■サプライズだが、ユーロの安値追いには賛成できない
いずれにせよ、マーケットが現実に米国の利上げを本格的に織り込もうとしているだけに、筆者は、米ドル高の進行はすでに「8合目」に達していると思っている。
また、今年後半、筆者の描くシナリオどおりに米ドル安の進行があれば、それは他ならぬ、米国が利上げできないことに伴う失望感による米ドル売り、すなわち、反動が起こるといった要素が大きいであろう。
従って、結論として、米国の公定歩合引き上げという材料だけでは、ユーロの安値追いには賛成できないとトレーダー仲間には伝えた。
まるで筆者の考えを証明するかのようで、材料的にサプライズ性はあるものの、マーケットは実に冷静に受け止めているという印象を持っている。
上のチャートを見ると一目瞭然だが、ユーロ/米ドルの日足チャートを「ボリンジャーバンド」で見ると、足元でユーロ安の進行がはっきりしているにも関わらず、「−2σ」のバンドを超えて米ドル高が進むことはなかった。
■米ドル/円の上昇には限界がありそう
それでは、ずっと「蚊帳の外」に置かれていた米ドル/円の値動きをどう見るか?
言うまでもないが、筆者の想定どおりにユーロ安の一服があるならば、ユーロ/円のベア(弱気)トレンドも一時緩和されることになる。これは、米ドル/円にもプラスの作用をもたらす。
だが、米国の利上げ期待という材料によってようやく立ち上がっている値動きから考えると、すでに「8合目」のところまで進行しているドルインデックスの後追いができても、米ドル/円の上昇には限界があるだろう。
すなわち、円安のシナリオは描きづらい。
■虎年の2010年は波乱の1年になる!?
ところで、虎年の2010年は、中国の風水学だとかなりの波乱がありそうな1年になりそうだ。
筆者は、為替マーケットに大きな「脅威材料」が潜在的に存在していて、それゆえに、今年から来年にかけて大揺れするのではないかと思っている。マーケットのボラティリティーは拡大し、ますます不確実性を高めていくだろう。
それが吉と出るか、凶と出るかは各トレーダー次第であるが、1992年の英ポンド危機のように、ビットとオファーの差が300pipsにもなれば、さすがに個人投資家はついていけなくなるだろう。
今は冗談にしか聞こえない事態にわれわれが直面する確率は、次第に増大している。マーケットに「あり得ない」は禁句である。
その意味では、筆者自身も含めて、為替マーケットでプレーヤーとして行き残りたいならば、しっかりとしたリスクコントロールをしなければならない。
次回は、その「脅威材料」についてお話ししたい。
(2010年2月19日 東京時間12:20記述)
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