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FXデイトレーダーZEROさんに聞く(3)
レンジ抜けを確実に判断する方法はある?

2010年11月01日(月)11:31公開 (2010年11月01日(月)11:31更新)
ザイFX!編集部

【副業FXで勝つためのメルマガ】田向宏行さんのFXメルマガは儲かるのか? ダウ理論の転換トレードで検証したらこうなった!

「FXデイトレーダーZEROさんに聞く(2) 「魔の金曜日」とは何か?」からつづく)
 

 さて、ここまで結構引っ張ってきてしまったが、いよいよ「まずチャートありき」と語っているZEROさんにチャートとトレード手法のことを聞いていこう。

■レンジ相場には手を出さない

前回の記事に出てきたZEROさんの1番目のマイルールを覚えているだろうか? 黒板に書かれていたそれは「トレンド相場にのみ参加する!」だった「FXデイトレーダーZEROさんに聞く(2) 『魔の金曜日』とは何か?」参照)

 ZEROさんのトレードは基本に忠実なスタイル。トレンドが発生したらそれについていくやり方だという。となると、一定の範囲を行ったり来たりしている「レンジ相場」のときは手を出さないのだろうか?

 「以前はレンジ相場で逆バリのトレードをやっていたこともありますが、今はすべてトレンドに乗った順バリのトレードです。

レンジ相場の最中は手を出さず、レンジを抜けて動き出したらついていくんです」

 そのエントリーポイントだが、大きく分けると以下の2つのやり方があるそうだ。

 (1)レンジを抜けた瞬間(ブレイクアウト)を狙う
 (2)レンジを抜けたあと、押し目を確認してから買う(もしくは戻りを確認してから売る)


 ZEROさんはユーロ/米ドルの1時間足チャートで解説してくれた。
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(出所:米国FXCM

 「ユーロ/米ドルは9月上旬から下がってきて、9月8日(水)~10日(金:日本時間では11日(土)早朝まで)は1.265ドル付近~1.275ドル付近のレンジ相場になっていました。ここを上に抜けるか、下に抜けるか注目だったんですね。

 すると、9月13日(月)に上に抜けてきました」

 ブレイクアウトだ。ここでZEROさんは買ったのか?

 「いえ、ここはトレードしていません。これは日本時間で月曜日の朝7~8時ごろ。月曜日はあまりやりませんし、そもそも東京時間はトレードしませんからね。

 ここでは『いよいよ上昇かな』と思うだけですね」

 前回の記事を覚えているだろうか? 曜日では金曜日とともに月曜日もZEROさんがトレードしない日に挙げられていた。また、欧州勢も米国勢も入ってこない東京時間もZEROさんはトレードしない。

 それもこれも「取引に厚みがない」からだ。日本時間の朝7~8時といえば、閑散としているであろうことは容易に想像がつく。

■日本時間夜のブレイクアウトを見逃すな!

 1.265~1.275ドルのレンジ相場を9月13日(月)に上抜けたユーロ/米ドルは上昇していくが、翌14日(火)にかけて1.283~1.290ドルあたりでまたもみ合っている。

 そして、14日(火)の22~23時に1.290ドルを一気に上抜けてきた(以下のチャートのC)。欧州市場、米国市場が開いている取引に厚みのある時間帯だ(以下のチャートは先ほどのチャートより全体の表示期間が少し後ろにずれたものとなっている)
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(出所:米国FXCM

 「1.290ドルが節目というのは見えていましたね。上のチャートのAでは1回、1.290ドルの手前で跳ね返されています。チャートのBではいったん1.290ドル台に乗ったんですが、すぐに落ちてきています。

 二度トライしてダメだったものを三度目にトライしたのがこのCの地点です。ダメだったものをまたトライしているということは、ユーロ/ドルが買われている理由があるということですよ。

その理由を自分なりに経験則で判断して、納得いくだけの理由があれば、買いでエントリーするんです。

 この時はかなりのスピードで上抜けてきたので、すぐに買うのは怖かったんですが、それでも1.290ドルを抜けたあとがエントリーポイントだと言えました」

 ……とここまでZEROさんが語ったとき、記者の横から突如まくし立てるようにZEROさんに疑問をぶつける人が現れたのである。

■突如乱入した和田カメラマン!?

 「Bのところでもいったん1.290ドル抜けてるよね? ここで買っちゃダメなの? なんでダメなの? なんでここで買わないと判断できるの?」

 いても立ってもいられないとばかりに、ZEROさんへ食いついたのは取材に同行した和田佳久カメラマンだった。

 月刊マネー誌『ダイヤモンドZAi』、そして当サイト「ザイFX!」のカメラマンとして長らく活躍してきた和田さんは、写真を撮るだけなく、トレードキャリアもかなり長い。ただ、それはFXではなく、株なのだが…。
(出所:米国FXCM

 和田さんの勢いにややたじろぎながらも、ZEROさんはこう答えた。

 「上のチャートのAのところは1.289ドルぐらいで、Bのところは1.291ドルぐらいまで行きましたから、Bは前の高値を上抜けていると言えます。だからといって、高値を更新したら全部買うというのでは、エントリーポイントだらけになってしまう。それではダメなんです。

本当にそこを抜けて上昇するのか、すぐに反落してしまうのかという答えは実はチャート上にはありません。

 参加者が多くて取引に厚みはあるのか、どんなニュースが出たのか、抜けた時の勢いはどうだったかといったことを総合的に判断
して、本当に上に抜けてくるほどの理由があるのか検討するんです。

 この勢いだったらエントリーしてみて、上げていかないようだったら止めようとか、15分は待ってみようとか、そんな判断の繰り返しです。

 その際は過去に相場を見てきた経験も生きてきます。1年中、私はチャートを見ていますからね。

 ただ、それでも買ってみてから、失敗だったと撤退することも当然あります

 ZEROさんは「まずチャートありき」ではあるけれど、トレードではチャートだけでなく総合的な判断が必要だと説明する。だから、トレーダー全員が同じチャートを見ていても、同じ判断をするとは限らないということになる。

■それは“損切り貧乏”になりますよ

 ZEROさんの冷静な答えを聞いていた和田カメラマンだったが、彼はさらにこう質問したのだった。

 「チャートだけではダメで、総合的に判断するといっても、ボクのような一般人には無理。そうすると、チャートに従ってBのところで機械的に買って、ストップロスを入れておくのじゃダメなのかな?」

 それに答えるZEROさん。

 「それは確実に負けると思います。いわゆる“損切り貧乏”になるでしょう。それが通用するなら、世の中、お金持ちであふれてしまいます。

 そして、レンジを抜けていくかどうかの判断を100%確実にできる方法もありません。それがわかれば、やはり世の中、お金持ちであふれます。

 そんなことがあるのなら、みんなトレードでメシが食えるようになって、この世から働く人がいなくなってしまうと思いますよ」

「FXデイトレーダーZEROさんに聞く(4) レートボックスにお宝は隠されていた!」へつづく)

(取材・文/ザイFX!編集部・井口稔 特記以外は撮影/和田佳久)

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