(「FXブロガー・EURO SELLERさんに聞く(2) ~トレンドラインを使わない理由~」からつづく)
EURO SELLERさんには、これからの為替相場がどうなっていくか、少し長い目で見た見通しも聞いてみた。
「先ほども言ったとおり、基本的に中短期のトレードをやっていますから、長期予測は苦手なんです。『前言撤回』ばかりしてますから、1週間も経たないうちに違うことを言い出すかもしれませんよ。その点、用心して聞いてくださいね」などと言いつつ、詳しくいろいろ話をしてくれた。
■事実上、金融機関に公的資金を投入するスキームとは?
まずは米国経済の話からだ。EURO SELLERさんは米国の金融システム不安は3月で終わったとみている。
「3月にベア・スターンズをJPモルガン・チェースが救済しました。FRB(米連邦準備制度理事会)が関与して…。あれが救済できたんだったら、あれ以上ひどいことは起きないだろうし、もしも起きそうになったとしても、またFRBが何とかするだろうという安心感が今の市場にはあると思うんです。
FRBはTAF(ターム・オークション・ファシリティ)、TSLF(ターム・セキュリティーズ・レンディング・ファシリティ)というスキームを作りました。TAFはFRBが短期資金を金融機関に貸し出すしくみ、TSLFは金融機関が住宅担保証券を差し出したら、FRBが国債を貸し出しますよというスキームです。
これは事実上、金融機関に公的資金を投入するスキームなんです。こういうことは歴代のFRBはやってきませんでした。これがあるから、今はすごく安心感があるわけです」
では、3月で金融システム不安がなくなって、その後はどうなったのか?
「4月からは相場が変わって、米国の実体経済がどうなのかということに市場の焦点が移ったと思います。じゃあ、米国の景気はどうかというと、これは確かに良くないです。でも、GDPはまだプラスです。本当の景気後退の時はこれがマイナスになるのですが…」
■米国経済はなぜひどく悪くはならず、踏み止まっているのか?
EURO SELLERさんは米国経済がひどく悪くはならずに踏み止まっている要因として、米国の利下げ開始の早さを挙げる。
「2000年のITバブル崩壊時、FRBが利下げし始めたのは、四半期のGDPが2期もマイナスになった後でした。それと比べると、今回は利下げの初動が実に早いのです(下のグラフ参照)。先ほども言ったとおり、GDPはまだプラスですからね。早期に利下げを開始したことによって、まだ景気後退の入り口で止まっているんだと思います」
まずは米国経済の話からだ。EURO SELLERさんは米国の金融システム不安は3月で終わったとみている。
「3月にベア・スターンズをJPモルガン・チェースが救済しました。FRB(米連邦準備制度理事会)が関与して…。あれが救済できたんだったら、あれ以上ひどいことは起きないだろうし、もしも起きそうになったとしても、またFRBが何とかするだろうという安心感が今の市場にはあると思うんです。
FRBはTAF(ターム・オークション・ファシリティ)、TSLF(ターム・セキュリティーズ・レンディング・ファシリティ)というスキームを作りました。TAFはFRBが短期資金を金融機関に貸し出すしくみ、TSLFは金融機関が住宅担保証券を差し出したら、FRBが国債を貸し出しますよというスキームです。
これは事実上、金融機関に公的資金を投入するスキームなんです。こういうことは歴代のFRBはやってきませんでした。これがあるから、今はすごく安心感があるわけです」
では、3月で金融システム不安がなくなって、その後はどうなったのか?
「4月からは相場が変わって、米国の実体経済がどうなのかということに市場の焦点が移ったと思います。じゃあ、米国の景気はどうかというと、これは確かに良くないです。でも、GDPはまだプラスです。本当の景気後退の時はこれがマイナスになるのですが…」
■米国経済はなぜひどく悪くはならず、踏み止まっているのか?
EURO SELLERさんは米国経済がひどく悪くはならずに踏み止まっている要因として、米国の利下げ開始の早さを挙げる。
「2000年のITバブル崩壊時、FRBが利下げし始めたのは、四半期のGDPが2期もマイナスになった後でした。それと比べると、今回は利下げの初動が実に早いのです(下のグラフ参照)。先ほども言ったとおり、GDPはまだプラスですからね。早期に利下げを開始したことによって、まだ景気後退の入り口で止まっているんだと思います」
「ドル/円」「FFレート」などの推移
上のグラフを見てみよう。ITバブル崩壊後、米国の政策金利であるFFレート(ピンクのライン)が下げ始められたのは2001年1月のことだった。6.5%で高止まりしていたFFレートは緊急利下げで0.5%下げられ、6.0%になっている。
しかし、すでにこの時までに四半期GDP(茶色のライン)は2回マイナス圏に落ち込んでいた。
一方、今回、5.25%で止まっていたFFレートが引き下げられ始めたのは昨年9月のこと。それ以降、猛スピードでFFレートは引き下げられ、現在は2.0%まで下がっているが、それ以前も引き下げ中も、四半期GDPは一度もマイナス圏に落ち込んでいない。
また、EURO SELLERさんはそもそも米国経済の底力は侮れないともいう。
「米国の労働生産性の上昇率は先進諸国の中でトップです。そして、米国は先進国の中では珍しく、いまだに人口が増加しています。このように米国経済は底力がありますから、米国の景気は今、少し減速していますが、これはひどいことにならず、ソフトランディングすると思いますよ」
以上のようなことを踏まえ、結局、ドル/円相場はどうなるとEURO SELLERさんはみているのだろうか?
「これから1年間で100~113円のレンジじゃないでしょうか。第2のベア・スターンズが現れない限り、95円をつけるようなことはないでしょう。日本経済が好調なわけでもないですし、円高にも限度があります。
逆に米国経済の底力は侮れないといっても、やはり絶好調というイメージはありません。だから、上は120円まではとてもじゃないけど、行かないと思っています」
ドル/円について、EURO SELLERさんの見通しは100~113円とのこと。あの3月17日の95円台が当面の底になるとの見立てだ。
では、次にユーロについて、EURO SELLERさんはどうみているのだろうか?
(「FXブロガー・EURO SELLERさんに聞く(4) ~ユーロ/ドルはこれからどうなる?~」へつづく)
(ザイFX!編集部・井口稔)
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