■豪ドル/米ドルが上昇トレンドに復帰した!
為替市場は、先週末から波乱含みではあるものの、メイントレンドを継続している。その象徴は、豪ドル/米ドルの値動きであろう。
(出所:米国FXCM)
上に示したチャートのように、8月7日(金)に発表となった米国雇用統計の改善を受け、豪ドル/米ドルは8月12日(水)まで下落を続けていた。
ところが、同日のFOMC(連邦公開市場委員会)の声明文発表を機に上昇トレンドに復帰し、8月14日(金)の東京市場においては、高値を更新している。
これは、前回のコラムで指摘した「米国の雇用統計の結果がどうであっても、米ドル安の余地はまだ残っている」という見方を証明した値動きだ(「米雇用統計の結果がどうであっても、米ドル安の余地はまだ残っている!」参照)。
今後、他のメジャー通貨ペアも追随して、同じような値動きとなる可能性は高いと見る。
■経済指標の好悪で相場が形成されているのではない!
米国の雇用統計が好結果となって、一時的に米ドル高に振れるという可能性は、当初から想定していた。実際、結果発表を受けて米ドルは跳ね上がったのだが、長続きせずに、再び軟調となってきた。この先、米ドル安のトレンドが一段と強まることになるだろう。
米国の雇用統計にしろ、FOMCの声明文にしろ、これらが相場を形成したのではなく、これらの材料を利用したトレーダーの行動が相場の変動をもたらしたのだ。
結果として、8月7日の値動きは、米ドルのロングポジション(買い持ち)を振り落とすためのきっかけとなった。そして、8月12日からの米ドル安は、主力筋が米ドル以外の通貨の押し目を狙う意向の表れと言えるだろう。
つまり、表面的には、経済データの良し悪しによって相場の方向性が決められているように見えるが、実はあらかじめ材料の「利用方法」が織り込まれていて、経済指標の結果の好悪とは関係なく、内部構造に沿った形で値動きが形成されるものなのだ。
■イベント直後の反応は「ダマシ」だった!
次に、ユーロ/米ドルの1時間足のチャートを見てほしい。
これを見ると一目瞭然だが、米国の雇用統計が発表される前に、ユーロ/米ドルは下落を始めていて、後々の値動きを暗示していたのだ。
上に示したチャートのように、8月7日(金)に発表となった米国雇用統計の改善を受け、豪ドル/米ドルは8月12日(水)まで下落を続けていた。
ところが、同日のFOMC(連邦公開市場委員会)の声明文発表を機に上昇トレンドに復帰し、8月14日(金)の東京市場においては、高値を更新している。
これは、前回のコラムで指摘した「米国の雇用統計の結果がどうであっても、米ドル安の余地はまだ残っている」という見方を証明した値動きだ(「米雇用統計の結果がどうであっても、米ドル安の余地はまだ残っている!」参照)。
今後、他のメジャー通貨ペアも追随して、同じような値動きとなる可能性は高いと見る。
■経済指標の好悪で相場が形成されているのではない!
米国の雇用統計が好結果となって、一時的に米ドル高に振れるという可能性は、当初から想定していた。実際、結果発表を受けて米ドルは跳ね上がったのだが、長続きせずに、再び軟調となってきた。この先、米ドル安のトレンドが一段と強まることになるだろう。
米国の雇用統計にしろ、FOMCの声明文にしろ、これらが相場を形成したのではなく、これらの材料を利用したトレーダーの行動が相場の変動をもたらしたのだ。
結果として、8月7日の値動きは、米ドルのロングポジション(買い持ち)を振り落とすためのきっかけとなった。そして、8月12日からの米ドル安は、主力筋が米ドル以外の通貨の押し目を狙う意向の表れと言えるだろう。
つまり、表面的には、経済データの良し悪しによって相場の方向性が決められているように見えるが、実はあらかじめ材料の「利用方法」が織り込まれていて、経済指標の結果の好悪とは関係なく、内部構造に沿った形で値動きが形成されるものなのだ。
■イベント直後の反応は「ダマシ」だった!
