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陳満咲杜の「マーケットをズバリ裏読み」

米ドルを買うなら、今は米ドル/円がイチオシ!
保ち合い長く、まだ初動!
2020年高値112. 20円へロックオンも

2021年09月24日(金)18:09公開 (2021年09月24日(金)18:09更新)
陳満咲杜

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9月FOMC以降、市況は一進一退

 9月FOMC(米連邦公開市場委員会)通過後、一進一退の市況となっている。

 FOMC自体、大したサプライズはなかったと思うが、マーケットはまず米ドル買い優勢の展開となり、ドルインデックスは一時93半ばをトライした。しかし、昨日(9月23日)大きく反落、FOMC通過後の上昇幅をほぼ帳消しとし、行って来いの状況を示している。

ドルインデックス 日足
ドルインデックス 日足チャート

(出所:TradingView

 今回のFOMCのポイントは、以下の3つにまとめられるかと思う。すなわち、

1、ドットチャートが示す利上げ回数の増加
2、今年(2021年)11月からテーパリングを開始
3、順調に行けば、来年(2022年)半ばにてテーパリングを完了

 の3つだ。3つのポイントのうち、あえて言うなら3番目のところが米ドル買いを促進したのではないかと思う。

 なにしろ、1と2のポイントはほぼ市場の想定どおり、あるいはすでに織り込み済みだったからだ。テーパリングの終了時期に言及する3番目のところが、市場参加者の想定を少し超えた程度ではないかと思う。

 それにしても、サプライズと呼ぶほどの衝撃ではないので、本格的なリスクオフにはつながらず、また、それに基づく米ドル買いの先行があっても、長く続かなかったわけだ。

 ドルインデックスを見るとわかるように、92後半~93半ばのレンジを形成、目先、頭は重いが底堅く、あくまでレンジ変動の一環と読み取れる。

ドルインデックス 4時間足
ドルインデックス 4時間足チャート

(出所:TradingView

米ドル全体はじわじわ上値トライする機運が高まるだろう

 もっとも、FOMC声明文を受けた米ドル買いは、リスクオフの側面もあったが、昨日(9月23日)、米国株をはじめ、主要株式市場の反発を受け、目先、警戒感がだいぶ後退しているところも大きいかと思う。

 中国最大(おそらく世界最大)の不動産会社、恒大集団の倒産危機をきっかけに、一時、世界株式市場全面安の展開となったが、同社は一部利息の支払いで目先の倒産危機をとりあえず回避、またFRB(米準備制度理事会)議長の指摘(中国固有の問題、世界へ波及するリスク小さい)を受け、リスクオフの懸念による米ドル買いのポジションが解消された模様だ。

 しかし、基本的に米ドル高の基調が否定されたわけではなく、FOMCを通過したからこそ、これから一段高となり得る段階に来ていると思う。

11月のテーパリング実施は、ほぼ決定事項なので、米長期金利の上昇もむしろこれからだとみられ、米ドル全体はじわじわ上値トライする機運が高まるだろう。

米ドル全体が一進一退の状況は米ドル/円にとって好都合

 もう1つの視点として、米ドル全体が目先一進一退の状況を保っているから、それは米ドル/円にとって好都合ということを挙げておきたい。

 ユーロ以外の主要外貨、英ポンドや豪ドルなどは大きく切り返してきたから、当然のように対円でも目先戻りの基調を速め、少なくとも目先は早期「底割れ」のリスクを後退させた。

英ポンド/円 日足
英ポンド/円 日足チャート

(出所:TradingView

豪ドル/円 日足
 豪ドル/円 日足チャート

(出所:TradingView

 ゆえに、米ドル/円はクロス円経由の円高圧力どころか、円安へシフトする推進力を得られやすい時期にあるのではないだろうか。

 米ドル/円は今なおレンジに留まっているが、110円台後半のレジスタンスゾーンを突破できれば、新たな上昇波として始動し、昨年(2020年)高値の112.20円前後へ照準を合わせられるとみる。

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足チャート

(出所:TradingView

 もっとも、米ドル/円は総じて底堅い推移を維持してきた。中国恒大集団問題があっても、米国株の一時の急落があっても、米ドル/円は109円の節目を死守してきた。

 リスクオフの円高はすでに過去のロジックとなった以上、仮にこれから米国株の大きな調整があっても、米ドル/円がベア(下落)トレンドへ復帰するとは想定しにくい。米ドル/円の上放れはもはや時間の問題、ということを強調しておきたい。

日経平均の2021年年初来高値の再更新も既定路線

 時間の問題といえば、日経平均も同様だ。2021年年初来高値の再更新は規定路線なので、早晩実現されるだろう。

日経平均 日足
日経平均 日足チャート

(出所:TradingView

 この意味合いにおいて、株高・円安という「セットの値動き」がまた鮮明になってくる可能性も大きい。仮にそのような局面が来れば、やはり本格的なリスクオフがこれから避けられないのだとしても、それは市場関係者の想定よりだいぶ後ずれする公算が高い。

米国株が過熱、また割高と指摘する声も多いが、懸念材料として完全に無視できないとは思いつつ、株高・円安の流れが目先鮮明になりつつある状況を踏まえ、前述のように少なくとも目先のリスクではないと思う。相場の難しいところは実はそこにある。

 売られすぎと思ったらさらに大きく下落、買われすぎと思ったらさらに買い上げられる事例は、相場において枚挙に暇がない。

 また、その周期、つまりスパンも一般の市場参加者の想定をはるかに超える習性がある。

 何年もブル(上昇)トレンドが続いてきたから、そろそろ頭打ちとなり、本格的な反落を演じるだろうと高を括っているうちは、実はまだまだ上昇し続け、指をくわえて様子を見てきたトレーダーを後悔させる例も数多く見てきたので、性急な判断や安易な逆張りは避けたいところだ。

 とはいえ、悔しさのあまり、衝動的に買い出動した途端、実は高値づかみとなってしまう事例も多かった。

 幸いなことに、米ドル/円の現在の状況から考えると、そのようなリスクは少ないから、ロング筋にとって目先は参入好機ではないかと思う。

 なにしろ、7月に頭打ちしてからずっと保ち合いの状況を保ってきたので、目先まだまだ初動の段階だ。米ドル買いなら、今、米ドル/円が一番乗りやすいかとみる。市況はいかに。

 (14:00執筆)

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