そのブログを読み始めたのはいつ頃だったろうか。『EURO SELLERの為替・投資戦略ブログ』、そこへ記者は時々立ち寄るようになっていた。
『Doblog(ドブログ)』というブログサービスはどういうわけか、投資関連の人気ブログが多い。『ザイFX!』の兄弟サイト『ザイ・オンライン』でコラム連載中の広瀬隆雄さんのブログ『いちカイにヤリ 投資世代』もDoblogにあり、その「人気ブログランキング」の1位によくなっている。そして、そこでだいたい10位前後に位置しているのが、『EURO SELLERの為替・投資戦略ブログ』だ。
このブログ、かなりマニアックである。メインは為替だが、それ以外にも世界の金融市場の動向について、いろいろ詳しく言及している。たとえば、5月30日付の記事には、ノルウェーの石油サービス会社「STATOILHYDRO ASA SPONSORED」のプットオプションを買った話なんかが書いてあった。
ノルウェーの石油サービス会社なんて、普通の人は知らないよな~。そんな会社のオプションを買ってるなんて、ブログの作者・EURO SELLERさんは十中八九、金融機関に勤め、投資関連の仕事をしている人に違いない。最近、そういうブログ、結構多いし……そんなことを考えつつ、記者はEURO SELLERさんに取材を申し込んでみたのである。
会って話を聞いてみると、EURO SELLERさんの本業は予想に反し、投資とは関係なかった。勤めているのは非金融系の外資系企業。金融機関ではなかったのだ。
そして、「日銀総裁だろうが何だろうがズバリ斬る!」みたいなブログの印象とは違い、EURO SELLERさんは物腰やわらか、懇切丁寧にいろいろと為替相場について語ってくれた。
というわけで、今回はいわゆる「為替のプロ」ではなく、FXブロガーであり、FXトレーダーであるEURO SELLERさんに根掘り葉掘り聞いてみる「ドル・円・ユーロの明日はどっちだ!?」ということになる。
ではまず、EURO SELLERさんがFXの取引を始めたのはいつ頃だったのか? そこから聞いてみよう。
「FXのトレードを始めたのは2002年頃。海外との電話会議の合間にアメリカのサイトで、為替レートが刻々と動いているのを見て、興味を持ったのが始まりです。その頃はまだ日本ではFXは一般的でなく、日本のサイトにはあまり充実した資料がありませんでした。取引もアメリカのFX会社に口座を開き、そこで始めたんですよ」
■欧州憲法否決の時、ユーロを売りまくって大勝利!
この”EURO SELLER”という風変わりなハンドルネーム。その由来は何なのだろう?
”EURO SELLER”って、ユーロを売る人っていう意味?
「2005年5~6月、ちょうど今ぐらいの季節です。フランスとオランダで欧州憲法を批准するかどうか、国民投票が行われました。5月29日にフランスで欧州憲法が否決され、6月1日にはオランダでも欧州憲法が否決されました。この時、ユーロは下がると考え、ユーロ/ドルを思いっきり売ったんです」
この時、EURO SELLERさんがユーロ/ドルの売りで儲けた金額は4万ドルほど(当時のドル/円レートで換算すると約430万円)。2週間ほどの短期間でかなりの利益を上げたのだ。
EURO SELLERというハンドルネームはこの時の”勝利”を記念してつけたものだという。
「ただね、欧州憲法の否決なんて、ホントは影響ないんです。その後、今に至るまで欧州憲法は発効してませんけど、ユーロはずいぶん強かったですからね」
2005年のこの時期は下がっていたユーロ/ドルだが、今になって振り返れば、長い上昇トレンドの中の調整期だった。その後、ユーロ/ドルはどんどん上がっている。
ちなみに、EURO SELLERさんはFXなどのトレードで本業に迫る利益を上げている年もあるという。ざっと言って、こういう年は年収が給料の2倍になっているわけだ。
サラリーマンが現在の年収を短期間で2倍にするのは容易なことではない(普通は無理?)。けれど、FXならその可能性が十分ある(もちろん、FXの達人になるのは、それはそれで大変なことだが…)。記者ももっとトレードがうまくなりたい!……と、改めて思ったのだった。
■自分の考えに固執しないことがトレードで成功するカギ
さて、そんなEURO SELLERさんだが、トレードを始めた最初の頃には強制決済になったこともあったという。
「最初の1年ぐらいはいつも自分のポジションが正しいと思ってトレードしていました。でも、ホントはそれじゃダメなんです。自分のポジションが正しいと思っているから、ストップ注文も入れてなくて、強制決済をくらっちゃいました。レバレッジをかけすぎていたことも問題でしたね」
自分のポジションが正しいと思ってはダメ……ということだが、では、どうすればいいのか?
「仮に9割方こうなると思って、その方向にポジションをとったとしても、残りの1割が来てしまったら、自分の考えが間違っていたと認め、逆のポジションをとります。それまで持っていた自分の考えにあまり固執しないことがトレードで成功するには必要だと、段々考えるようになっていったんです。だから、相場の予測については『前言撤回』ばかりですよ」
そもそも、EURO SELLERさんは確率の勝負ではなく、期待値の勝負を心がけているという。これはどういう意味だろう?
