為替マーケットは「臨界点」に達しつつある。今夜発表される米雇用統計はその引き金となるだろう。
■米ドルのさらなる急落があると見る市場関係者が多い
足もとでは、米ドル安の継続どころか、さらなる急落があるのではないかと見る市場関係者が依然多い。昨日行われたBOE(イングランド銀行=英国の中央銀行)とECB(欧州中央銀行)の会議の結果を受け、このような見方が一層強化されたように思える。
まず、BOEについては、市場が予想した量的緩和の増額は500億ポンドだったが、そこまでは至らぬ250億ポンドの増額に留まって、結局、量的緩和の総額は2000億ポンドに留まった。
ECBは予定どおりの金利据え置きとなったが、トリシェ総裁による楽観的な発言で、「出口戦略」を模索し始めたという印象を市場に与えている。
対照的に、11月5日(木)未明に発表されたFOMC(米連邦準備制度理事会)の声明文は前回の文言をほぼ踏襲しており、当面利上げなしといった認識が繰り返されたことで、一部市場関係者に失望感を与えた。
これにより、11月3日(火)まで続いた米ドルのリバウンドが一旦ストップし、米ドルが再び売られたことは当然の成り行きであるが、主要通貨に対する米ドルの上昇が続くかどうかは今夜の米雇用統計を待ってから判断したい、という市場関係者が多いようだ。
米ドル/ユーロ 4時間足
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/ユーロ 4時間足)
■ファンダメンタルズ的な解釈と予測は頼りにならない!
しかし、米雇用統計のデータの好悪によって市況がどういうふうに変わるかは、筆者を含め、実は市場関係者には読みきれていないところが大きい。
マーケットにはさまざまな見方があるが、おおむね以下の3点に集約される。
このように、為替マーケットにおけるファンダメンタルズ的な解釈と予測は実に頼りにならない。
また、白黒をファンダメンタルズだけでは判断しにくい局面では往々にして相場の急変があり得ることは歴史が証明している。
■「休むも相場」というより「君子危うきに近寄らず」
では、テクニカル的にはどうなるか。
■ファンダメンタルズ的な解釈と予測は頼りにならない!
しかし、米雇用統計のデータの好悪によって市況がどういうふうに変わるかは、筆者を含め、実は市場関係者には読みきれていないところが大きい。
マーケットにはさまざまな見方があるが、おおむね以下の3点に集約される。
(1)統計データが悪ければ、米国の利上げがさらに遠ざかるため、米ドル安に作用する。
(2)最近の市場の反応パターン(過去6回)からみると、データの悪化がリスク回避の動きを強めるため、米ドル高に作用する。
(3)データの好悪に関わらず、各国のスタンスが明確になるまで、レンジ相場が続く。
(2)最近の市場の反応パターン(過去6回)からみると、データの悪化がリスク回避の動きを強めるため、米ドル高に作用する。
(3)データの好悪に関わらず、各国のスタンスが明確になるまで、レンジ相場が続く。
このように、為替マーケットにおけるファンダメンタルズ的な解釈と予測は実に頼りにならない。
また、白黒をファンダメンタルズだけでは判断しにくい局面では往々にして相場の急変があり得ることは歴史が証明している。
■「休むも相場」というより「君子危うきに近寄らず」
では、テクニカル的にはどうなるか。
以下のチャートは昨日、11月5日に作成したものだが、ご参照いただければ、おわかりになるだろう。
(出所:米国FXCM)
(出所:米国FXCM)
このようなチャートを掲載してしまうと、場合によっては批判を受けることも承知している。結局テクニカル分析でも方向が定まっていないのではないか、どちらかはっきりしろといったお叱りを受けてもおかしくない。
だが、事実チャートが示すように、どちらもあり得るのが相場の真実であり、どちらかへの突破によって方向が決められるので、今はその「臨界点」にあると位置づけられるわけである。
トレーダーなら、相場についていくしかないので、明確なブレイクがない場合は、性急な行動を起こさず、静観するのが一番だ。
「休むも相場」というよりも、「君子危うきに近寄らず」(孔子)といった方が適切かもしれない。
■英ポンド/米ドルと豪ドル/米ドルをよく見よ!
ちなみに、予想よりも規模が小さかったとはいえ、英国が量的緩和策を続ける中で、さらに英ポンド/米ドルの上昇があるならば、これこそ米ドルの貧弱を証明するもっとも強力な材料となろう。
反面、12月の再利上げが見送られたものの、中国の旺盛な需要に支えられている豪州は年明けの利上げが必至と言われている。にもかかわらず、豪ドル/米ドルの高値更新がなければ、米ドル安もついに終わりを告げ、米ドルのリバウンドが展開されてくるだろう。
この2つの通貨ペアをパラメーターとすると、今後米ドルの行方を理解するのに便利だと思われる。
最後に、米ドル/円については最近ではやや「蚊帳の外」といった感じがある。
日本は米国より早く利上げできる環境にはない上、米ドル/円はユーロ/円などクロス円相場の動向に影響を受ける値動きが強いように見える。米ドル/円については、しばらく、このような傾向が続くだろう。
このようなチャートを掲載してしまうと、場合によっては批判を受けることも承知している。結局テクニカル分析でも方向が定まっていないのではないか、どちらかはっきりしろといったお叱りを受けてもおかしくない。
だが、事実チャートが示すように、どちらもあり得るのが相場の真実であり、どちらかへの突破によって方向が決められるので、今はその「臨界点」にあると位置づけられるわけである。
トレーダーなら、相場についていくしかないので、明確なブレイクがない場合は、性急な行動を起こさず、静観するのが一番だ。
「休むも相場」というよりも、「君子危うきに近寄らず」(孔子)といった方が適切かもしれない。
■英ポンド/米ドルと豪ドル/米ドルをよく見よ!
ちなみに、予想よりも規模が小さかったとはいえ、英国が量的緩和策を続ける中で、さらに英ポンド/米ドルの上昇があるならば、これこそ米ドルの貧弱を証明するもっとも強力な材料となろう。
反面、12月の再利上げが見送られたものの、中国の旺盛な需要に支えられている豪州は年明けの利上げが必至と言われている。にもかかわらず、豪ドル/米ドルの高値更新がなければ、米ドル安もついに終わりを告げ、米ドルのリバウンドが展開されてくるだろう。
この2つの通貨ペアをパラメーターとすると、今後米ドルの行方を理解するのに便利だと思われる。
最後に、米ドル/円については最近ではやや「蚊帳の外」といった感じがある。
日本は米国より早く利上げできる環境にはない上、米ドル/円はユーロ/円などクロス円相場の動向に影響を受ける値動きが強いように見える。米ドル/円については、しばらく、このような傾向が続くだろう。
豪ドル/米ドル 日足
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