次に、ユーロ/米ドルの1時間足のチャートを見てほしい。
これを見ると一目瞭然だが、米国の雇用統計が発表される前に、ユーロ/米ドルは下落を始めていて、後々の値動きを暗示していたのだ。
(出所:米国FXCM)
8月12日のロンドン市場オープンから、ユーロ/米ドルは底打ちして反騰していた。これは、8月12日のニューヨーク市場午後に発表されるFOMCの声明文を待たずして、その後のトレンドを織り込もうとする値動きだったと言える。
この中で、おもしろいのは、経済指標の結果発表を受けての市場の反応が、その後のトレンドと逆方向であったことだ。
ユーロ/米ドルの1時間足を見ると、米国雇用統計、FOMCの両イベントの後に「ダマシ」を記録している。このことからも、より一層、相場の先行性が証明されているように思われる。
8月12日のロンドン市場オープンから、ユーロ/米ドルは底打ちして反騰していた。これは、8月12日のニューヨーク市場午後に発表されるFOMCの声明文を待たずして、その後のトレンドを織り込もうとする値動きだったと言える。
この中で、おもしろいのは、経済指標の結果発表を受けての市場の反応が、その後のトレンドと逆方向であったことだ。
ユーロ/米ドルの1時間足を見ると、米国雇用統計、FOMCの両イベントの後に「ダマシ」を記録している。このことからも、より一層、相場の先行性が証明されているように思われる。
■米雇用統計後に見られた米ドル全面高はホンモノか?
先週末に米ドルの力強い反発が見られたため、多くの評論家やアナリストは、米ドルの底打ちと反騰の見通しを示していた。だが、ファンダメンタルズの改善のみに着目しても、このような見方には疑問を抱かざるを得ない。
筆者は、週初に発行しているレポートで、以下のような見方を示した。
結果として、筆者のロジックは、足元の豪ドル/米ドルの高値更新によって証明されていると考える。
7月24日のコラムで書いた、ユーロ、英ポンド、豪ドルの対ドルでのターゲットはいよいよ実現されるだろう(「米ドル安トレンドが再開したかどうか米ドル/スイスフランを見ればわかる!」参照)。
■クロス円相場で円全面安の可能性が浮上!?
ところで、最近、米ドル/円の変動が大きくなってきている。
基本的には、米ドルの全面安が続くようであれば、米ドル/円の底割れは回避できるという見方を堅持する。さらに今は下値よりも、上値の可能性に注目し始めた。
7月17日のコラムにおいて、筆者は下に示したチャートのように、米ドル/円の上昇の可能性を示していた(※)。これが、足元ではそのとおりの展開となっている(「弱気相場入りに見えた米ドル/円だが、91円台でターゲットはもう達成された!?」参照)。
(※編集部注:以下のチャートは7月17日に当コラムへ掲載したものをそのまま転載したものです)
先週末に米ドルの力強い反発が見られたため、多くの評論家やアナリストは、米ドルの底打ちと反騰の見通しを示していた。だが、ファンダメンタルズの改善のみに着目しても、このような見方には疑問を抱かざるを得ない。
筆者は、週初に発行しているレポートで、以下のような見方を示した。
先週末の為替市場の反応は、いささか異変が起きていた。米国の雇用統計の大幅改善で、従来のように株は押し上げられたが、いつものように米ドルを押し下げるのではなく、逆に米ドルが全面的に反騰した。
マーケットはここに来て、米国が景気後退局面から本格的に脱出したことを素直に好感し、いわゆるリスク選好の度合い云々ではなく、先走りの形で米国の利上げの可能性に注目し始めたようだ。
実際、債券市場では、2010年の年末までに米国の政策金利が2%まで上昇するといった見方が多くなっていて、これがマーケットに織り込まれ始めたと言われている。
為替市場においても、事情は同じである。特に、追加の金融緩和策を否定した豪州の中央銀行であるオーストラリア準備銀行(RBA)の利上げはより現実的で、利上げ自体を急がないと再三表明しているFRB(連邦準備制度理事会)とは対照的だ。
そうなると、マーケットの反応が性急となる可能性は高い。
これは、米国の雇用統計の良し悪しよりも、英国の中央銀行であるイングランド銀行(BOE)が8月6日に、利上げの可能性どころか、金融緩和策の拡大を表明した「サプライズ」が機能したと言えそうだ。
言い換えれば、豪ドル/米ドルや英ポンド/米ドルなどの各通貨ペアにおいて、米ドルが買われているのか、それとも米ドル以外の通貨が売られているのかを見極める必要がある。
もっとも、米ドルの切り返しは対円で最も顕著であった。このことから、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)相場の堅調と相まって、米ドル高はおのずと限界がある。市場コンセンサスとは異なり、円高の進行は限られていて、足元の円安はその反動によるものと見られる。
