(「YEN蔵さんに聞く為替ディーラーの世界(3) ドル/円が3時間で10円下がった暴落相場」からつづく)
さて、前回まではYEN蔵さんこと田代岳さんに為替ディーラーの世界について聞いてきたが、今回はこれから3カ月、2009年11月ぐらいまでのYEN蔵さんの相場見通しをお伝えしよう。
■米ドル/円が85円になるようなことはない
「今、米ドルはLIBORが結構落ちてきています。長期金利も下がる方向だと思います。そうすると、今までのような米ドル買い需要はなくなると思うんです」
LIBORとは、ロンドン銀行間取引金利のことで、短期金利の一つの指標となるものだ。米ドルは短期金利も長期金利も下がる方向とYEN蔵さんは見ており、その結果、ドル安方向に動くという見通しだ。
「米ドル/円は基本はレンジ相場と見ていますが、ややドル安方向に動くかなというところ。レンジの下限は91~92円、上限は98~99円というところではないでしょうか。米ドル買い需要がなくなるといっても、米ドル安が極端に進んで、米ドル/円が85円になるようなことはないと思っています」
米ドル/円 週足
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 週足)
■これからは各国中央銀行のスタンスに注目!
YEN蔵さんはこれからは各国中央銀行のスタンスに注目すべきと説く。そこから浮かび上がる一番のおすすめ通貨は豪ドルだ。
「今までは世界中が一斉に金融・経済危機に陥っていたわけですが、これからは各国の経済状況にばらつきが出てくると思います。そして、それを反映した各国中央銀行のスタンスにもばらつきが出てくるでしょう。そこが注目ポイントです。
このところ鮮明になってきたのはRBA(豪州準備銀行=豪州の中央銀行)が今後金利を上げていきそうという話ですね。
また、BOE(イングランド銀行=英国の中央銀行)は政策金利は据え置きましたが、量的緩和の拡大を発表しました。金融機関などからの国債買い取り枠を従来より500億ポンド増やして、1750億ポンド(約27兆円)にするというのです。
FRB(連邦準備制度理事会=米国の中央銀行)は3000億ドル(約28兆円)の国債買い取り策を10月末で完了させることを発表。その一方、超低金利はしばらく継続しますというスタンスですね。
ECB(欧州中央銀行)はまだ何も言っていませんが、中央銀行のスタンスという意味では中立かと思います。
そして、BOJ(日本銀行=日本の中央銀行)のスタンスは前とあまり変わっていませんね。
結局、中央銀行のスタンスという観点から考えると、一番買えるのは豪ドル。中立的なのは米ドル、ユーロ、円。英ポンドが一番買えない、ということになると思います」
■これからは各国中央銀行のスタンスに注目!
YEN蔵さんはこれからは各国中央銀行のスタンスに注目すべきと説く。そこから浮かび上がる一番のおすすめ通貨は豪ドルだ。
「今までは世界中が一斉に金融・経済危機に陥っていたわけですが、これからは各国の経済状況にばらつきが出てくると思います。そして、それを反映した各国中央銀行のスタンスにもばらつきが出てくるでしょう。そこが注目ポイントです。
このところ鮮明になってきたのはRBA(豪州準備銀行=豪州の中央銀行)が今後金利を上げていきそうという話ですね。
また、BOE(イングランド銀行=英国の中央銀行)は政策金利は据え置きましたが、量的緩和の拡大を発表しました。金融機関などからの国債買い取り枠を従来より500億ポンド増やして、1750億ポンド(約27兆円)にするというのです。
FRB(連邦準備制度理事会=米国の中央銀行)は3000億ドル(約28兆円)の国債買い取り策を10月末で完了させることを発表。その一方、超低金利はしばらく継続しますというスタンスですね。
ECB(欧州中央銀行)はまだ何も言っていませんが、中央銀行のスタンスという意味では中立かと思います。
そして、BOJ(日本銀行=日本の中央銀行)のスタンスは前とあまり変わっていませんね。
結局、中央銀行のスタンスという観点から考えると、一番買えるのは豪ドル。中立的なのは米ドル、ユーロ、円。英ポンドが一番買えない、ということになると思います」
■一番買えるのは今後利上げしそうな豪ドル
9月1日現在、各国の政策金利は米国が0.0~0.25%、欧州が1.0%、英国が0.5%、日本が0.1%、豪州が3.0%となっている(「経済指標/金利:各国政策金利の推移」参照)。
その国の景気が悪ければ、中央銀行は金融緩和、つまり、金利を下げる方向へ動いて、さらに景気が悪くならないようにする。
といっても、前述のとおり、政策金利はもうこれ以上、あまり下げられないところまで下がってしまっている国もあるため、そういう場合は金利を下げることではなく、量的緩和のような別の手段によって、金融緩和政策を行っていく。
逆に景気が良くなってくれば、金融引き締め、つまり金利を上げる方向へ中央銀行は動く。
結局、YEN蔵さんは金融引き締め方向へ動く国の通貨は強くなり、金融緩和方向へ動く国の通貨は弱くなるという見立てなのだ。
そして、一番買えるのが今後利上げしそうな豪ドル、一番買えないのがまだ量的緩和を拡大させている英ポンドということになる。そうなると、あまり聞かない通貨ペアだが、英ポンド/豪ドルの売りがいいという話になりそうだ。
英ポンド/豪ドル 日足
(出所:米国FXCM)
「英ポンド/豪ドルはあまりなじみのない通貨ペアなので、豪ドル/円でお話すると、もう結構上がってしまっているんですよね。今すぐ買っていいかどうかは微妙。いったん調整があるかもしれません。中期的には前回の安値に近い70円ちょうど付近まで落ちてくることがあれば、いい買い場だと思います。
豪ドル/円の60円台はあったとしても69円程度までじゃないでしょうか。60円台前半まで下がることはもうないと思いますよ」
「英ポンド/豪ドルはあまりなじみのない通貨ペアなので、豪ドル/円でお話すると、もう結構上がってしまっているんですよね。今すぐ買っていいかどうかは微妙。いったん調整があるかもしれません。中期的には前回の安値に近い70円ちょうど付近まで落ちてくることがあれば、いい買い場だと思います。
豪ドル/円の60円台はあったとしても69円程度までじゃないでしょうか。60円台前半まで下がることはもうないと思いますよ」
豪ドル/円 日足
(出所:米国FXCM)
■合成ポジションを作った方がなぜ良いのか?
