円ショート勢の苦しい投げというのもあるが、薄くなっているマーケットを狙っての短期筋の動きもあるのだろう。
93円台ミドルまで一旦は反落したのだが、またじりじりと戻してきて、年初来の高値を更新してきた。注目していた雇用関係の数字だけでなく、ISM製造業の結果も期待以上の良い内容だった。
米国株もすこぶる堅調にスタートし、金融危機以降の高値を更新してきた。私は果敢にドル円をショートにするという作戦を考えていたのだが、あまりに分が悪そうなので、諦めることにした。
ドル円は94円をタッチしにいく。しかし上値はなかなか重そうだった。ニューヨークの午後にかけて祝日前のポジション調整もあったのだろうが、その後は93円台後半で動きがなくなった。
そんななかスイス中銀だけは頑張っていた。スイスフランが対ユーロでは、ユーロ導入後の最高値を更新してしまったためだろう。
猛然とスイスフランの売り介入をしてきたようだ。お陰でユーロは独歩高。からクロス円が利食い売りモードになっていくなかでも、ユーロ円だけは125円台ミドルまでつられてこられ、その後も一向に落ちなかった。
本日はいよいよ雇用統計である!事前のコンセンサスでは、失業率は9.7%、ペイロール(非農業部門雇用者数)はプラス20万人前後というのが大方の見方だ。しかしペイロールの予想に関しては、いや、プラス30万人だ!とか、プラス20万人は固いというような、かなり景気の良い予想まで飛び出しているようだ。しかしそもそもこれは財政支出による雇用増をかなり見込んでいる。
実態としては、水曜日のADPの結果のように、民間部門ではまだまだ弱さが継続しているという感じなのではないだろうか。ガイトナー米財務長官自身も昨日テレビで「失業率は依然として恐ろしく高く、長期にわたり容認できない高水準にとどまるだろう」と言っている。
どうも10年ごとのデジャブを見ている気もしてくる。
思えば1990年の春は日本がバブル最高潮から多少の調整段階に入っていく時だった。もちろん、この時はまだまだ上昇トレンドのなかにあって、まだ誰もこれがバブル崩壊の始まりだとは考えてもいなかった。
2000年も日本株などは投資信託の「1兆円ファンド」などで湧きかえっていたが、4月中旬に急落を見て、そして日経平均株価はその後6月までに25%近く調整した。
そしてよく考えれば、これはいつも10年に一度おこなわれるアメリカの国勢調査絡みの臨時雇用が増える時とも重なる。今回も同じ道を歩んでいくのだろうか。
さて、今晩であるが、グッドフライデーで欧米の株式市場は休場だし、債券市場なども半ドンである。結果をモロに受けるのは為替市場だけということになる。円ショートはどんどんと積み上がっている状態なので、ネガティブな結果となった場合のほうがインパクトはありそうだ。
良い場合にはドル円の94.50付近にあるとみられるオプションのトリガーに向けて短期筋が動く可能性はある。しかしポジションの偏りからいえば、すでにかなり良い結果は織り込まれているので、値幅としては上向きの場合よりも、下向きにドライブがかかる場合のほうが大きくなるはずだ。
下向きのポジションはトレンドに逆らうことになるので、確率は小さいが値幅的な妙味はでてくる。私としてはイースターエッグの贈り物をゲットすべく、天邪鬼モードでショート目で構えるつもりでいる。
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