これまでも指摘しているように、米ドルの対円での値動きは、対ユーロや対英ポンドなど、他の通貨とはかけ離れていて、米ドル全体が軟調でない限り、クロス円の堅調はあり得ない。従って、足元の米ドル全体の切り返しは、まだ本物ではない可能性が高い。
マーケットはここに来て、米国が景気後退局面から本格的に脱出したことを素直に好感し、いわゆるリスク選好の度合い云々ではなく、先走りの形で米国の利上げの可能性に注目し始めたようだ。
実際、債券市場では、2010年の年末までに米国の政策金利が2%まで上昇するといった見方が多くなっていて、これがマーケットに織り込まれ始めたと言われている。
為替市場においても、事情は同じである。特に、追加の金融緩和策を否定した豪州の中央銀行であるオーストラリア準備銀行(RBA)の利上げはより現実的で、利上げ自体を急がないと再三表明しているFRB(連邦準備制度理事会)とは対照的だ。
そうなると、マーケットの反応が性急となる可能性は高い。
これは、米国の雇用統計の良し悪しよりも、英国の中央銀行であるイングランド銀行(BOE)が8月6日に、利上げの可能性どころか、金融緩和策の拡大を表明した「サプライズ」が機能したと言えそうだ。
言い換えれば、豪ドル/米ドルや英ポンド/米ドルなどの各通貨ペアにおいて、米ドルが買われているのか、それとも米ドル以外の通貨が売られているのかを見極める必要がある。
もっとも、米ドルの切り返しは対円で最も顕著であった。このことから、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)相場の堅調と相まって、米ドル高はおのずと限界がある。市場コンセンサスとは異なり、円高の進行は限られていて、足元の円安はその反動によるものと見られる。
これまでも指摘しているように、米ドルの対円での値動きは、対ユーロや対英ポンドなど、他の通貨とはかけ離れていて、米ドル全体が軟調でない限り、クロス円の堅調はあり得ない。従って、足元の米ドル全体の切り返しは、まだ本物ではない可能性が高い。
結果として、筆者のロジックは、足元の豪ドル/米ドルの高値更新によって証明されていると考える。
7月24日のコラムで書いた、ユーロ、英ポンド、豪ドルの対ドルでのターゲットはいよいよ実現されるだろう(「米ドル安トレンドが再開したかどうか米ドル/スイスフランを見ればわかる!」参照)。
■クロス円相場で円全面安の可能性が浮上!?
ところで、最近、米ドル/円の変動が大きくなってきている。
基本的には、米ドルの全面安が続くようであれば、米ドル/円の底割れは回避できるという見方を堅持する。さらに今は下値よりも、上値の可能性に注目し始めた。
7月17日のコラムにおいて、筆者は下に示したチャートのように、米ドル/円の上昇の可能性を示していた(※)。これが、足元ではそのとおりの展開となっている(「弱気相場入りに見えた米ドル/円だが、91円台でターゲットはもう達成された!?」参照)。
(※編集部注:以下のチャートは7月17日に当コラムへ掲載したものをそのまま転載したものです)
(出所:米国FXCM)
そうなると、クロス円相場の上値余地が一段と開けた可能性は高い。
前回も指摘したくりっく365のポジション統計データで、個人投資家が円を「買い超」としていることが示されたことが、最大の背景と推進力になるだろう(「米雇用統計の結果がどうであっても、米ドル安の余地はまだ残っている!」参照)。
相場は常に、多くの人の意表を突くという習性があるため、円高のコンセンサスが強い足元のマーケットでは、円一段安となる可能性を警戒したい。
また、仮に一段の円安があったとしても、それは終えんに向かう可能性が高く、「クライマックス」の場面であるだけに、激しい値動きも覚悟しなければならないだろう。
そうなると、クロス円相場の上値余地が一段と開けた可能性は高い。
前回も指摘したくりっく365のポジション統計データで、個人投資家が円を「買い超」としていることが示されたことが、最大の背景と推進力になるだろう(「米雇用統計の結果がどうであっても、米ドル安の余地はまだ残っている!」参照)。
相場は常に、多くの人の意表を突くという習性があるため、円高のコンセンサスが強い足元のマーケットでは、円一段安となる可能性を警戒したい。
また、仮に一段の円安があったとしても、それは終えんに向かう可能性が高く、「クライマックス」の場面であるだけに、激しい値動きも覚悟しなければならないだろう。
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