を払拭しているのだから、どうしてもそれの増幅は避けたいという思惑なのだろう。そして事実として今週の米国債の入札はいずれも芳しいものはなかったのにもかかわらず、ドルの長期金利は低下傾向をたどっている。
昨日も欧州序盤から世界的に長期金利は低下した。米国債の10年ものの利回りも1.50%を下回ってきた。それにつられる形でドル相場も軟化。決して値幅は大きくはなかったが、ドルの上値の重さが目立つ展開となった。値動きにスピード感や破壊力が感じられないため、私としてもなかなか手が出なかった。ドルを突っ込み売りするには、勢いが足りなかった。
長期金利の低下を好感して、米国株は高値追いの形となった。ダウ平均は史上最高値を更新し、S&P指数は最高値に並ぶところまで上昇した。最近ではリスク性の高いものとして論じられることの多くなったビットコインも過去最高値の近くまで上がってきて、そのまま高値引けしている。
今晩はインフレ指標の一つとしてPPIが出る。先日、発表されたCPIは低めだったので、マーケットに安心感を与えたのは記憶に新しい。しかしCPIはPPIに3ヶ月ほど遅行するといわれている。従って近い将来を展望するためにはPPIのほうが重要だとも言える。やや和らいでいる長期金利の上昇が再燃するかもしれないのだ。その分だけ今晩のPPIには注意を余分に払っておく必要があるだろう。
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