週明けの昨日のマーケットでも、やはり焦点はインフレ懸念となった。石油や金といった代表的なコモディティだけでなく、食料品や原材料といったものまで顕著な価格上昇を示したからである。それに対してFED関係者から出てくるコメントは、相変わらずインフレは進行していないとするものばかり。ますます市場の認識とのギャップを広げているようにしか見えなかった。
ここまで金融当局の姿勢がかたくなだと、かえってアメリカを中心とする経済システム、金融システムに不安を感じ出すもの無理はないだろう。すでに隣国のカナダはテイパリングを表明しており、イギリスなどでも緩和姿勢の変更を示唆している。ましてやブラジルやトルコなどは物価高を押さえるためにも、利上げモードを強いられている。いかにもアメリカだけがやせ我慢している姿が浮かび上がるのだ。
もちろん雇用の完全回復が金融当局のメインテーマであろう。しかしそれは9月の失業保険の上積み分が解消されるまでは、本格的な労働力の復帰にはつながらなさそうだ。コロナ感染のために非常的にとった措置も、いまやマーケットの混乱要因になっているとも言える。政治がマーケットをゆがめている可能性があるということだ。
昨日の米国債市場の重さ、すなわち長期金利の上昇傾向の表れは、そうした市場との対話がうまくいっていないことを示しているものと考えれる。値幅こそ大きくはなかったが、昨日のニューヨーク時間ではドル円は買い戻しが優勢な展開となった。
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