「相場が8割の確率で5円上がるとしましょう。でも、2割の確率で10円下がるんだったら、そちらの方が値幅が大きいですよね。トレードする人は確率だけじゃなくて、値幅も考えないといけないんです。
滅多に起こらないことでも、起きてしまえば認めるしかないんです。そして、確率が少なくても、もし下がったら(もし上がったら)、そちらの方がスゴい相場になるぞという時はそのケースもよく考えて、準備しておきます。これが期待値の勝負ということです。
アナリストなどメディアに出られる方は、滅多に起こらないことを『起こるかも…』とは予測しません。上がるか下がるか、確率の高い方をとりますよね。8割上がると思えば、上がると予想を発表します。アナリストの仕事としてはこれでいいと思うのですが、トレーダーにはそういった予想とは別の取り組み方が必要になると思うんです」
(「FXブロガー・EURO SELLERさんに聞く(2) ~トレンドラインを使わない理由~」へつづく)
(ザイFX!編集部・井口稔)
この”EURO SELLER”という風変わりなハンドルネーム。その由来は何なのだろう?
”EURO SELLER”って、ユーロを売る人っていう意味?
「2005年5~6月、ちょうど今ぐらいの季節です。フランスとオランダで欧州憲法を批准するかどうか、国民投票が行われました。5月29日にフランスで欧州憲法が否決され、6月1日にはオランダでも欧州憲法が否決されました。この時、ユーロは下がると考え、ユーロ/ドルを思いっきり売ったんです」
この時、EURO SELLERさんがユーロ/ドルの売りで儲けた金額は4万ドルほど(当時のドル/円レートで換算すると約430万円)。2週間ほどの短期間でかなりの利益を上げたのだ。
EURO SELLERというハンドルネームはこの時の”勝利”を記念してつけたものだという。
「ただね、欧州憲法の否決なんて、ホントは影響ないんです。その後、今に至るまで欧州憲法は発効してませんけど、ユーロはずいぶん強かったですからね」
2005年のこの時期は下がっていたユーロ/ドルだが、今になって振り返れば、長い上昇トレンドの中の調整期だった。その後、ユーロ/ドルはどんどん上がっている。
ユーロ/米ドル 月足
ちなみに、EURO SELLERさんはFXなどのトレードで本業に迫る利益を上げている年もあるという。ざっと言って、こういう年は年収が給料の2倍になっているわけだ。
サラリーマンが現在の年収を短期間で2倍にするのは容易なことではない(普通は無理?)。けれど、FXならその可能性が十分ある(もちろん、FXの達人になるのは、それはそれで大変なことだが…)。記者ももっとトレードがうまくなりたい!……と、改めて思ったのだった。
■自分の考えに固執しないことがトレードで成功するカギ
さて、そんなEURO SELLERさんだが、トレードを始めた最初の頃には強制決済になったこともあったという。
「最初の1年ぐらいはいつも自分のポジションが正しいと思ってトレードしていました。でも、ホントはそれじゃダメなんです。自分のポジションが正しいと思っているから、ストップ注文も入れてなくて、強制決済をくらっちゃいました。レバレッジをかけすぎていたことも問題でしたね」
自分のポジションが正しいと思ってはダメ……ということだが、では、どうすればいいのか?
「仮に9割方こうなると思って、その方向にポジションをとったとしても、残りの1割が来てしまったら、自分の考えが間違っていたと認め、逆のポジションをとります。それまで持っていた自分の考えにあまり固執しないことがトレードで成功するには必要だと、段々考えるようになっていったんです。だから、相場の予測については『前言撤回』ばかりですよ」
そもそも、EURO SELLERさんは確率の勝負ではなく、期待値の勝負を心がけているという。これはどういう意味だろう?
「相場が8割の確率で5円上がるとしましょう。でも、2割の確率で10円下がるんだったら、そちらの方が値幅が大きいですよね。トレードする人は確率だけじゃなくて、値幅も考えないといけないんです。
滅多に起こらないことでも、起きてしまえば認めるしかないんです。そして、確率が少なくても、もし下がったら(もし上がったら)、そちらの方がスゴい相場になるぞという時はそのケースもよく考えて、準備しておきます。これが期待値の勝負ということです。
アナリストなどメディアに出られる方は、滅多に起こらないことを『起こるかも…』とは予測しません。上がるか下がるか、確率の高い方をとりますよね。8割上がると思えば、上がると予想を発表します。アナリストの仕事としてはこれでいいと思うのですが、トレーダーにはそういった予想とは別の取り組み方が必要になると思うんです」
(「FXブロガー・EURO SELLERさんに聞く(2) ~トレンドラインを使わない理由~」へつづく)
(ザイFX!編集部・井口稔)
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1000通貨 | 20ペア |
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米ドル/円 スプレッド | ユーロ/米ドル スプレッド | 最低取引単位 | 通貨ペア数 |
0.2銭原則固定 (9-27時・例外あり) |
0.3pips原則固定 (9-27時・例外あり) |
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