円安、株高が進んでいる。ドルは対主要通貨で軟調に推移しているが、対円だけはブル(強気)基調を保つ。当然のように、クロス円相場(※)は揃ってリバウンドの勢いを強めた。前回も指摘したように、「後出しジャンケン」でも十分ついていける「やさしい」相場であった(「後だしジャンケンでも勝てる! 為替相場の新常識」参照)。
(※編集部注:「クロス円」とはドル以外の通貨と円との通貨ペアのこと)
■ネガティブなニュースが出る一方で株価はグングン上昇
その背景は、前々回にも強調したように「クロス円をはじめとして、円全体の続落がドル全体の弱さにリンクしている」という奇妙な関係にあり、まったくサプライズはなかった。改めて感心しているのは「現実は予想より早く変化する」(アーサー・ザイケル)、そして「相場は現実よりも早く動く」ということだ(「米ドル/円は一直線に下がるのか、それともリバウンドはあるのか?」参照)。
米国株については、一部論者の「ダウ6000ドル割れ必至」との声が消えないうちに、あっという間に8000ドルを超えてきた。実際、3月17日から3月26日までに、ダウ指数にしても、S&P500指数にしても20%以上の上昇幅を達成しており、ナスダック指数に至っては約25%も上昇していた。
これは1938年以来の激しい上昇なのだが、マスコミは依然として「米GM(ゼネラル・モーターズ)破綻やむなし」や「次の危機に備えよう」といった論調を繰り返しているのだ。
日本の場合もしかり。日銀短観(企業短期経済観測調査)が史上最低水準更新といったネガティブなニュースが新聞紙面に掲載されているが、一方で日経平均は9000円の大台をトライしようとしている。新聞だけの情報では、とても株は買えない。
金融機関で働いていた時に、私は部下に対して常にこう言っていた。「新聞は朝に読むものではない。1日が終わり、風呂から上がって、ウィスキーを手にして、斜めにチェックする程度がちょうどいい」。
■ジョージ・ソロスのコメントもアテにならない
為替市場においても、今週始めから市場コンセンサスがことごとく裏切られている。「予想外」のECBの利下げ幅、「予想外」の英住宅関連データの上昇、「予想外」の20カ国・地域(G20)首脳会合(金融サミット)での1兆ドル規模の対策への合意などなど…。
特に、G20については、米著名投資家ジョージ・ソロス氏の「G20会議が失敗に終わり、市場が再び暴落する引き金になる」といった事前の予測が広く報道されていた。しかし、G20終了後にはソロス氏による「評価する」とのコメントが早速伝えられている。「新聞を読む暇があったら、相場をチェックしろ!」と部下に言っていたことは、やはり正しかったのだ。
■ドル/円の上値メドは104円台へ上方修正!
さて、これからの相場はどうなるか? 結論から申し上げると、ドル/円の上値メドは104円台へと上方修正すべきだと思う。この結論はファンダメンタルズに基づいたものではなく、「相場は相場に聞け」と言われるように、チャートを見て導き出したものだ。
4月3日午前(日本時間)の時点では、ドル/円は100円台に乗せてきている。本コラムが2月27日に指摘した第一ターゲットはとりあえず達成された格好であるが(厳密に言えば、昨年12月から定めた目標であった)、ここで利益を確定するのではなく、新たにロングポジションを作るべきだ(「『1−2−3の法則』が大ヒット! ドル/円は100~102円台達成の可能性大」参照)。
下の日足チャートを見ていただきたい。aラインは上昇トレンドのサポートラインの役割を示し、ドルの上昇が続いていることを示唆している。その上、bラインの役割に注目してほしい。これは「ネックライン」と呼ばれる重要な指示性を持つラインだ。
(出所:米国FXCM)
上のチャートが示すように、赤い円で囲まれた部分を総合的に見れば、「ヘッド&ショルダーズ・ボトム」というフォーメーションが読み取れる。同パターンは日本語で「逆三尊型」とも言い、下落の蓋然性を示す「三尊型」とは逆に上放れの可能性を示すものだ。
実際に上に行くかどうかはこの「ネックライン」を超えたかどうかに左右されるのだが、3月31日にブレイクしたことがわかる。従って、本日4月3日にドル/円が100円台に乗せたことは自然な成り行きであって、ドルの上昇はここで止まらないはずだ。
上のチャートが示すように、赤い円で囲まれた部分を総合的に見れば、「ヘッド&ショルダーズ・ボトム」というフォーメーションが読み取れる。同パターンは日本語で「逆三尊型」とも言い、下落の蓋然性を示す「三尊型」とは逆に上放れの可能性を示すものだ。
実際に上に行くかどうかはこの「ネックライン」を超えたかどうかに左右されるのだが、3月31日にブレイクしたことがわかる。従って、本日4月3日にドル/円が100円台に乗せたことは自然な成り行きであって、ドルの上昇はここで止まらないはずだ。
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