現在、YEN蔵さんは銀行の為替ディーラーではなく、個人トレーダーとして、為替の取引を行っている。取引は普通のFX会社を使って行っており、これは一般のトレーダーと変わらない。
そして、チャートを見ながら自分の相場観を構築し、そこに情報を加味して取引しているとのこと。情報収集に少し苦労する部分はあっても、相場に対する基本的なスタンスは為替ディーラー時代と変わらないという。
取引しているのは対ドルの通貨ペアが中心。米ドル/円、ユーロ/米ドル、英ポンド/米ドル、豪ドル/米ドルなどということだ。クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)を取引することもあるが、素直に(?)クロス円をそのまま取引するとは限らないようだ。
「インターバンク市場ではユーロ/円以外のクロス円は直接取引されていないんです。
たとえば、英ポンド/円を買いたいなら、それ自体は取引されていないので、英ポンド/米ドルの買いと、米ドル/円の買いを量を調整しながら同時にやって、合成ポジションを作ります。
この時、英ポンド/円が首尾良く上がっていったとしましょう。でも、米ドル/円は上がっておらず、下がるリスクもあると感じたとします。すると、合成ポジションのうち、米ドル/円の方は売ってしまって、英ポンド/米ドルの方だけ残すんです。
このように合成ポジションにしておくと、利食うにしても、損切るにしても、ポジションの“はずし方”にバリエーションがつけられるんですよ。
インターバンク市場と違って、FX会社ではクロス円が普通に取引できますが、取引方法の選択肢が多くなるという意味で、今でも合成ポジションを作ることは結構あります」
単純に考えると、クロス円がそのまま取引できるなら、そのままそれを取引すれば簡単でいいと思ってしまうのだが、合成ポジションを作った方がより多彩な戦略がとり得るというYEN蔵さんの話、参考になっただろうか?
■「指標発表を忘れていた」なんてもってのほか!
では、最後にザイFX!読者のみなさんへ、YEN蔵さんのトレード・アドバイスをお届けしよう。
「とにかく、自分なりのやり方を早く見つけることだと思います。
為替はゼロサムゲームなので、株みたいに右肩上がりの時に全員が儲かるといったことがありません。絶対プラスにできる簡単な方法はないんです。
でも、大きなマイナスを避けることはできます。大切なのは“取りこぼし”をしないことです。
その場で見ていて、自分でキチンと損切りできるのであれば、ストップロス注文は入れなくてもいいでしょう。でも、見ていないのならば、入れておいた方がいいと思います。特に経済指標発表時など、相場が大きく動く可能性のある時はね。
『指標発表を忘れていた』なんていうのは、もってのほか。それが“取りこぼし”ということなんですよ」
(取材・文/ザイFX!編集部・井口稔 撮影/和田佳久)
■合成ポジションを作った方がなぜ良いのか?
現在、YEN蔵さんは銀行の為替ディーラーではなく、個人トレーダーとして、為替の取引を行っている。取引は普通のFX会社を使って行っており、これは一般のトレーダーと変わらない。
そして、チャートを見ながら自分の相場観を構築し、そこに情報を加味して取引しているとのこと。情報収集に少し苦労する部分はあっても、相場に対する基本的なスタンスは為替ディーラー時代と変わらないという。
取引しているのは対ドルの通貨ペアが中心。米ドル/円、ユーロ/米ドル、英ポンド/米ドル、豪ドル/米ドルなどということだ。クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)を取引することもあるが、素直に(?)クロス円をそのまま取引するとは限らないようだ。
「インターバンク市場ではユーロ/円以外のクロス円は直接取引されていないんです。
たとえば、英ポンド/円を買いたいなら、それ自体は取引されていないので、英ポンド/米ドルの買いと、米ドル/円の買いを量を調整しながら同時にやって、合成ポジションを作ります。
この時、英ポンド/円が首尾良く上がっていったとしましょう。でも、米ドル/円は上がっておらず、下がるリスクもあると感じたとします。すると、合成ポジションのうち、米ドル/円の方は売ってしまって、英ポンド/米ドルの方だけ残すんです。
このように合成ポジションにしておくと、利食うにしても、損切るにしても、ポジションの“はずし方”にバリエーションがつけられるんですよ。
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単純に考えると、クロス円がそのまま取引できるなら、そのままそれを取引すれば簡単でいいと思ってしまうのだが、合成ポジションを作った方がより多彩な戦略がとり得るというYEN蔵さんの話、参考になっただろうか?
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0.3pips原則固定 (9-27時) |
1000通貨 | 20ペア |
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0.2銭原則固定 (9-27時・例外あり) |
0.3pips原則固定 (9-27時・例外あり) |
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